2014年11月14日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、統合生産制御システム「CENTUM® VP(センタム・ブイピー)」の機能を大幅に拡張した「CENTUM VP R6.01」を開発、2015年2月から販売を開始しますのでお知らせします。
当社は、制御事業のビジョン“VigilantPlant®(ビジラントプラント)=理想の工場”の実現に向け、その中核となるCENTUM VPの革新的な強化を図ります。今回のR6.01の発売は、その第一段階です。
CENTUM VP
開発の背景
グローバル競争の激化や市場環境の変化に伴い、製造業においては短期間での生産の立ち上げ、生産品目や材料の変化への柔軟かつ機敏な対応が求められています。
こうした状況に対応するため、当社は、以前から継続してきた機能強化の枠を超え、新たなコンセプトを掲げてCENTUM VPの開発を進めています。新CENTUM VPは、プラントの設計から、エンジニアリング、システム・機器の据え付け、生産立ち上げ、さらには稼働後の改修や変更を経て運転を終了するまで、プラントのライフサイクルにわたり最適な操作・エンジニアリング環境をお客様に提供する制御システムとなります。「CENTUM VP R6.01」を皮切りに提供していく「R(リリース)6」では、「スマートエンジニアリング(効率的なエンジニアリング)」「アドバンストオペレーション(高度な操業)」「システムアジリティ(システムの機敏性)」「サステイナブルプラント(持続可能なプラント)」の実現を目指します。
このたび発売する「CENTUM VP R6.01」では、制御システムの重要な要素である入出力装置のラインアップを追加するとともに、エンジニアリング環境の革新を図ります。これにより、制御システムの構築、設置の際の工数の短縮、工期の削減に貢献します。
機能拡張のポイント
- 一種類のモジュールで多様な入出力信号に対応できるフィールドIO装置「N-IO」を開発
制御システムは、フィールドIO(入出力)装置を介してセンサやバルブなどのフィールド機器と情報のやり取りを行い、プラントを自動で制御します。センサやバルブとの情報交換には、機器によってさまざまな種類の電気信号が使用されています。既存のフィールドIO装置「FIO」では、入出力信号の種類に合わせてモジュールを選択しています。
「CENTUM VP R6.01」で新たにラインアップしたフィールドIO装置「N-IO(Network-IO)」では、多様な入出力信号に対応できるモジュールを用意しました。このモジュールは、一つで16点までの入出力が可能で、点ごとに信号の種類を設定できます。入出力信号の多くを占めるアナログ信号やデジタル信号についてはソフトウエアの設定のみで対応でき、パルス、リレーなどの信号には変換アダプタを追加することで対応できます。
これにより、エンジニアリング中のセンサの種類や配置の変更、プラントの改造に伴うセンサの変更の際に、入出力モジュールを交換したり膨大な配線を変更したりする必要がなくなり、作業量低減と工期短縮に大きく貢献します。
また、防爆対応機器で豊富な実績をもつペッパール・アンド・フックス社(注1)およびMTLインスツルメンツ社(注2)と、両社のIOモジュール用ベースプレートの供給を受け当社ブランドで販売するOEM供給契約を締結しました。この契約により、欧米やアジアの主要な本質安全防爆に対応した「N-IO」を提供することができます。 - IO装置との接続のみでフィールド機器の設定・動作確認を行える「FieldMate™ Validator(フィールドメイト・バリデーター)」を開発
フィールド機器を現場に設置し、配線をした後には、フィールド機器の設定や配線が正しく行われているかの確認が必要です。従来、この確認は、フィールドIO装置に加え、操作・監視ステーションと制御コントローラを含めたCENTUMのシステム全体を設置した後に、CENTUMの操作・監視画面上で行っていました。
「CENTUM VP R6.01」では、フィールド機器とフィールドIO装置の設置と接続を終えた段階で確認と設定変更の作業を行える、N-IOループ確認・設定ソフトウエア「FieldMate Validator」を用意しました。これを用いれば、フィールドIO装置「N-IO」のみを先に納入して、制御ソフトウエアで設定された各制御ループ※の入出力端子情報と結びつけてフィールド機器の設定・動作の確認をすることができ、工期の短縮に貢献します。
なお、「FieldMate Validator」は、パソコン上で動作する、当社のフィールド機器調整・設定ソフトウエア「FieldMate」の機能の一つとして提供します。
※制御ループ: プロセス制御における制御の単位。センサなどの検出端から測定値を受け取り、制御目標値に一致するように演算を行いバルブなどの操作端に指示を出力する制御の一連の流れを指す。 - エンジニアリングの効率化を実現する統合エンジニアリング環境「オートメーション・デザイン・スイート(ADスイート)」を開発
数多くのプロジェクトでエンジニアリングを行ってきたノウハウを生かし、プラントのライフサイクルにわたりエンジニアリングの効率を大幅に向上する環境を提供します。
エンジニアリングの支援ツールとして、熱交換器やフィルター装置など、現場で多く使われる設備ごとにプログラムのテンプレートを用意します。これにより、エンジニアリング作業の効率化とエンジニアリング品質の均一化を実現します。
また、制御システムのエンジニアリング作業の元となる機能設計書、制御プログラムのマスター情報などをCENTUMのデータベース上で一元管理し、プログラムの内容を更新した際に、履歴管理を行えるようになります。「ADスイート」で制御システムの設計情報を一元管理することにより、システムの増改造やメンテナンスの際に常に最新の設計情報を入手できるようになり、設計情報と実際のシステムの内容の不一致による無駄な工数の発生を抑えます。
N-IO入出力ユニット
主な市場
石油・天然ガス、石油化学、化学、電力、紙パルプ、薬品、食品、鉄鋼、上下水道などのプロセス産業分野の製造会社
用途
プラントの運転監視と自動制御
今後の展開
当社は、1975年に「CENTUM」を市場に投入して以来、さまざまな新しい技術を取り入れ、進化させてきました。2008年には理想の操業を実現する新シリーズとして「CENTUM VP」を発売し、継続的に機能強化を図っています。CENTUMシリーズ全体としては、全世界で2万5,000システム以上の納入実績があります。
現在は、開発コンセプトとして、
- 安全で生産性の高いプラント操業を実現する「超」直観オペレーション
- 計装設備全体を効率的にエンジニアリングできる「計装まるごとエンジニアリング」
- 最小のコストでプラント全体の操業を最適化する「インテリジェント・プラント・コンダクタ」
- ライフサイクルで高い効率を維持する「サステイナブルプラント」
の4点を掲げ、CENTUM VPの革新的な強化を進めており、今後も大幅に機能を拡張していく方針です。当社は、新しいCENTUM VPにより、最適な操作環境の提供によるより安全かつ高信頼で効率的な運転、制御システム・制御機器の連携による生産効率の大幅な向上、生産制御システムのみならず安全計装システムやプログラマブルコントローラ等を含めた制御システム・機器全体の保守の最適化、長期安定稼働のためのシステム保守にかかる費用の低減を実現するソリューションをお客様に提供してまいります。
◆ VigilantPlant(理想の工場)とは :
YOKOGAWAが考えるお客様にとっての理想の工場(VigilantPlant)は、プラント操業に関わる全ての人々に必要な情報が行き渡り、外部環境の変化にも俊敏に対応でき、生産活動が滞ることなく回りつづけ、設備も人も将来に向けて着実に進化を続けていくことができる、操業の全体最適を実現しているプラントです。
YOKOGAWAは、"VigilantPlant"ビジョンのもと"安全の確保"、"設備の最大活用"、"生産の改革"、"ライフサイクルの最適化"の4つの切り口で、理想の操業を実現するソリューションを提供しています。
注1) Pepperl+Fuchs GmbH:
工業用センサ、プロセスインタフェースソリューション、防爆機器を開発・生産しているドイツの企業
注2) MTL Instruments Group Limited:
Eaton Corporationの子会社で、過酷で危険な環境下での安全操業を実現するための機器を開発・生産しているイギリスの企業
以上
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横河電機株式会社 IAプラットフォーム事業本部 グローバル営業センター 国内営業統括部 国内システム営業部 - 本プレスリリースに関するお問い合わせ先
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関連製品&ソリューション
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統合生産制御システム(DCS)
独自のデジタル制御技術と経験、ノウハウの粋を集めた世界最初の分散形制御システム(DCS)である「CENTUM(センタム)」は、1975年に販売開始しました。発売以来、世界100カ国以上、累計30,000以上のシステムが採用されています。