2015年4月2日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、地震など、プラント配管の弁を緊急に遮断する事態が発生した際に、フィールド無線規格ISA100 Wireless™※1の無線通信で遠隔から遮断操作を行える「フィールド無線用電磁弁操作モジュール」を開発し、4月3日から販売を開始しますのでお知らせします。
フィールド無線用電磁弁操作モジュール
開発の背景
地震に備えた安全対策が進められるなかで、2005年に施行された省令では、石油などを貯蔵する浮き屋根式※2の屋外タンクに、地震の揺れで屋根の上に漏れ出した貯蔵物が雨水排水管を通じてタンク外に流れ出すことを防止する遮断弁を設置することが定められています。さらに、この弁を手動で閉められる体制を整えるか、弁を閉める機器を遠隔で操作できることも求められています。
当社は、プラントに設置されるフィールド機器と、上位の監視・制御システムなどの間の通信を無線化するフィールド無線システムの開発に取り組み、ISA100 Wireless対応の各種無線機器を提供しています。この技術を生かし、このたび、配線が不要で設置が容易なフィールド無線による遮断弁の遠隔操作ができる「フィールド無線用電磁弁操作モジュール」を開発しました。このモジュールを用いて遠隔操作を実現するフィールド無線システムを構築し、プラントの安全対策に貢献するソリューションを提供します。
電磁弁操作モジュールの特長
「フィールド無線用電磁弁操作モジュール」は、ISA100 Wirelessの無線通信で遠隔から緊急遮断用の空気式バルブアクチュエータ(バルブ駆動装置)を動作させるための装置です。上位システムとの中継役を果たすアクセスポイントから無線信号を受け取り、電磁弁を操作して空気式バルブアクチュエータを動作させ、遮断弁を開閉します。また、空気式バルブアクチュエータの動作情報を上位システムに送る役目も果たします。主な特長は以下のとおりです。
- 内蔵電池駆動による電磁弁の操作を実現
地震の際に外部電源の異常が発生した場合でも、「フィールド無線用電磁弁操作モジュール」は内蔵電池で電磁弁を操作し、空気式バルブアクチュエータを動作させます。通常の使用で10年間交換が不要な長寿命の電池を装備しています。 - 操作指示から10秒以内に閉止動作の完了が可能
地震発生時には、浮き屋根が大きく揺れ出すまでに遮断の動作を完了することが重要です。「フィールド無線用電磁弁操作モジュール」と当社フィールド無線システム機器を用いたシステムでは、ISA100 Wirelessの特長と当社のノウハウで、完全に二重化された信頼性の高い高速通信を確保できます。これにより、中央監視室等に設置された上位システムから弁の緊急遮断の指示を発した後、10秒以内に閉止動作の完了が可能です。 - 国内の本質安全防爆に対応
製油所や化学プラントで求められる本質安全防爆規格(本体部分Ex ia IIB T4)に対応しています。
接続機器
- フィールド無線用通信モジュール (当社製品FN110)
- ラッチング型電磁弁(当社推奨の本質安全防爆対応品)
- リミットスイッチ(当社推奨の防爆対応品)
主な市場
石油、石油化学、化学などのプラント
用途
上記プラントで使用される浮き屋根式屋外タンクの雨水排水管に設置する遮断弁の遠隔操作
今後の取り組み
地震および津波への対策が進められるなかで、雨水排水管用の緊急遮断弁の設置義務化に続き、タンクに貯蔵物を送る「受け入れ配管」、貯蔵物を出す「払い出し配管」についても、すでに設置されている弁をモータ駆動の電動弁ではなく空気弁に変更することが検討されています。当社はこの空気弁についても無線で遠隔操作できる機器を開発、提供していく方針です。
当社は今後も、フィールド無線ソリューションのコンセプト「Wireless Anywhere」のもとに、ISA100 Wirelessに準拠した無線フィールド機器や関連技術・機器を拡充し、お客様により高い価値をご提供する“ベスト・イン・クラス”のソリューションの開発に努めてまいります。
※1 ISA100 Wireless:
ISAが推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション
※2 :屋根が固定されておらず貯蔵物の上に浮いた形となっているタンクの種類。
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以上
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