2016年10月7日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、高速データ更新周期と長電池寿命を両立する、フィールド無線規格ISA100 Wireless™※準拠のフィールド無線用振動計を開発、10月7日より国内で販売を開始しますのでお知らせします。プラント設備の振動をリアルタイムに把握することにより、設備異常の早期発見や故障の予知を支援します。
フィールド無線用振動計
開発の背景
フィールド無線システムは、プラントに設置されるフィールド機器や分析計などと、監視・制御システムなど上位のシステムとの間の通信を無線化するシステムです。生産性向上や安全に対する意識の高まりから、プラントでより多くのデータを収集したいというニーズは高まっており、配線が困難な場所にも設置でき、有線システムに比べ敷設コストを削減できる無線フィールド機器の需要が増加しています。
コンプレッサー、ポンプ、モーターといったプラント設備の異常の早期発見や故障予知のためには、機器の振動の把握が大いに役立ちます。プラントでは、振動センサから上位システムへの有線通信、保全員の巡回による振動データの収集など、さまざまな方法で振動状況の把握が行われていますが、フィールド無線システムの普及が進むにつれて低コストで簡単に設置可能な無線振動センサの需要が高まっています。
当社は、ISA100 Wirelessに準拠した無線フィールド機器や無線システムを世界で初めて製品化し、温度、圧力、流量の測定などを行う無線フィールド機器のラインアップを充実させてきました。今回はこれに振動計を加え、振動データを異常の早期発見に役立てたいというお客様のニーズにお応えします。
新製品の特長
フィールド無線用振動計は、送受信部に当社のフィールド無線用通信モジュール「FN110」を搭載した新開発のフィールド無線用マルチファンクションモジュール「FN510」と、新開発の圧電型加速度センサ「LN01」とで構成されています。この振動計は、設備の振動を測定し、ISA100 Wirelessの無線通信により測定データを発信します。情報は受信アンテナおよびゲートウェイを経由して分散形制御システムDCSなどの上位システムに伝達され、プラントのオペレータや保全員がリアルタイムで振動の状況を把握することができます。設置するエリアにより、防爆/非防爆の2つのタイプから選択できます。主な特長は以下のとおりです。
- 高速なデータ更新が可能
データ更新周期を最短で10秒に設定できます。プラント設備の振動監視に適しています。 - 電池寿命が長く保守が容易
データ更新周期1分の場合は10年間、電池交換が不要です。電池のコストと保守の工数を抑えられます。 - 広範囲の信号を収集する高信頼システムを構築可能
ISA100 Wirelessの特長と当社のノウハウで、完全に二重化された信頼性の高い通信と長距離通信を実現します。
主な仕様
測定周波数帯域 | 10 Hz~10 kHz | ||
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測定可能範囲 | 加速度 0~300m/s2 速度 0~160mm/s | ||
データ更新周期 | 10秒~3,600秒 | ||
ケーブル長 | 10m ※振動計を構成するセンサ部と無線モジュール間のケーブル長 |
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防爆仕様 | TIIS本質安全防爆 |
主な市場
石油、石油化学、化学、紙パルプ、薬品、食品、鉄鋼などのプラント
用途
上記プラントで使用される、コンプレッサー、ポンプ、モーター、ファンなどの設備の振動の測定
フィールド無線分野における当社の取り組み
当社は、高度な制御技術が必要な連続工程への無線通信技術の導入と、最適なフィールド機器をお客様が自由に選択できる環境を整えることを目指し、2010年7月にISA100 Wireless準拠のフィールド無線用システム機器と無線フィールド機器を世界で初めて製品化しました。
今後も、ISA100 Wirelessに準拠した無線フィールド機器やアダプタ等の関連機器を拡充し、お客様により高い価値をご提供する“ベスト・イン・クラス”のソリューションの開発に努めるとともに、無線通信技術の普及に取り組んでまいります。
※ ISA100 Wireless:
ISAが推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション
以上
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