横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

【横河ソリューションサービス】エッジコンピューティングによる「設備異常予兆監視ソリューション」の提供を開始

2016年10月17日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)の子会社で国内の制御事業を担う横河ソリューションサービス株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、エッジコンピューティングによる「設備異常予兆監視ソリューション」の提供を10月19日より国内で開始しますのでお知らせします。このソリューションは、機械学習※1の機能を用いて設備異常とその予兆を監視するもので、お客様の設備の安定稼働と保全コストの削減に貢献します。

 横河ソリューションサービスは、10月19日(水)から10月21日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「FACTORY 2016」で、このソリューションを展示します。

e-RT3 plus
e-RT3 plus

開発の背景

 設備を長期にわたり安定的かつ効率的に運用していくことは、工場を運営するお客様の大きな課題です。そのためには、設備異常やその予兆を早期に発見し、設備の状態に合わせて適切なタイミングでメンテナンスを行っていくこと(CBM:Condition based maintenance)が必要となります。

 設備異常やその予兆を見つけるには、設備の振動、温度、電流などのデータを収集し解析することが有効ですが、設備がネットワーク機能を有していない、センサからの大量のデータを収集するための新たな通信インフラが必要となるなどの理由で、データ収集システムの構築が難しい場合があります。

 横河ソリューションサービスは、生産現場のさまざまなデータを収集し、お客様の製品品質、生産効率、安全性の向上などに役立てるIndustrial IoT(IIoT)の取り組みを加速しています。このたび、設備異常やその予兆を監視する新たなIIoTのソリューションとして、設備のすぐ近くで必要な処理を行うエッジコンピューティングによる「設備異常予兆監視ソリューション」を開発しました。

新ソリューションの概要

 設備異常予兆監視ソリューションは、Linux対応の高速CPUを備えた、横河電機のRTOS(リアルタイムOS)コントローラ「e-RT3™ plus」をエッジコンピュータとして、機械学習の機能をもつ設備異常診断専用のアプリケーションソフトウエアを実装するものです。主な特長は以下のとおりです。

  1. 機械学習により異常を検知でき導入が容易
    このソリューションは、AI(人工知能)に用いられる技術の一つである機械学習の機能を備えており、一定期間に収集したデータを自動的に解析し、通常と異なる状態になったことを検知します。人の作業が大幅に軽減でき、導入が容易です。また、現場で蓄積してきたノウハウを活用したい場合には、正常/異常を判定するパターン認識手法として広く活用されているMT法※2による異常検知を選択することも可能です。
  2. データ収集から解析、異常検知までを現場で実現
    自律的に動作するエッジコンピュータとして「e-RT3 plus」を設備に組み込み、データ収集から、解析、異常検知までを現場でリアルタイムに行えます。設備ごとに適したロジックで、データ解析、異常検知を行うことが可能です。必要に応じて、アラーム、平均値、定期的な測定値などのデータを汎用のEthernet通信で上位システムへ送信することもできます。
  3. 多種のセンサからデータ収集が可能
    製造現場には、測定値をアナログ信号で出力するセンサが多くあります。「e-RT3 plus」は、デジタル信号、アナログ信号の双方の入力に対応しており、多種のセンサからデータを収集できますので、さまざまな設備に組み込み、早期に運用を開始することが可能です。

主な市場と用途

電気・電子、半導体、自動車などの工場や、プラントのユーティリティ設備における、ポンプ、コンプレッサー、ロボット、変圧器、成形機などの設備の異常検知

今後の取り組み

 エッジコンピューティングは、現場の機器や端末の近くで演算や処理を行うことで、通信遅延の短縮や端末の負荷を低減する技術です。大量のデータを扱う、もしくは通信頻度が高いアプリケーションに適しており、IoTの応用範囲を広げる重要な技術として注目されています。
 横河ソリューションサービスは、「e-RT3 plus」をエッジコンピューティングのプラットフォームとして、今後も、お客様の品質安定化、生産コストの削減などの課題を解決するソリューションを開発、提供してまいります。

※1 機械学習:
人間の学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術。ある程度まとまった数のデータから、パターンを見つけ出す。学習した結果を新たなデータに当てはめることで、データの判断や将来の予測に応用できる。

※2 MT法:
MT(マハラノビス・タグチ)法は、マハラノビス博士が変数間の相関から導きだしたマハラノビス距離を品質工学の体系に取り入れたパターン認識の一つで、基準となるデータと判断対象サンプルの離れ具合をマハラノビス距離として算定し、定量的に違いを判断する手法。タグチは品質工学の創始者として著名な田口玄一博士を指す。

設備異常予兆監視ソリューション構成イメージ

以上

本件に関するお問い合わせ


トップ