2017年4月11日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、安全計装システム「ProSafe®-RS(プロセーフ・アールエス)」の機能を強化した「ProSafe-RS R4.03.00」を開発、4月26日から販売を開始しますのでお知らせします。
今回の機能強化では、「ProSafe-RS」を使った防消火システム(Fire and Gas System:FGS)構築のためのエンジニアリング機能を強化し、かつ操作監視画面を構成する操作プレートにFGS用プレートを追加しました。これらによりFGSとして「ProSafe-RS」の導入と運用の効率化に貢献します。
安全計装システム「ProSafe-RS」
開発の背景
石油やガス、石油化学、化学などのエネルギー、素材産業では、事故の防止、環境保全の観点から、操業時の安全確保に向けたさまざまな対策が行われています。安全計装システムは、操業時の異常を検出してシャットダウンなどの緊急動作を確実に実行する緊急遮断システム(Emergency Shutdown System:ESD)や、防消火システムFGSとして、プラントの安全確保のために活用されています。
当社の安全計装システム「ProSafe-RS」は、統合生産制御システム「CENTUM(センタム)」と統合できる特長を生かしてESD用途を中心に世界中のお客様に採用され、安全計装システム市場におけるシェアは業界トップクラスです(2017年4月現在 当社調べ)。2005年の発売以来、安全計装システムに対するお客様のニーズに対応して継続的に機能を強化してきましたが、今回は、FGSの需要拡大に対応し、FGSとして「ProSafe-RS」の導入・運用しやすさを追求しました。さらに、ESDとFGSの両用途共通で、入出力(IO)モジュールのラインアップ拡充、制御ネットワーク接続形態の種類拡充などお客様の選択肢を拡大するとともに、サイバーセキュリティを強化する機能を追加しました。
機能拡張の概要
- FGSとしての導入・運用の効率化
FGSの重要な機能として、煙、熱、ガスの検知機能があります。今回、「ProSafe-RS」のエンジニアリング機能に、煙、熱、ガスの検知に関して、動作や機能を定義したソフトウエア部品(ファンクションブロック)と、操作監視画面用に、ガス濃度や機器の状態などの検知器の情報を統合して表示できる操作プレートを追加しました。また、煙や熱の検知器を再起動する機能をIOモジュールに追加しました。これにより、異常検知後に通信を再開するために必要な再起動用回路が不要となり、省スペースと導入コスト削減に貢献します。これらの機能強化により、FGSとして「ProSafe-RS」の導入・運用の効率化を図ることができます。 - IOモジュールのラインアップ拡充
ソフトウエアの設定により対応する信号種を切り替えることが可能なIO装置「N-IO(Network-IO)」のラインアップに、デジタル信号の入力と出力のみに対応するIOモジュールを追加しました。安全計装システムでは、デジタル信号比率が高いため、コスト低減に貢献します。 - ネットワーク接続形態としてリング構成に対応
「ProSafe-RS」の制御ネットワークVnet/IP® ※1の接続形態として、ハブを中心として放射状に接続するスター型に対応していましたが、このたび機器をリング状に接続するリング型にも対応しました。お客様のニーズに合わせて、これまでよりも柔軟なネットワーク構成が実現します。
※1 Vnet/IP:当社が開発した、高信頼性と即応性を両立させた制御ネットワークです。プロセス産業用の通信規格として国際標準IEC61784-2に準拠しています。 - サイバーセキュリティを強化
「ProSafe-RS」のエンジニアリングステーションのソフトウエアのセキュリティ機能を強化したほか、Windows®のセキュリティ設定を見直し、従来よりも高いセキュリティレベルを確保できるようしました。また、複数の操作監視用PCのセキュリティ設定を一括して設定できるように、Windowsの管理機能を利用してセキュリティ設定を集中して管理できるようにしました。同一の設定が各PCに漏れなく施されることで、プラントのセキュリティ向上に貢献します。
「ProSafe®-RS」について
2005年2月に発売した安全計装システムです。安全度水準※2SIL3レベルを実現する機器として、第三者機関による認証を取得しています。統合生産制御システムCENTUMシリーズと組み合わせて使用することにより、プロセス制御システムと安全計装システムを統合できるという特長を有しています。2017年4月までに、国内外の約2,100プロジェクト向けに納入し、安全計装システム市場におけるシェアは業界トップクラスです。
※2 安全度水準:
国際電気標準会議(IEC)が制定した電気・電子・プログラマブル電子機器の機能安全に関する規格IEC61508で導入されている安全性評価の尺度。SIL1からSIL4 までレベルが区分されています。プラントに安全対策を施さない場合と比較して、リスクの度合いをSIL3は1/1000から1/10000の範囲に、SIL4は1/10000から1/100000の範囲に低減できます。
主な市場と用途
石油、ガス、石油化学、化学、薬品、電力、鉄鋼などのプロセス産業における各種プラントや、石油・天然ガスの生産設備における、緊急プラント遮断システム(ESD)やバーナー管理システム(BMS)および防消火システム(FGS)の構築とプラントの機能安全管理(FSM)遂行支援
以上
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