Single Cellome Unit SU10は、タンパク質やゲノム編集ツールなど目的の物質を、1細胞レベルで細胞質や核に直接デリバリーすることができます。また、1細胞レベルでのサンプリングも可能です。各社の倒立顕微鏡や実体顕微鏡に取り付けて使用します(SU10に光学顕微鏡は付属しません)。
SU10の特長
- 1細胞レベルで細胞質や核へ直接デリバリー&細胞質/核からのサンプリング
- 細胞へのダメージを最小限に抑えたデリバリー
- 操作の自動化により高速/高効率なデリバリー
1細胞レベルで細胞質や核へ直接デリバリー
詳細
アプリケーション例
アプリケーション実例 ゲノム編集ツールのデリバリー
- GFP発現HeLa細胞に、SU10を用いてCas9RNP、Cas9RNP+ドナーDNA(100b)をそれぞれデリバリーし、GFP遺伝子のノックアウト/BFP遺伝子への改変に成功
アプリケーション実例 初代培養細胞へのデリバリー
- マウス神経細胞へのデリバリーに成功
- 初代培養神経細胞へのプラスミドベクターの導入効率が大幅に改善
アプリケーション実例 植物培養細胞、植物組織へのデリバリー
- 硬い細胞壁、高い膨圧をもつ植物細胞へも穿刺/デリバリーが可能
- 培養細胞には倒立顕微鏡、厚みのある組織には実体顕微鏡といったようなサンプルにあわせて使い分けが可能
使用実績
基本動作原理
自動的な細胞検知・穿刺は、SICM※をベースとした技術
※Scanning Ion Conductance Microscope:探針(ガラスピペット)と試料(細胞など)の間の距離が近づくにつれて、イオン電流値が減少することを利用して、試料の表面立体形状を取得する。
SU10にはイメージ取得機能はありません。
細胞内への溶液や物質のデリバリーは、電気浸透と電気泳動を利用
ナノピペットの内壁は負に帯電するためナノピペット内液の陽イオンなどがイオン層を形成します。アプローチ時よりも高い電圧を印加するとイオン層がナノピペット先端側に移動します。イオン層の移動にともないナノピペット内液が動き(電気浸透流)細胞内へ注入されます。
核酸など強く負に帯電している物質はネガティブ電圧を印加した方が効率よくデリバリーできます。電気泳動により電気浸透とは逆向きに進む力が発生するためです。最適条件の検証は、弊社担当者がサポートします。
ダメージレスなシングルセルへのアクセス
- SU10で使用するナノピペットは先端外径が最小数十nmのガラスでできており、細胞へのダメージを最小限に抑えます
- 高い細胞生存率でデリバリー可能なため、生きた状態での1細胞解析が可能になります
自動ナノデリバリー機構
- 操作の自動化による高効率デリバリー
- 細胞表面検知、穿刺、注入の操作を自動化
- 90%を超える成功率、1細胞当たり約10秒でデリバリー可能(当社実験例)
自動ナノサンプリング機構
- 細胞の特定の部位から、微小量をサンプリングすることができます
- 回収したサンプルは、遺伝子解析などに使用可能です
自動ナノデリバリーの操作手順
- 溶液充填から約5分デリバリーが完了
- 作業者の負担を大幅低減
連続自動ナノデリバリー機能
- 細胞のXY位置調整も含めた“連続”自動ナノデリバリーが実現
- 連続自動ナノデリバリー機能で飛躍的にスループットが向上
Q&A集
Q1.マイクロインジェクションとの違いは?
A1.ガラスピペットの先端径が10分の1以下の細さのため、細胞へのダメージが抑えられます。
細胞表面の自動検知機能により、空振りや刺し過ぎを防ぎます。
注入動作は、空圧や油圧ではなく、電気的機構を利用します。
Q2.トランスフェクション試薬との違いは?
A2.特定の細胞のみにデリバリー可能です。
細胞質や核へ直接デリバリー可能です。
各細胞への導入量をソフトウェアで変更することが可能です。
Q3.エレクトロポレーションとの違いは?
A3.上記「トランスフェクション試薬との違い」に加えて、デリバリー時に細胞を懸濁する必要がありません。
Q4.注入量は?
A4.注入液量は、1 秒あたり数十fL(1fL=1×10-15L)と推定しています。
注入時間は、専用ソフトウェアで最小0.01秒から設定可能です。
※注入量は、溶質と溶媒によって変わる可能性があります。
Q5.ナノピペットは使い捨て?
A5.はい、消耗品です。ただし、1本のナノピペットで50細胞以上へのデリバリーが可能です。
※HeLa細胞を対象にした場合の当社実験例
Q6.必要な試薬量は?
A6.ナノピペットに充填する溶液量は3μL以上を推奨しております。
製品仕様
モータ アクチュエータ |
軸数 | XYZ方向:3軸 |
---|---|---|
ストローク | XZ:最大約50mm、Y:最大約30mm | |
設定分解能 | 0.625um | |
最高移動速度 | 1mm/sec | |
ピエゾ アクチュエータ |
軸数 | Z方向:1軸 |
ストローク | 500um | |
設定分解能 | 10nm | |
退避ステージ | 軸数 | X方向:1軸 |
ストローク | 100mm | |
ロータリステージ | 可動範囲 | 360° |
ジョイスティック コントローラ |
ジョイスティック数 | XY操作用:1本、Z操作用:1本 |
スイッチ数 | 2択トグルスイッチ:1個、3択トグルスイッチ:1個 | |
電源仕様 | 電源 | 100~240V AC |
周波数 | 50/60Hz | |
消費電力 | 70VA | |
外径寸法・質量 | 本体 | 337~456(W)mm×230(H)mm×377(D)m、7.4kg |
メインコントローラ | 133(W)mm×309(H)mm×364(D)mm、5.9kg | |
ジョイスティック コントローラ |
140(W)mm×114(H)mm×144(D)mm、1.2kg | |
ナノピペット(別売) | 先端外径 数十nm以下(参考値) (SU10ACC-NP02の場合) |
|
動作周囲環境 | 温度 | ・本体/電極ヘッド 5~40℃ ・その他のモジュール 15~35℃ |
湿度 | ・本体/電極ヘッド 80%RH以下(結露無き事) ・その他のモジュール 20~70%RH以下(結露無き事) |
|
設置環境 | 直射日光が当たらないようにしてください。 水、油、有機溶剤などが直接かからないようにして下さい。 引火性、有毒ガス、腐食性ガスが無いようにして下さい。 また、砂、埃、塵の多い場所、大きな電磁ノイズ源のある場所、火気のある場所、 水に濡れやすい場所、激しい振動のある場所での使用や保存はしないでください。 |
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設置姿勢 | 水平設置 | |
高度 | 2000m以下 | |
保管環境 | 温度 | -10~50℃ |
湿度 | 95%RH以下(結露無き事) | |
設置環境 | 直射日光が当たらないようにしてください。 水、油、有機溶剤などが直接かからないようにして下さい。 引火性、有毒ガス、腐食性ガスが無いようにして下さい。 また、砂、埃、塵の多い場所、大きな電磁ノイズ源のある場所、火気のある場所、 水に濡れやすい場所、激しい振動のある場所での使用や保存はしないでください。 |
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顕微鏡対応 | 各社倒立光学顕微鏡に取り付けて使用。お持ちの顕微鏡への取付可否については当社までお問い合わせください。 取付実績例:Nikon Ti2、Evident IX83、Zeiss Axio Observer |
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ソフトウェア仕様 インストールPC要件 |
対応OS | Windows10、Windows11 |
USB | Type A 2.0空きポート1つ以上 |
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ニュース
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