背景
電流センサは、電源回路や制御回路の評価、FPGA等の低電圧デバイスの消費電力量の測定などの微小電流用途から、工場での機器の消費電力量の測定や保守・保全、モーターの電力効率測定、風力発電機や太陽電池の発電量測定などの大電流用途まで、多岐にわたり使用されています。
従来の電流センサは、CT(Current Transformer)、ロゴスキーセンサ、磁気コアと磁気センサを用いた磁気平衡式の電流センサなどがありました。これらの電流センサは、電流が流れる導線をクランプする(挟む)ことにより、導線周りの磁界を検知していました。
技術
YOKOGAWAは、導線をクランプすることなく、導線に貼り付けるだけで電流を計測できるセンサを開発しました。このセンサは、導線に電流が流れる際に生じる磁界を電流センサヘッド内の磁気センサで計測し、独自開発のアルゴリズムを使って電流を導出することにより、クランプレス電流モニタリングを実現します。
将来構想
YOKOGAWAは、クランプレス電流モニタリングにより、次の価値をお客様に提供します。
- 狭いスペースでのセンサ設置
開発している電流センサは磁気コアを使用していないため、小型・軽量化することができ、電流センサの取り付けスペースが確保しづらい配電盤内や、部品密集度の高い電動車両内に本センサを設置することが可能になります。また、従来のセンサでは、測定電流が大きくなると磁気コアが大きくなり、さらに大きなセンサを取り付けるスペースが必要となります。そのため、大電流計測を行う場合は、磁気コアレスの効果がより顕著になります。
- 直流電流の測定
狭いスペースに設置可能な電流センサとして、ロゴスキーセンサが一般的に使用されています。ロゴスキーセンサは、コイルを使って導線周りの磁界を検知しているため、原理上交流電流しか計測できないという課題があります。開発している電流センサでは、磁気センサを使って磁界を検知しているため、直流電流から交流電流まで、広い範囲で測定が可能になります。