背景
近年、生産現場における技術者の不足は深刻化しています。特に、設備管理の現場においては、卓越した五感を使って設備の異音・振動・変状などの異常を察知し、設備の高稼働率維持に貢献してきた熟練技術者の減少が現場に及ぼす影響が大きい、というお客様の声を頂いております。
YOKOGAWAでは、このような課題に直面する生産現場を支援するために、熟練技術者相当の異常検知技術の実現をめざし、開発を進めています。その要素技術となるのが、エッジコンピューティングと機械学習です。
熟練技術者は設備が発する音・振動・視覚情報や設備を流れる電流値などのデータに基づき高度な異常検知を行っています。これらのデータは、従来収集されているようなプロセス側の物理量(温度、流量、圧力)と比べて、非常に情報量が多く、既設ネットワークを通しての収集やデータベースへの蓄積が困難という性質を持っています。
そこで、耐環境要件の厳しい生産現場でのフレキシブルな制御ニーズに答えてきたYOKOGAWA製品 eRT3-Plusをエッジコンピューティングのプラットフォームとして活用し、そのプラットフォーム上に機械学習によるオンラインモデリング機能を付加したシステムの開発を進めています。
技術
2016年度には、機械学習を中心に要素技術の検証を進めてきました。複数のお客様とのトライアルにおいて、各設備が現状取得しているデータから、設備異常発生に向けて、上昇傾向を示す非正常度の構成が可能であることを確認しています。
また本成果を元に、2016年10月17日付で、横河ソリューションサービス株式会社より、「設備異常予兆監視ソリューション」として、ソリューション提供を日本国内で開始する旨のプレスリリースを行いました。
今後の展望 ~設備管理のワーキングスタイルの革新へ
複数のセンサデータから非正常度を算出するシステムにより、設備の状態を定量的に把握することができるようになります。このような指標と、保全記録や故障記録を結びつけることによって、設備状態のより精確な把握が可能となります。これは、設備管理業務の変革へ向けた第一歩ともいえます。YOKOGAWAでは、さらなる技術開発を継続し、生産現場における付加価値創出を支援していきます。