ものづくり特集号
強いものづくりを支えるIT技術 (PDF:395KB/4ページ)
- 真鍋 嘉利 *1
*1 生産事業部生産技術本部
当社は,NYPS(New Yokogawa Production System)の基本思想に基づく一人ひとりの改善活動によって,お客様の価値向上に繋がるQDC(Quality, Delivery, Cost)を確保してきたが,近年,グローバルな競争環境の中で更なるQDCの向上が強く求められている。その実現のためには,NYPSを基本とした仕組みをベースとしたIT(情報技術)化が不可欠である。本稿は,ものづくりにおける更なるQDCの作り込みを実現するNYPSのIT化による改善事例を紹介する。
ダイアフラム自動設計・製造ツールの開発 (PDF:519KB/4ページ)
- 石橋 良治 *1
*1 生産事業部生産技術本部 伝送器生産技術部
プロセス用差圧・圧力伝送器に使われる接液ダイアフラムは,圧力伝送器を構成する重要な部品の一つであり,プロセス流体の圧力を感知するとともに,プロセス流体から伝送器本体を保護する役割を持っている。また,広い圧力範囲で,多種多様な流体に接するため,耐食性,耐摩耗性を考慮した様々な形状,材料が使われている。
製品の小型化,高性能化に伴い,ダイアフラムの特性要求は厳しくなる一方,開発期間の短縮やコスト競争力のある製品設計が求められている。製品コストの70%以上が初期設計段階で決定されるといわれ,コンカレント・エンジニアリングの重要性が一層高まっている。
本稿では,製・技一体となって試作と設計変更を最小にするダイアフラム設計と成形金型の自動設計,評価ツールを開発したので,その概要を紹介する。
電磁流量計のライニング技術 (PDF:368KB/4ページ)
- 大西 泰生 *1
*1 生産事業部生産技術本部 第2工程設計部
流量計測において重要な電磁流量計は,電子技術の進歩とライニング材料および工法の開発により高精度化と高信頼性化が進み,広い応用分野において流量計としての地位を確立してきた。電磁流量計におけるライニングは,検出器の測定管(金属パイプ)の内面を樹脂等で被覆することであり,発生起電力を効率的に検出すると共に,測定流体に対する耐食性や,耐磨耗性を確保する上で重要な部分である。ライニング材は測定流体に合わせて選択される。当社では,いずれのライニングも,原材料からの社内一貫工程で,高い品質を確保すると共にコストミニマムの生産設備・生産工程を実現している。本稿では,当社の主要ライニング材であるPFA,ポリウレタンゴムおよびセラミック測定管の製造技術について紹介する。
横河グループの最新表面実装ライン (PDF:434KB/4ページ)
- 舘沼 良行 *1
- 横森 政夫 *1
*1 生産事業部生産技術本部 共通生産技術部
横河電機(株)では,PLCをはじめとする小型コントローラ用実装基板から,LSIテスタの多層・高密度の大型実装基板を生産している。グループ・グローバル経営を推進しており,国内外に多くの開発,生産,販売拠点を持っている。本稿では,横河グループのマザー工場の一つである横河マニュファクチャリング(株)小峰工場(東京都あきる野市)における最新実装ラインについて紹介する。ここでは派遣社員を主体として24時間オペレーションを行っており,最新の3ラインはIT技術を駆使して多品種少量生産に対応したフレキシブルなラインとなっている。
第二世代PDM “TERRA” の開発 (PDF:395KB/4ページ)
- 森 康一朗 *1
*1 原価企画本部 開発基盤センター
PDM(Product Data Management)は,もの(製品,部品)づくりに関わるすべての情報(図面,電子データ)を一元管理し,ERP(Enterprise Resource Planning)と有機的に結合して,設計/ 生産効率の改善,品質向上を目指す製品情報管理システムである。
当社では1990年に第一世代のPDM の開発に着手し,運用を行ってきた。本稿で紹介する‘TERRA’は第二世代のPDMであり,旧システムでの運用実績をベースに,進化したIT,Web等のテクノロジを活用し,国内のみならず海外の開発・生産拠点も含めたグループグローバルでの情報共有を可能にしている。
プリント配線板同時並行設計CAD システム CADVANCE (PDF:376KB/4ページ)
- 井上 哲 *1
- 布施 武 *1
*1 株式会社ワイ・ディ・シー
プリント配線板設計のチームデザイン環境を実現する,同時並行プリント配線板設計システム‘CADVANCEεC3Design(キャドバンスイプシロン・シーキューブ・デザイン)’を開発した。
本製品は,一つのプリント配線板設計データを複数の設計者が同時にアクセスして並行設計することが可能であり,設計期間を大幅に短縮することができる。また,ネットワークを介して遠隔地からの同時並行設計を可能にしている。
マルチバリアブル伝送器EJX910 (PDF:326KB/4ページ)
- 伊藤 章雄 *1
- 三村 慎一 *3
- 小山 越太郎 *1
- 尾土平 *1
- 新国 雅章 *1
- 宮内 龍彦 *2
*1 IAプロダクト事業センター フィールド機器技術部(甲府)
*2 IAグローバルサービス本部 グローバルレスポンスセンター
*3 IAプロダクト事業センター 伝送器技術部
差圧計,圧力計,温度計,流量演算器の機能を1 台に搭載して省スペース性かつ高機能化を実現したEJX910マルチバリアブル伝送器を開発した。この伝送器は独自の演算方法を採用することで質量流量演算周期100ミリ秒を実現した。またレイノルズ数補正アルゴリズムを採用するなど,全ての流量演算パラメータを最適化することにより,1%という高い質量流量精度を実現した。さらに対応アプリケーションとしてはオリフィス,ノズル,ベンチュリ管などの多数の絞り機構や一般流体,蒸気表,天然ガスなどの広範囲の流体種に対応している。質量流量演算の際必要となる絞り機構や流体情報等のアプリケーション情報は,PC上で動作する流量パラメータ設定ツール(EJXMVTool)を使用して入力し,フィールド通信により伝送器にダウンロードする。英国の天然ガステストラインにおけるフィールドテストでは,質量流量測定精度として1%を満足する良好な結果が得られている。
ソースメジャーユニットGS610 (PDF:348KB/4ページ)
- 坂巻 康雄 *1
- 本間 雅美 *1
*1 通信測定器事業部 第2開発PJTセンター
当社では,7651や2500シリーズなどの直流発生器を提供しているが,これら直流発生器の測定要求について改めて検討を行い,それに応えるさまざまな機能を搭載し,直流電圧・電流の発生と測定機能を一体化したソースメジャーユニットGS610を製品化した。GS610は多様なアプリケーションに対応できるよう,高精度(±200 ppm),高分解能(5.5桁),高出力(60 W),ワイドレンジ(200 mV~110 V,20μA~3.2 A),高速応答(200μsec)で,かつ容量性及び誘導性負荷に対しても高安定を実現した。また,USBストレージ機能やWebサーバ機能などにより,パソコンやネットワークとの親和性を向上させ,利便性を大きくすることができた。