横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

Vol.59 No.1 (2016)

No.1プラントにおけるデータ活用 特集

巻頭言 データエンジニアへの期待 (PDF:246KB/2ページ)

  • 加納 学 *1

*1 京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 教授


第3次人工知能ブームを機に見る製造業におけるデータ解析技術の変遷 (PDF:393KB/4ページ)

  • 中林 暁男 *1
  • 和田 英彦 *2

*1 横河ソリューションサービス株式会社 ソリューションビジネス本部 インダストリアルソリューションセンター4部
*2 マーケティング本部 事業開発センター 技術戦略室

近年,第3次人工知能ブームの到来を主張する意見が散見されるようになってきた。ネットワーク/クラウド環境などのデータ基盤と統計/パターン認識/機械学習などの高度なデータ解析技術の進展によって,ビッグデータから知が生み出されるという報告が相次いでいることが背景にある。このIT 技術のトレンドは,製造業におけるデータの活用の仕方に対して着実に影響を与え始めている。本稿では,近年のIT 技術トレンドにおける主要なトピックスを俯瞰し,その背景にビッグデータと高度なデータ解析技術があることを明らかにする。その上で,このIT 技術トレンドの影響を受けた製造業におけるデータ解析の変遷について述べ,製造業のデータ解析の今後について議論する。


エネルギーと品質の最適化を目指したモデル化技術と適用事例 (PDF:646KB/4ページ)

  • 鎌田 健一 *1
  • 福沢 充孝 *1

*1 マーケティング本部 イノベーションセンター インキュベーション部

プラント設備の運転実績データから,その特性を網羅的に抽出するモデル化技術を開発した。これを用いて投入エネルギーやコストと製品品質の関係をモデル化し,さらに独自の最適化アルゴリズムによってプラントの最適運転条件を求め,操業改善を支援することを狙っている。従来,プラントのモデル化のためには高度な知見が必要であり,多大な工数がかかっていたが,本手法は従来手法に比べて大幅に工数を削減することができる。本報告ではこのモデル化技術とプラントデータを用いた診断事例を紹介する。


プロセスデータを対象とした類似波形の高速検索法 (PDF:381KB/4ページ)

  • 黒田 知宏 *1
  • 大谷 哲也 *2
  • 和田 英彦 *3

*1 マーケティング本部 イノベーションセンター インキュベーション部
*2 ソリューションサービス事業本部 高度ソリューション事業部 高度ソリューションセンター RTO部
*3 マーケティング本部 事業開発センター 技術戦略室

プラントのオペレータは過去の経験に基づきプラントの操作をすることが少なくない。そのため,蓄積された大量のデータから,現在のプラントデータに類似している過去のデータを簡単に検索することができると,オペレータの判断の助けになる。このような状況においては,大量のデータの中から類似する波形をいかに効率的に見つけることができるかが問われている。
本稿では,現在のプロセスデータの波形,あるいは,ヒストリカルデータのある区間の波形に注目し,注目している波形と類似の動きをしている波形を,蓄積されたデータの中から高速に検索する技術を紹介する。


品質安定化ソリューションとMT法 (PDF:925KB/6ページ)

  • 新井 貴久治 *1
  • 上田 健夫 *1

*1 ソリューションサービス事業本部 高度ソリューション事業部 高度ソリューションセンター APS部

近年の製造業では,市場ニーズの多様化と同時に,製品品質の安定化が求められている。例えば,使用する原材料の品質のバラツキや,顧客からの高いレベルでの要求品質などの環境の変化や外部からの要求に対応した運転が求められる。
そのような状況の中,横河電機は顧客の品質管理,製造,生産技術各部門へ品質安定化を実現するソリューションの提案を行ってきた。本稿では,我々がデータ解析手法の一つとして採用してきた「MT( マハラノビス・タグチ)法」を中心とした品質を安定させるためのソリューションを紹介する。


MT法を活用した製剤の品質安定化と医薬品連続生産への応用 (PDF:1731KB/6ページ)

  • 小西 優 *1
  • 須藤 政信 *2
  • 村上 譲司 *3
  • 藤沢 尚人 *4

*1 横河ソリューションサービス株式会社 首都圏統括本部 第1営業本部 薬品営業部
*2 マーケティング本部 IAMKセンター IA戦略部
*3 マーケティング本部 事業開発センター 技術戦略室
*4 横河ソリューションサービス株式会社 ソリューションビジネス本部 コンサルティング1部

製薬産業において,製剤工程を中心に製造方式を刷新する動きが始まっている。適正製造規範 (GMP: Good Manufacturing Practice) の管理下で製品品質を担保している医薬品製造プロセスは,他産業と比べ生産性において非効率であるという課題があった。そこで従来の製造方式であるバッチ生産プロセスを連続生産プロセスに切替えて,製品品質を維持しつつ効率性を改善する取り組みが行われている。製剤工程における連続生産プロセ スの実現には,安定した品質で連続的に製品を生産するための品質安定化技術の導入が必要である。本稿では,まずMT (Mahalanobis Taguchi) 法を活用した品質安定化の事例を紹介する。次に,連続生産システムの構築に必要な技術戦略について解説する。


機械学習を用いたセンサデータ解析の可能性 (PDF:974KB/4ページ)

  • 髙見 豪 *1
  • 徳岡 萌 *1
  • 後藤 宏紹 *1
  • 野坂 祐一 *1

*1 IAプラットフォーム事業本部 新分野開発センター フィールドデジタルイノベーション部

IoT (Internet of Things),ビッグデータというキーワードが多くのメディアで取り上げられている中,集められた多くのデータをどのように活用するかという点に注目が集まっている。一方で第3次人工知能ブームと呼ばれる時代が到来しており,人工知能・機械学習の分野での技術の進化はすさまじい勢いで進んでいる。我々はこの機械学習の技術に着目し,この技術をIA 分野のセンサデータに適用した場合に,従来と比較してさらに高度なセンサの劣化診断やメンテナンス予測などの保全業務に活用できる可能性があると考えている。本稿では機械学習の理論の概要と,機械学習の理論をpH センサに適用した事例を紹介する。


業務改善サイクルを支援するリアルタイムデータ抽出技術 (PDF:1039KB/6ページ)

  • 新名 伸仁 *1

*1 IAプラットフォーム事業本部 ビジネス推進センター ソリューション共創部

業務改善サイクルを支援するリアルタイムデータ抽出技術を開発した。この技術は,温度,電流値などの連続データから離散した工程データをリアルタイムに抽出する技術である。このデータを利用することで,原因調査,課題分析,解決策の実施や評価を行いやすくなり,業務改善サイクルを効率よく回すことができる。本稿では,この技術の基本的な考え方とフィルム工場に適用した例を紹介する。


プラントにおけるデータ活用を加速させるExaquantumの進化 (PDF:688KB/4ページ)

  • 木村 勝 *1

*1 IAプラットフォーム事業本部 システム事業センター PAシステム企画部

Exaquantum は,MES (Manufacturing Execution System) 領域のキーコンポーネントであるPIMS (Plant Information Management System) ソフトウェアパッケージであり,リリースしてから15 年以上の歴史を持つ。当初は,DCS (Distributed Control System) のプロセスデータを蓄積して,日報や月報などの帳票に使用するという狭い領域での用途が多かった。しかし,数年前から複数プラントに跨ったデータを蓄積し,大量のプロセスデータとアラームメッセージを解析し,操業の改善活動に活用するような使われ方をするようになってきた。2015年10 月に発売されたR3.01 では,更に操業改善活動に活用されるようリアルタイム性を保証しつつ,データ収集のスループットや最大タグ数を大幅に向上させた。本稿では,Exaquantum R3.01 における改善点や技術的な特徴を説明するとともに,提供できるソリューションを紹介する。



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