No.3 光通信 特集
横河電機の光通信分野への取り組み (PDF:286KB/2ページ)
- 三浦 明 *1
*1執行役員 フォトニクス事業部長
光通信分野を21世紀の社会を支える重要なインフラの一つと位置付けて技術開発を行ってきた横河電機の取り組みについて概説し,当社がモジュールからサブシステム,測定器まで総合的なソリューションを提供できるメーカーとなったことを述べる。さらに,光通信技術の今後の方向性と横河電機としての将来展望を示す。
長距離光伝送システム向け43 Gbps RZ-DQPSKトランスポンダ (PDF:421KB/4ページ)
- 太田 篤伸 *1
- 谷村 大輔 *1
- 客野 智彦 *1
- 飯尾 晋司 *2
*1フォトニクス事業部 開発センター回路実装設計Gr.
*2フォトニクス事業部 第1技術部
世界で初めて43 Gbps RZ-DQPSK(Return to Zero Differential Quadrature Phase Shift Keying)変復調方式を採用した,高性能トランスポンダサブシステムを実用化した。既に,国内の大手通信キャリアにて稼動する基幹回線用の伝送装置向けに,商用機として300台以上を評価・生産し出荷した。本トランスポンダサブシステムは,国際標準OTN(Optical Transport Network)に準拠した大容量光ネットワークへの適用が可能であり,誤り訂正機能を有するOTN フレーマと組み合わせることにより,1 波長当たり43 Gbps 以上の動作速度で高品質データを伝送する高密度波長多重(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)光伝送システムの実現を可能にする。本稿では,43 Gbps RZ-DQPSK トランスポンダサブシステムの特徴,構成及び性能について報告する。
光位相変調アナライザNX7000
-変調位相揺らぎと復調時間波形を実時間で同時観測- (PDF:448KB/4ページ)
- 谷村 和紀 *1
- 前田 実 *1
- 赤堀 浩司 *1
- 太田 裕之 *1
*1通信測定器事業部 要素技術開発部アプリケーションGr.
40 Gbps といった高速大容量光伝送システムでは,光のON/OFF を用いた強度変調方式(OOK:On-Off Keying)だけでなく,DPSK(Differential Phase-Shift Keying)やDQPSK(Differential Quadrature Phase-Shift Keying)といった光の位相に情報を重畳する位相変調方式(PSK:Phase-Shift Keying)が導入されている。そのような高速光位相変調信号の位相情報を実時間で評価・解析できる世界初の測定器として,光位相変調アナライザNX7000を開発した。この測定器では光位相の測定原理として遅延自己ホモダイン検波の手法を用いており,測定器内に参照基準レーザ光源を必要としないため,信号波長に依らず高精度・高安定な測定を可能としている。また,高時間分解能を有するデータ・サンプリング手法を導入することで,被測定信号の品質評価に必要とされる変調位相揺らぎと復調時間波形の同時観測を実現している。本稿では,NX7000 の概要について述べる。
40 Gbps トランスポートアナライザNX4000 の測定アプリケーション (PDF:296KB/4ページ)
- 大利 賢治 *1
- 志田 秀夫 *1
- 堤 成一 *1
- 高橋 賢司 *1
*1通信測定器事業部 光通信計測開発部開発統括. 開発5Gr.
NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)の通信需要を支える40 Gbps トランスポートネットワークの商用展開が始まった。40 Gbps ネットワークおよび伝送装置の測定ニーズも増大しており,当社は40 Gbps SDH(Synchronous Digital Hierarchy)/SONET(Synchronous Optical NETwork)/OTN (Optical Transport Network)に対応した,ネットワークや伝送装置の伝送品質や特性を正確に,かつ効率よく測定するためのNX4000トランスポートアナライザを開発した。本稿では,NX4000について,豊富な測定アプリケーションを中心に紹介する。
位相変調方式光伝送システム向けデュアルPINフォトダイオード (PDF:543KB/4ページ)
- 梅沢 俊匡 *1
- 工藤 貴裕 *1
- 日原 衛 *2
- 和田 守夫 *2
*1フォトニクス事業部 第1技術部4チーム
*2フォトニクス事業部 第4技術部2チーム
自社開発した化合物半導体デバイスにより,DPSK(Differential Phase Shift Keying)やDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)に代表される新しい光伝送方式に対応した受信用デュアルPINフォトダイオードモジュールを開発した。デュアルPIN素子は面入射型ツイン構造とし,後段アンプと一体モジュール化した。ファイバ長を含めたデュアルPIN間でのスキューずれが考慮され,40 Gbpsの高速応答,高感度特性,高い同相除去比及び誤り率特性に優れた性能を実現した。このフォトダイオードは,当社が世界に先駆け製品化した40 Gbps での長距離伝送を可能にした RZ-DQPSK トランスポンダ(PNTR404)にも適用されている。
10 Gbps バーストモードCRと光パケットトランシーバ
― 50 ps で同期するクロック再生技術とその応用 ― (PDF:369KB/4ページ)
- 菅原 寛 *1
- 井澤 敏泰 *1
- 岩渕 直希 *1
- 伊藤 直樹 *1
*1フォトニクス事業部 第2技術部
同期引き込み時間50 ps(10 Gbpsデータの1/2 bit相当)で動作する高速バーストモードクロック再生IC(Burst mode clock recovery:Burst CR)を開発した。また,このBurst CR を組み込んだ光パケットの送受信機能を持つ光パケットトランシーバを開発した。これらは,光パケットネットワークや10 G-PON(Passive Optical Network)などの次世代光通信において,正確な通信と安定した動作のための重要な技術であり,次世代光通信の早期実用化に大きく貢献することが期待される。
超高速光回線交換機 “光ルータコアサブシステム” (PDF:322KB/4ページ)
- 末広 雅幸 *1
- 中島 眞一 *1
- 浅野 義之 *2
- 石井 貴之 *1
*1フォトニクス事業部 第4技術部
*2フォトニクス事業部 第1技術部
自社開発の超高速光スイッチ素子を搭載した“光ルータコアサブシステム”と名付けた新しいタイプの超高速光回線交換機を開発した。本装置は,双方向で超高速に光回線交換を行う機能を備えており,光信号のフォーマットやビットレートに依存しないで動作することができる。高速大容量通信方式に使われる43 Gbps DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)信号,DPSK(Differential Phase Shift Keying)信号,更に高速の160 Gbps RZ(Return to Zero)信号を劣化させることなく通すことを実証した。GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)での高速光回線切替え,光バーストスイッチングネットワーク,スーパーコンピュータのノード間通信などへの適用が考えられる。