2017年1月10日発表
横河メータ&インスツルメンツ株式会社(本社:東京都武蔵野市 社長:山崎 正晴)は、波長範囲350nm~1750nm(ナノメートル)のレーザの光スペクトルを、広い測定ダイナミックレンジと高い波長分解能で高精度に測定する光スペクトラムアナライザ「AQ6374」を開発、1月11日から発売しますのでお知らせします。
光スペクトラムアナライザは、半導体レーザやファイバレーザなど光デバイスの光波長成分を分解し、波長特性を評価するために使用される測定器です。「AQ6374」は、可視光から光通信の波長帯に至る広い波長範囲を1台で測定できる、業界で唯一※1の光スペクトラムアナライザです。
※1:2017年1月現在 当社調べ
光スペクトラムアナライザ「AQ6374」
拡大
開発の背景
近年、光学技術は、光通信、医療、家電、材料加工など幅広い分野に応用されています。これらの市場拡大に伴い光学技術を応用した関連製品の研究・開発が活発化し、光スペクトルを評価・解析する測定器である高性能な光スペクトラムアナライザへのニーズが高まっています。
市場にある光スペクトラムアナライザは、測定できる光の波長範囲が限定されており、光通信分野で使われる波長範囲(1260nm~1675nm※2)が測定できるものと、医療、家電、材料加工分野などで応用されている光の波長範囲に相当する可視光の波長範囲(380nm~780nm※3)が測定できるものとに分かれています。そのため、光学技術の基礎研究、広帯域光源メーカ、および分野をまたいで使用される光部品のメーカは、複数の光スペクトラムアナライザを併用するか、分光器を用いた大型の測定システムを構築する必要がありました。
このたび当社は、広い波長範囲を1台で効率よく測定したいというニーズに対応して、可視光から光通信の波長帯に至る広い波長範囲をカバーした「AQ6374」を開発しました。
※2:国際通信連合の電気通信標準化部門(ITU-T)が定めた光通信の波長範囲
※3:国際標準化機構(ISO)がISO 20473:2007で定めた可視光の波長範囲
新製品の特長
- 広い波長範囲(350nm~1750nm)
業界で唯一、可視光から光通信の波長帯に至る広い波長範囲の光スペクトルを、評価・解析します。データ取得の最高分解能2pm(ピコメートル)、最大波長サンプル数10万ポイントを実現したことで、広い波長範囲を1回で高精度に評価・解析します。近傍ダイナミックレンジ※4は60dBで、半導体レーザのサイドモード※4特性の測定に十分な性能を実現しました。「AQ6374」は、1波長の光しかでない半導体(DFB-LD)と広い波長範囲の測定が求められる光ファイバと両方の開発に活用できます。
※4:近傍ダイナミックレンジとサイドモード:サイドモードとは、被測定光のピーク光と近接したスペクトルのことで、これを分離し測定する性能のことを近傍ダイナミックレンジという - 被測定光本来の光スペクトルの測定が可能
分光器内の空気に含まれる微量な水蒸気は、特定の波長の光の吸収するため、水蒸気を除去する機構を採用しました。また、分光器の原理上発生する高次回折光(入力光波長の2~3倍の波長の光)の影響を低減する機能を搭載しました。被測定光本来の光スペクトルの測定を可能にします。
主な対象ユーザ
光学分野の大学・研究機関、光半導体デバイスメーカ、光部品メーカなど
主な用途
半導体レーザ、ファイバレーザの発光スペクトル評価
光ファイバ、光フィルタの波長透過特性測定
当社は米国子会社を通じて、1月31日(火)から2月2日(木)まで米国サンフランシスコの Moscone Centerで行われる、光学技術分野で世界有数の展示会「Photonics West 2017」に本製品を出品します。
光測定分野における当社の取り組み
当社は、1980年代に光測定器の市場に参入し、主に可視領域の光源や光パワーメータを中心に事業を展開してきました。2004年には、世界でトップクラスの光通信用測定器メーカである安藤電気を統合し、以降両社の強みを活かした製品を開発してきました。新製品「AQ6374」は、可視光から通信波長範囲を測定できる光スペクトラムアナライザとして多くのお客様に支持され、2006年まで販売してきた、当社の「AQ6315」の基本性能を大幅に向上したものです。
当社は、光スペクトラムアナライザ以外にも、世界トップクラスのシェアを誇るOTDR(光パルス試験器)や、光パワーメータ、レーザ光源など幅広い製品を揃え、光測定分野のお客様のニーズに応えています。
以上
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