121世紀にわたるYOKOGAWAの歴史には、強靭じんな意志が脈々と受け継がれている。それが制御の分野で国内トップを走り、世界においても企業規模では数倍から数十倍近い競合に伍ごして、揺るぎない地位を占め続ける力の源泉となっている。 受け継がれる原点のひとつは、計測・制御という工学の基礎、そして近代的生産システムの「中枢」を担う事業活動への使命感・責任感である。人はエネルギーやモノを造り、利用することによって、豊かな生活を築き上げてきた。その豊かさを爆発的に加速させたのが近代科学であり、近代的な生産システムである。その土台は、物事を精緻に観察すること、そして観察により得た情報を分析することにある。五感での観察や経験に基づく作業・判断といった属人的な能力を数値化・蓄積・分析することによって、大量生産や自動化・機械化などが現実のものとなった。100年前、創業者である横河民輔が、会社の立ち上げを委ねた若き2人の技術者に与えた言葉、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術を磨くことだ。横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」――は、ゼロからの出発や欧米へのキャッチアップを踏まえた言葉であるが、それだけではない。研究開発や工業化の基盤を担う企業として不可欠な技術への信頼をまず獲得すべし、との意思であり、これをYOKOGAWAは忠実に実践してきた。 創業から10年目の1924年には、国内初の携帯用電磁オシログラフが完成した。YOKOGAWAはオシログラフや電気計器などを1930年のベルギーのリエージュ産業科学万国博覧会に出品し名誉賞を獲得。オシログラフが改良を重ねつつ30余年にわたって日本全国の研究所・大学で使用され、研究活動を支えたことは、YOKOGAWAが担ってきた使命の一端を示している。創業期から販売され、現在もYOKOGAWAの有力な製品のひとつである電力計の精度の追求に、その精神はよく表れている。計測した数値が信頼して利用されるには、物差しそのものが高精度でなければならない。YOKOGAWAはこの当たり前のことに心血を注いできた。創業期、日本における電気普及の黎れい明期に開発された計器類は海外製品を手本に出発したが、またたく間に世界レベルにプレシジョンパワーアナライザ「WT3000E」(写真はN-3形)計測の頂点に原理からアプローチ近代科学・工学の発展に貢献圧倒的な品質こそが信頼を生む世界が認める技術と品質YOKOGAWA’s Strengths高精度と長期安定性
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