15YOKOGAWA 100th Anniversaryケーションを踏まえた全体最適実現に向け生産拠点のグローバル展開が始まり、現在ではアジアを中心に世界で19拠点を展開。国内の横河マニュ ファクチャリングの工場はマザー工場として、コア製品の生産と生産技術の開発、海外拠点支援へと役割を変えつつある。こうしたプロセスを経て、NYPSは再び人間性尊重の理念に 立ち返り、一人ひとりのやる気と力を引き出す“モノづくり”を強めようと している。 ソリューション展開に力を入れているYOKOGAWAであるが、その原動力のひとつは、やはり創業から 培ってきた技術力・製品の強さにある。研究・開発・生産が一体となって差別化できる機能・品質を備えた製品・システムを、グローバル化の時代に求められる適正な価格で提供すること。メーカーの王道をいく歩みは今もなお続けられている。なケースも生じた。これに対してYOKOGAWAは、常に既存製品との接続性を確保したうえで新たな計測・制御の製品を提供してきている。とくに「CENTUM」は、その出発時点から人間尊重の発想が重視され、オペ レータがアナログ計器と同様の感覚で扱えるという視点で設計がなされた。以後、単にコストや性能・効率の面からいえば制御システムの設計を一新したほうが楽であっても、従来機からの継承性を維持しながら機能を強化してきている。こうしたオペレータへの 配慮も、「CENTUM」の高評価を陰で支えているのである。 高精度・高安定性の製品・シス テムを納得して提供するため、YOKOGAWAの現場は不断の努力を行ってきた。 YOKOGAWAの生産は受注生産である。1970年代まで当社は、通常のように計画生産を行い、部品・製品の在庫を抱えてきた。しかし、国内市場の飽和と海外展開の拡大、競争激化などから、1981年にトヨタ生産方式を源流とするNPS(The New Production System)の導入と、受注生産への転換によって、生産コストを下げていくことを決断する。数十万台、数百万台の 大量生産・販売体制をもつトヨタの 方式を、極言すれば1製品ごとに仕様が異なるYOKOGAWAに導入できるのか――現場では猛反発が起こったが、従来の発想や考え方をとにかく変えていくショック療法であった。 その後、人間性尊重と無駄の排除というNPSの基本思想のもと、受注 情報の徹底管理による生産物量の 平準化や、情報・物品一体の生産 ライン整備などによる混合生産方式の洗練、さらに開発や物流・販売と いった前工程・後工程との連携などによる製品提供プロセス全体での無駄の徹底的な排除などが進められた。その過程でYOKOGAWA独自の生産方式、NYPS(New Yokogawa Production System)が確立されていく。発想の転換と地道な改善の努力により、6カ月のリードタイムが常識とされていた 製品でも、圧倒的なリードタイム短縮が実現された。 さらに、集中生産による生産の効率化、ローカルニーズに対応するモディフィ 横河マニュファクチャリング甲府工場の生産ライン高品質製品を適正価格で――生産技術の向上
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