21YOKOGAWA 100th Anniversary知名度の低さのもとで戦わなければならない海外事業は忍耐の時期が続く。1980~1990年代は、石油メジャーなどの大手企業にアプローチし、長期的な信頼関係構築を重視して受注に努め、グローバル市場における当社の製品・技術力のアピールやお客様基盤の構築に注力した。この地道な努力が2000年以降、急速な海外売上の拡大につながっていった。さらに、2003年に開始した制御事業に関するマーケティング活動「vigilance(寝ずの番の意)」と2005年に発表した「VigilantPlant」によるブランディング活動が当社の市場における認知度を一気に向上させ、成長に拍車をかけた。常にお客様のプラントを見守るYOKOGAWAの姿勢と、それを支える高信頼の製品、充実したサービス体制を可視化してアピールするこの活動は、自負と団結の軸として海外のグループ社員に歓声をもって迎えられた。こうした好循環は、YOKOGAWAが進めてきた海外拠点の現地化をよりスムーズに進めることにもなった。2005年4月、海外制御事業の統括会社Yokogawa Electric Internationalがシンガポールに設立されたのは、YOKOGAWAがグローバル化を次なる段階へと進める意思の表れであり、それまで20~30%台で推移していた海外売上高比率も2006年には50%を突破する。2010年代に入ると、海外社員の比率も5割以上となった。YOKOGAWAは制御事業でグローバルNo.1カンパニーとなることを目指し、制御事業を中心とした成長戦略に取り組む一方で、グローバルに競争力を発揮するための構造改革に取り組んだ。現地化は地域に根付く面で奏功してきたが、次のステップとして、現在は各拠点の力を最大限に生かしながら、グループ全体として最適な体制の構築を進めている。 石油・ガス、電力、化学等の業種ごとのノウハウ、知識は共有化され、グローバルに活用されている。また、エンジニアリングやプロジェクト遂行に関するノウハウはセントラル・エンジニアリング・センター(CEC)に蓄積され、安定した品質のエンジニアリングサービスをグローバル市場のお客様に提供する仕組みが構築されている。開発においては、日本の開発機能を中心としながらも、専門性の高い製品やソフトウエア開発についてはそれぞれを得意とする海外拠点がその機能を担い、グローバルに競争力のある製品・ソリューションを生み出している。多品種少量生産が求められる生産面では、日本、中国、シンガポール、インドネシア、韓国に制御・計測事業の集中生産拠点を設け、現地特有の仕様に合わせたノックダウン生産を行う消費地生産拠点との連携を図りながら、高品質の製品を速やかにお客様に届ける体制を構築している。各拠点が「品質第一の心」を共有し、世界中のお客様に対して満足と信頼を提供する「世界同一品質」を実現させている。これら一連の機能的な体制構築によって、世界のいかなる場所でもYOKOGAWAの名に恥じないソリューションサービスを提供することが可能となり、その結果、制御事業では日本で圧倒的なトップ、アジアでも首位の座を堅持し、グローバルNo.1という中長期目標を射程にとらえつつある。制御事業グローバルNo.1を目指して
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