NASAのロケットに搭載された電離層測定器の内部42 1960年代に入ると、株式会社日立製作所、株式会社東芝、三菱電機株式会社、富士電機株式会社などの大手電機 メーカーが計測器や工業計器の分野に進出し始めた。 当社は日本の工業計器で約30パーセントのシェアを占めていたが、山崎新社長は業務の簡素化、R&Dセンター建設(1962年7月完成)などで内部の体制を固める一方、輸出強化を主方針とした。アメリカには1957年に現地 法人を設立していたが、欧州、アジア、オーストラリア、中南米に販売代理店を設置し、また共産圏市場も開拓した。米ボルトロン社との合弁による米電気計器生産会社 アクローム・エレクトロニクス社(Acrohm Electronics Inc.)設立(1962年)なども実施した。 製品面では、電力会社向けの交流計算盤COM-21 の開発(1961年)や、NASAの宇宙ロケットへの電離層測定器の採用などの進展をみせたが、なんといっても特筆すべきは1960年のコンピュータによるデジタル 制御技術開発への着手であった。当社はER、ECSの 開発と計装工事への拡大によりオートメーション市場で先行することはできたが、来るべき技術の核はアナログ ではなくデジタルコンピュータであるとの判断から、競合に先行して人的リソースの集中投入を行った。その最初の成果として送り出されたのが、プラントの監視制御の集中化を実現し中央操作室でのオペレーションを一新したCCS(Computer Control System、1962年)であった。 計測器分野の発展に向けては、重要度が増しながら 競争力に乏しかった高周波・マイクロ波技術を強化 すべく、米ヒューレット・パッカード(HP)社との技術提携を図った。 同社は100%出資の会社以外に技術提供をしないことを基本としており、当初交渉は難航したが、1963年4月 には日本における合弁会社設立で合意し、10月に横河・ヒューレット・パッカード株式会社(YHP、現日本ヒューレット・パッカード株式会社)が発足した(資本金5億円、当社51パーセント・HP社49パーセント)。同社は本社 YOKOGAWA’s History —— Chapter 2競争激化への対応横河・ヒューレット・パッカードの設立交流計算盤R&DセンターYHP設立の調印式
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