100周年記念誌「時代を超えて-Always Reaching Higher-」
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「DPharp」の初出荷セレモニー1991年発売の差圧・圧力伝送器「DPharp」共焦点スキャナ「CSU10」501990年1月の株価暴落に始まるバブル崩壊で「失われた20年」に突入した日本では、お客様の設備投資計画、業績見込みが一気に下方修正された。1991年度は増収こそ果たすが、営業利益は大幅に減少した。こうしたなかで1992年、企業ビジョン「VベクトルECTOR121」が発表された。このビジョンは、創業の精神、企業理念を土台に、21世紀に向けてPA、FA、LA(Laboratory Automation)を統合したIA(Industrial Automation)企業を目指す、としたものである。一方で、経営環境の急変に警鐘を鳴らし、一丸となって難局に向かう意味も込められた。 「VECTOR 21」のもと、1992年7月、営業・開発・製造部門が一体となった事業単位の組織(SBU2)を編成し、権限移譲を行って、それぞれの市場環境の変化に的確かつ迅速に対応できる事業運営を目指した。また組織をコストセンターとプロフィットセンターに分け、プロフィットセンターの評価基準は利益であることを明示し、利益重視経営への転換を図った。しかし、1992年度の決算は目標に対して大幅未達となり、減収減益の結果となる。これは、売上高の減少だけではなく、原価率が高いエンジニアリングの比率が増えたことにも原因があった。そこで1993年6月に社長に就任した美みかわ川英えいじ二は、既存製品のコストダウン、新製品開発のスピードアップ、営業効率の向上、本社機能のスリム化に注力する。一方で、好調な半導体テスタ事業への人財投入、FAビジネスのソリューション事業への転換、非製造業領域の情報システム事業への進出などを進めた。この時期、多くの独創的な技術による新製品が誕生した。なかでも1991年に発売した差圧・圧力伝送器「DPharp」は、世界初のシリコンレゾナントセンサによる高精度・高信頼性が受け入れられ、急速にシェアを伸ばした。また、1996年に発売された共焦点スキャナも、ライフサイエンス分野で高い評価を受け各国のさまざ「VECTOR21」と組織のSBU化バブル崩壊後の不況の克服とグローバル化の到来1991 ≫ 2010YOKOGAWA’s History —— Chapter 4独創的な新製品の誕生1 VECTORはValue・Excellence・Challenges・Teamwork・Open-mindedness・Responsibilityの6単語の頭文字の組み合わせと英語のベクトル(方向性)を重ねたもの。2SBUはStrategic Business Unitの略。美川 英二

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