100周年記念誌「時代を超えて-Always Reaching Higher-」
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東日本大震災時のグラウンドへの避難(横河電機本社)542011年は3月の東日本大震災、さらにタイの大洪水といった大きな災害に加え、欧州債務危機の深刻化など、世界経済に影響を与える事象が次々に起こった年であった。こうしたなかでYOKOGAWAは2011年11月に中期経営計画「Evolution 2015」を発表した。これは、制御事業でグローバルNo.1になるという中長期目標に向けた第1ステップとして2015年度の事業目標と戦略を定めたもので、「Global Solutions and Service Company」を目指した。成長戦略は地域、業種、製品の3つの側面から設定された。地域戦略としては資源国、新興国を中心とした経営資源の投入、業種戦略としては高いシェアをもつ石油精製・石油化学分野でビジネスを拡大しつつ、石油・ガスのアップストリーム(開発・生産)工程、電力、機能性化学分野にも注力することなどを定めた。製品戦略としては、引き続き、お客様の課題解決に貢献する信頼性の高い製品の開発・提供に努め、差圧・圧力伝送器など競争力の高い製品でグローバルNo.1のシェア獲得を目指すとともに、高付加価値のコンサルティングサービスを強化することを掲げた。併せて、グローバルに事業を展開するのに適した生産体制の構築や、本社管理機能のグローバル化も進められた。2012年12月にはエネルギー・マネジメント・ソリューション(EMS)で高度な技術をもつ米ソテイカ・ビジュアル・メサ社(Soteica Visual MESA LLC)に資本参加し、同社のEMSサービスをラインアップに加えソリューションの強化を図った。 海外の制御事業は引き続き好調を維持し、豪州のLNGプロジェクト、サウジアラビアの世界最大級の石油精製・石油化学統合プラント第2期事業など、大型プロジェクトの受注を着実に積み上げていった。 一方、国内の制御事業の事業環境は厳しく、プラントの新規設備投資は減少を続けた。お客様の関心は生産効率の改善によるエネルギーの有効活用やコスト削減、安全操業など、既存設備の付加価値の向上にシフトしていることが改めて認識された。そこで、2013年4月、課題解決型の事業を担うソリューション・サービス・カンパニーとして、当時3社に分散していた国内制御事業の営業、エンジニアリング、サービスの機能を統合し、新会社「横河ソリューションサービス」を発足させた。そして同年、次の時代を開く新たなリーダーとして西にしじま島剛たかし志が社長に就任した。 海外の制御事業は、新興国・資源国のエネルギー関連市場の需要に支えられ、石油・ガス・石油化学などのプロジェクトを中心に拡大し、2014年から一気に進んだ円安の影響もあり売上高が増加した。これに伴い、システムのインテグレーションや、高度制御、運転支援、製造管理、セキュリティ対応などの比率が徐々に高まり、ソリューション強化に向けた新製品の開発、拡販に注力した。 国内市場では製造業の構造変化が急速に進み、お客様のビジネス効率向上のためのソリューションビジネス拡大を図ったものの、従来の制御市場の縮小により中期経営計画「Evolution 2015」の発表制御事業でのグローバルNo.1を目指して2011 ≫ YOKOGAWA’s History —— Chapter 5制御事業の市場構造変化への対応西島 剛志

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