概要
水酸化マグネシウム法の排煙脱硫装置では、脱硫剤[Mg(OH)2]の消費量管理をオンラインpH計を使用して行なっています。このとき問題になるのが、水酸化マグネシウム(スラリー)によってpH電極が著しく汚れることです。一定レベル以上の測定精度を維持するには酸を用いた電極洗浄を頻繁に実施する必要があり、大きな保守工数がかかっていました。
酸洗浄を自動化した[FLXA AUTO CLEAN 薬液洗浄装置]の採用によって、大幅に省力化が図れたばかりでなく、pH測定精度を維持した状態での長期運転が可能となりました。
お客様の期待
- 水酸化マグネシウム法の排煙脱硫装置の効率を上げたい
- 連続で安定した pH 測定をしたい
- ランニングコストを削減したい
- 人手による洗浄をなくしたい
- 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい
プロセス概略
水酸化マグネシウム法排煙脱硫装置では、Mg(OH)2(スラリー)を吸収剤として使用し、排ガス中 SO2 の除去を行います。
吸収反応 (1) Mg(OH)2 + SO2 → MgSO3 + H2O
吸収反応 (2) MgSO3 + SO2 + H2O → Mg(HSO3)2
SO2 ガスを吸収した液は、pH 調整→酸化→濾過の排水処理によって無害化されたうえ、放流されます。
pH 調整 Mg(HSO3)2 + Mg(OH)2 → 2MgSO3 + 2H2O
酸化 MgSO3 + 1/2O2 → MgSO4
YOKOGAWA のソリューション
フィールドデータ
水酸化マグネシウム法排煙脱硫装置で使用される pH 計は、Mg(OH)2 スラリーの付着によって電極が著しく汚れるためにこの汚れに対応できる機種の選定がポイントになります。
薬液洗浄形 pH 計システム | 一般用 pH 計 | |
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洗浄 | 自動酸洗浄:実施周期 2~3 回/日(任意に設定可能) マニュアル酸洗浄:約 1 回/月 |
マニュアル酸洗浄:実施周期 1 回/日 |
校正 | マニュアル校正:週に 1 回 | マニュアル 2 点校正:実施周期 1 回/週 |
その他の保守 | 洗浄用薬液の補充:約 1 回/2か月 | - |
酸洗浄に用いる薬液は、約 4% の塩酸です。
ユーティリティ
電 源:100V AC、50/60 Hz
消費電力:約 60 VA
空気源:圧力:300 ~ 950 kPa
消費量:最大使用時;約 20 L/min
洗浄薬液:消費量:約 100 mL、タンク有効容量:約 17 L
留意点
- 洗浄薬液に、有機溶剤は使用できません。
- 薬液・空気配管材質の劣化
装置を直射日光の当たる場所に設置する場合、ポリエチレン樹脂配管の耐用年数は1年程度になることがあります(フッ素樹脂系配管材の使用を推奨)。
業種
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