横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

シアン系廃液の排水処理-pHとORPの測定で酸化分解処理を適正化

概要

メッキ工場や一部の化学工場から出るシアン系廃液は有毒です。排水に当たっては、シアン濃度が法律で規制されている許容値以下となるよう塩素または塩素化合物を使用した酸化分解反応によって処理されます。
この酸化分解反応は pH値の影響を大きく受けるので、反応の完結を確認するための ORP計とともに pH計が使用されます。分解反応に必要な薬品(塩素など)の過剰消費を防ぐためにも、ORP計 /pH計は必要です。
測定システムとして 2線式と 4線式のいずれも適合します。シアンが含まれる溶液の場合は、ORP検出器の指示極には金電極を用います。

 

お客様の期待

  • シアン系廃液の pH/ORP を連続で測定したい
  • ランニングコストを削減したい
  • 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい

 

プロセス概略

シアン化合物の分解反応処理は 2段に分けて行います。第1段の 1次反応では、高アルカリ性の条件下でシアン化合物を酸化してシアン酸塩の形にします。第2段の 2次反応では、中性に近い条件にしてさらに酸化を進め、無害な炭酸ガスと窒素ガスに変えます。

プロセス概要

 

YOKOGAWA のソリューション

測定システム

2線式、または 4線式 ORP計システム
2線式、または 4線式 pH計システム

  • 検出器
    KCl 補給形 ORP検出器
     OR8EFG-AU-□□ TT1- □* A
    KCl 補給形 pH検出器
     PH8EFP- □□ -TN-TT1-N- □* A
  • ホルダ
    潜漬形ホルダ
     PH8HS-PP- □□ -T-NN-NN*A
  • 中継端子箱(必要に応じて使用)
    WTB10-PH5(2線式システムの場合)
    WTB10-PH3(4線式 pH計および ORP計システムの場合)
  • 変換器/伝送器
    2線式伝送器 (pH/ORP共通)
     FLXA202-D-BーD-AB-P1-NN-A-N-LA-J-NN
     FLXA21-D-P-D-AB-P1-NN-A-N-LA-J
    4 線式 pH/ORP変換器
     FLXA402-A-B-AJ-P1-NN-A2-WR-□-□-J-NN
  • ディストリビュータ(2線式システムの場合)
    PH201G-A□*C

ユーティリティ

  • FLXA21
    電源:16 ~ 40 V DC(ディストリビュータより)
  • FLXA202
    電源:17 ~ 40 V DC(ディストリビュータより)
  • FLXA402
    電源:90 ~ 264 V AC,50/60 Hz
    消費電力:約 35 VA
  • PH201G ディストリビュータ
    電源:100 V 仕様:20 ~ 130 V DC/80 ~ 138 V AC,47 ~ 63 Hz
       220 V 仕様:120 ~ 340 V DC/138 ~ 264 V AC,47 ~ 63 Hz
    消費電力:24 V DC:約 200 mA
         100 V AC:約 7 VA
         220 V AC:約 11 VA

 

プロセス対応事項

1.塩素によるシアン化物の測定曲線

[pH9 の条件で、金電極(指示極)と 4mol-Ag/AgCl 電極(対極)を用いて測定 ]
Cl2 による CNの酸化反応は、右図のような特性となり、理想的な測定曲線は示されません。
これは、過剰な塩素によって中間生成物である塩化シアンの電位平坦部が 500 ~ 600 mV に押し上げられること、また、同時に CNOへの第 2 段目の酸化反応が始まり、ClOが減少して電位の上昇を止めてしまうことによります。

2.ORP電極の指示極には金電極を選択

シアン化物の酸化においては、白金電極を使用すると、約 200 mV 以下の電位で電極表面に白金の触媒作用による水素が発生します。そのため、シアン化物の反応に無関係な電位が生じ、測定値に影響します。
したがって、シアン化物の ORP測定を行なう場合は、指示極に金電極を使用します。

プロセス対応事項

業種

  • 化学

    化学品製造の新しい“あたりまえ”を創出する DX ~ ワークキングスタイル変革の実践 ~

    私たちの暮らしと日本のものづくりを支える化学産業。石油化学、機能性化学、ライフサイエンスなど分野も広く、製造現場が抱える課題や解決方法は多様化しています。「人」を中心として化学品製造業を取り巻く環境も大きく変わりつつある今、YOKOGAWA はDigital Transformation (DX) により実現される「新しい働き方」についてお客様と共有し、共にプラントの価値最大化を目指します。

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  • 鉄鋼

    鉄鋼業界のお客さまは、世界的な過剰供給構造となっている鉄鋼市場において、コスト競争力強化のために生産拠点の集約化や集約先の設備の強化を図るなど、非常に厳しい経営環境に直面している中で、以下のような課題を抱えていると考えております。

    • 安全対策の更なる推進
    • 高品質/高付加価値製品の製造と徹底したコスト削減の両立
    • ますます厳しくなる環境・省エネルギー問題への対応
    • 製造/操業技術、ノウハウの共有と伝承
    • 設備/装置の老朽化対策

    一方で、ビックデータやIoTなど最新のICT活用により、これらの課題解決を加速させ、新たな付加価値を創出し、さらなる競争力強化につながることが期待されています。

    YOKOGAWAは、これまで最新・最高の技術と、計測・制御・情報の分野で長年培ったノウハウをベースに製品開発を続け、日本の産業基盤を支えるお客様と共に進化してきました。
    YOKOGAWAは、これまでと同様に、24時間365日のプラント安定稼働に貢献し続けると共に、お客様の新たな課題に対処し、お客様のビジネスの成長に貢献できる最良のパートナーとして、これからも努力を重ねていきます。

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