概要
抄紙工程には、脱水した紙(湿紙)に残る水分をさらに熱風で蒸発させる重要なプロセスがあります。このプロセスが行われるドライヤ室の湿度管理は、紙の品質(強さ、表面の状態など)を維持するためや熱エネルギーの効率を高めるために不可欠です。
湿度測定には、測定ガスをサンプリングする必要がなく高温雰囲気でも安定に動作する 「ZR802G ジルコニア式高温湿度計」が数多く採用されており、好評を得ています。
お客様の期待
- 抄紙機乾燥工程の効率を上げたい
- 抄紙機ドライヤ内の湿度を測定したい
- ランニングコストを削減したい
- 設備更新のイニシャルコストをミニマムに抑えたい
プロセス概略
パルプサスペンションを均一に流して脱水しプレスを加えて作られた湿紙には、20 ~ 50% の水分が含まれています。この湿紙の水分は、密閉されたドライヤ室にある蒸気加熱ロールに通すことにより蒸発させます。ドライヤ室の中は 50 ~ 120℃有り、循環している低湿度の熱風が紙から蒸発した水分を運び去ります。ドライヤ室には、所定の湿度を維持するための湿度計が数か所に設置されています。
YOKOGAWA のソリューション
プロセス条件
測定点:密閉(半密閉)フード、または調湿機フードの排気ダクト
温度:50~ 120°C
圧力: 負圧
ダスト:少量(紙粉)
測定システム
検出器:ZR22G-040-S-K-E-☐-☐-J-A /□
ダストプロテクタ:ZH21B-040-J*B
変換器:ZR802G-☐-☐-N-N /□
流量設定器:ZR40H-☐-☐-A
校正ガスユニット:G7001ZCG7013XFE7044KF
エアセット:G7003XF
ユーティリティ
定格電圧:100~ 240VAC
定格周波数:50/60Hz
消費電力:通常330VA最大800VA
計装用空気:圧力;300 ~700kPa
特記事項
小麦粉製造・澱粉製造などのドライヤにも、ここで紹介したシステムが適用できます。
留意点
- センサは高温になるため,ダストプロテクタを付加して浮遊紙粉がセンサに接しないようにし,発火事故を防止します。
- 検出器のフランジボルト穴位置は,設備のフランジボルト穴に対して角度が45 度ずれます。設置に留意してください。
- 測定対象の湿度が低いので,比較空気の湿度は精度に大きく影響します。比較空気には,計装用空気のように清浄で乾燥している空気を使用します。該当する空気が得られない場合は,「除湿機付き流量設定器」(特別オーダー品)をご使用ください。
注:計装用空気および除湿機付き流量設定器の露点- 計装用空気: -18 ~-9℃ (0.1236 ~ 0.2823 vol%H2O)
- 除湿機付き流量設定器の出口空気:1~2 ± 0.1℃ (0.6479 ~ 0.6962 vol%H2O)
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