概要
転炉ガス回収では、転炉設備から発生する高濃度のCOを含有したガスを、O2測定を用いて安全に回収しています。従来は磁気式酸素濃度計によりサンプリング装置を介して、O2濃度を求めて回収していました。そのためサンプリング装置のメンテナンスコスト・ランニングコストが増加し、また、測定の時間(応答時間)遅れのため、燃料資源が十分に回収できない状況でした。
高速応答で高信頼のO2測定が可能な「TDLS8000 レーザガス分析計」が、これらの課題を解決します。
お客様の期待
- サンプリングレスによる、サンプリング装置メンテナンスコスト、ランニングコストの削減
- 高速応答・制御による、ガス回収率の向上、回収ガスの再利用、燃料費の削減
- 連続・高精度測定による、安全性の向上
プロセス概略
転炉ガス回収 (OG) 設備は、転炉から発生する高濃度のCOを含有した可燃性副生ガスを安全に回収する処理設備です。回収した転炉排ガスは燃料資源として再利用され、転炉の省エネルギーおよびCO2削減に貢献しています。(図1)
OG設備は国内全転炉に設備され、2005年のガス回収量は約67 PJ* (CO2削減量約400 万t/年相当)です。
* PJ (ペタジュール):エネルギーの単位、ペタは1000兆倍。
図1. 転炉ガス回収設備 模式図の例とプロセスガス条件
YOKOGAWAのソリューション
従来のサンプリング装置を介した磁気式酸素濃度計ではなく、ダイレクトに誘引通風機(IDF後)のO2濃度を測定できる 機種選定がポイントです。
プロセスに直接設置できるTDLS8000は、転炉プロセスに対して高速応答を実現します。
これにより効率よく高純度なガス回収が可能になります。
フィールドデータ
TDLS8000は、従来の磁気式酸素濃度計に比べ、サンプリング装置がないため応答時間が 短く、転炉ガス回収基準値点を遅れることなく検知できます。下図の例では約2分間分の転炉 ガスを回収することができます。 (図2)。このため、大きな燃料費の削減が期待できます。
図2. 転炉プロセスにおけるO2濃度測定値の変化(既設酸素計との比較)
測定システム
- TDLS分析計(O2計)
TDLS8000-G2-X1-□-A1-J-N/RX (*1) - インサーションチューブ(特注)
*1: 転炉での測定をご希望の際は特注依頼をしてください
留意点
- ダストを多く含むためインサーションチューブをご使用ください
(ダスト濃度は15g/Nm3以下が基準) - プロセスパージガス流量は50L/min以上が基準です
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過酷な条件下でも燃焼排ガス等のプロセスガス中のO2, CO (+CH4), H2O, NH3 (+H2O)を高精度に安定して測定します。堅牢小型で設置・維持コストを削減、燃焼排ガス NH3 脱硝プロセス、爆発防止の安全監視やプロセス不純物の上限監視など、安全操業に貢献します。