はじめに
Ca2+の濃度変化は細胞内シグナル伝達、筋細胞の収縮などの研究分野において重要な解析対象となります。ここではFluo4を負荷したA10細胞にCa2+のイオノフォアであるIonomycinを滴下し(Ionomycinの最終濃度をふって実験)、細胞内のCa2+濃度が増加する様子を撮像・解析した結果をご紹介します。
解析結果
CV8000 にて画像を取得し(図1a~1c)、解析支援ソフトを使用して細胞内Ca2+濃度の経時変化を解析しました。解析支援ソフトでは個々の細胞を認識して解析を行うため、1 つ1 つの細胞の経時変化に関するデータを得ることができます(図2a)。そのため、明らかに異常な反応を起こしている細胞を除外したり、特徴的な反応を起こしている細胞のみを解析することも可能です。さらに、ウェルごとに滴下する試薬の種類や濃度を変化させることにより、それに応じた細胞の反応の違いなども解析することができます(図2b、2c)。
1(b)
図1a.撮影開始2.6 秒後から5.4 秒後までの0.2 秒間隔の画像 Ionomycin の滴下は撮影開始3.0 秒後( 赤枠の画像)
図1b. タイムラプス動画
図2a. 各ウェルの細胞個々の平均蛍光強度
図2b. 細胞個々の平均蛍光強度をウェルごとに細胞間で平均
図2c. 細胞個々の平均蛍光強度を同じ濃度条件(横列) で平均
*全てのグラフのデータは撮影開始2.9秒後の蛍光強度を0にあわせてあります。
測定・解析方法
試料準備
A10細胞を96ウェルプレートに10,000 cells/well で播種して一昼夜培養後、Ca2+インジケーターであるFluo4を負荷。(最終濃度1μM、20分間)
撮像
タイムラプス画像を取得。
- タイムラプス撮像の条件
- 倍率: 20 倍
- 露光時間: 100msec
- 撮影間隔: 100msec 間隔で20秒間
- Ionomycin滴下:撮影開始3秒後にIonomycin 50μM を滴下
- Ionomycin最終濃度: 0~5μM
- 1wellあたりの取得画像数:1枚(ウェルの中心)
- Ionomycin滴下条件
- Air gap: 30μl
- Aspirate volume: 50μl
- Aspirate speed: 33μl/sec
- Dispense volume: 80μl
- Dispense speed: 22μl/sec
分注設定
Sourceプレート(Ionomycin)の各ウェルからAssayプレート(A10 細胞)の各ウェルへ1対1でIonomycinを分注。.
解析
解析支援ソフトを使用して、以下の条件で解析。解析後のグラフ描画はSpotfire®を使用。
- Binarization: Sigma Threshold Object Diameter [25] Sigma [100]
- Binary Transform: Opening Circle Circle Radius [7]
- Labeling: Divide Each Region Watershed Threshold [50] Select Region For Area MinArea [640] MaxArea [999999]
- Logical Operating: Region Operator Region1 [After Labeling] Operator Type [EXPAND] Region2 [Cytoplasm]
Spotfire®はTIBCO Software Inc. の登録商標です。
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