はじめに
イメージングによるアポトーシスの解析にはいくつかの方法があります。核に注目すると、アポトーシスの進行に伴いクロマチンの凝集、核の濃縮、DNAの切断が起こり、これらはそれぞれ画像から判断することが可能です。ここでは、CV7000にて画像を取得し、解析支援ソフトの「Nuclear Morphology」解析を使用して核の変化を解析した例についてご紹介します。
解析結果
複数の対物レンズを使用して画像を取得し、解析支援ソフトで解析しました。その結果、いずれの対物レンズを用いた場合でも、アポトーシスによる核の面積の変化を捉えることができました(図1)。また、3種類の用量応答曲線を作成し、4倍、40倍いずれの倍率でも同様の解析結果を得ることが出来ました(図2)。さらにstaurosporine濃度が 0μM と 10μM のウェルの細胞個々の分布を示す棒グラフ(図3)、およびパイチャートをSpotfire®を用いて作成しました(図4)。いずれもアポトーシスの反応を明確に示すデータが得られました。このように、 CV7000解析支援ソフト「Nuclear Morphology」解析を用いることで、核の形態変化について多角的に解析でき、また低倍率の対物レンズで取得した画像でも安定したデータを得ることが可能です。
図1 CV7000を用いて取得した画像と認識結果
核の面積を基準に用い、緑色で認識されているのが生細胞、赤色で認識されているのがアポトーシスを起こした細胞です。
staurosporine(10µM)で処理したウェルでは、大部分の細胞が核の断片化を伴ってアポトーシスを起こしていることが確認できます。
実験内容
- HeLa細胞を96ウェルプレートに 10,000 cells/wellで播種し一昼夜培養
- staurosporineを添加し4時間後、ホルムアルデヒドにより固定、染色(核 : Hoechst33342)
- CV7000により下記の条件にて観察(波長 : 405nm)
倍率 露光時間 (405nm) 取得画像枚数 (1 wellあたり) 認識細胞数(1 well平均) 4x 500 msec 1 3,452 cells 10x 250 msec 4 3,028 cells 20x 250 msec 9 1,243 cells 40x 250 msec 16 493 cells -
解析支援ソフト「Nuclear Morphology」advancedモードを用いて解析
• 画像から核領域を抽出し、面積100µm2を基準としてそれ以下のものをアポトーシスによって断片化した小核としました
• 核と断片化した小核それぞれの面積や平均蛍光強度、小核の数などを算出しました
図2 staurosporine用量応答曲線 (a)4倍撮像 (b)40倍撮像
図3 細胞個々の分布を示した棒グラフ
図4(a) 各staurosporine濃度における、核の蛍光強度が800以上の細胞の割合(緑) (40倍撮像)
図4(b) 各staurosporine濃度における、断片化した核の顆粒数が1以上の細胞の割合(緑) (40倍撮像)
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