概 要
原料塩を水に溶かす溶解槽でのNaCl濃度の管理は,電解効率と関わりがあるため,極めて重要です。
溶解槽での過飽和NaCl溶液の濃度測定には,NaClや不純物が析出するために非接触形のセンサ(例えば,γ線密度計)が用いられていました。しかし,保守に手間がかかりすぎ,γ線密度計の場合は放射線の管理も必要といった問題もありました。
FLXA202 2線式液分析計を採用することにより濃度表示が可能 となり,保守性・コストパフォーマンス・測定精度なども大幅に改善 できました。
お客様の期待
- 溶解槽のNaCl濃度を測定したい
- ランニングコストを削減したい
- 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい
プロセス概略
電解プラントでは,まず,原料塩を溶解槽で水に溶かして塩水にします。この塩水には電解効率を下げるCa・Mg・ 硫酸根などの不純物が含まれているので,電解槽にはこれらの不純物を除去した精製塩水にして送液します。電 解槽では,精製塩水を電気分解し,苛性ソーダと塩素を生成させます。電解槽陰極側の苛性ソーダ溶液(濃 度:約32%)は濃縮缶で濃縮し,約48%濃度の製品にします。
プロセス概略
YOKOGAWAのソリューション
測定システム
2線式電磁導電率計システム
検出器 | ISC40GJ-GG-T1-X□ |
---|---|
流通形ホルダ | ISC40FFJ-PJ |
伝送器 | FLXA202-D-B-D-AJ-C5-NN-A-N-LA-J-NN |
ディストリビュータ | 分析計専用ディストリビュータ PH201G-A□*C |
ユーティリティ
FLXA202伝送器 | |
---|---|
電源電圧 | 17~40V DC(ディストリビュータから) |
消費電力 | 最大0.9 VA |
PH201Gディストリビュータ | |
電源 | |
100V仕様 | 20~130 V DC/80~138 V AC,47~63 Hz |
220V仕様 | 120~340 V DC/138~264 V AC,47~63 Hz |
消費電力 | 24 V DC: 約200 mA |
100 V AC: 約7 VA | |
220 V AC: 約11 VA |
留意点
測定サンプルには,溶解槽の上澄み液を採取します。さらに,沈降槽を設けて,測定槽にはその上澄み液を入れるようにします。
設置概略図
フィールドデータ
1. プロセス条件(原料塩溶解槽)
温 度: | 約65℃ |
---|---|
圧 力: | 大気圧 |
測定対象: | 過飽和塩水 |
NaCl濃度管理範囲: | 200~360 g/L → 18.1~30 wt% (*) |
(*):ユーザーの比重実測データによる。
2. FLXA202設定項目
(導電率と濃度の関係は,SC72パーソナルSCメータで 実測して得たS=16.3x の一次直線近似式によりま す。)
- NaCl温度補償テーブルを使用
- 基準温度設定: 25℃
関連製品&ソリューション
-
2線式液分析計 FLXA202
モジュール構造による豊富なシステムの構築、拡張性を備えた新世代の液分析計です。堅牢なアルミダイキャストケースを採用しています。pH/ORP、導電率測定では、従来タイプのアナログ形検出器のほか、SA11 SENCOMスマートアダプタと専用検出器による、デジタル検出器との組み合わせが可能です。TIIS、ATEXなど各種防爆に対応しています。
-
電磁導電率検出器 ISC40GJ , ISC40SJ
汚れ・磨耗・腐食の対策が必要なアプリケーションでも高精度で導電率を測定します。
測定可能範囲:1 μS/cm~1999 mS/cm
プロセス温度:-10~130°C -
pH計/ORP計
pH計/ORP計は、pH測定とORP測定の連続プロセスモニタリングに用いられ、上水での水質品質の管理や、排水、化学薬品、下水処理、など多くのアプリケーションの監視に役立ちます。
-
導電率検出器
2電極式、4 電極式、各種アプリケーション対応の検出器を用意しています。