化学プラントの撹拌工程では、ポンプで供給した原料(液体や粉体)を撹拌機で混合し、化学反応により製品を製造しています。この供給ポンプの劣化が進み、原料の供給が不安定になると、生産レシピに予期せぬ変化が発生し、製品品質に影響をおよぼします。また、供給ポンプが故障して原料の供給が停止すると、撹拌機が空転してモータの軸受けやカップリングの損傷を引き起こし、生産が停止する恐れがあります。
供給ポンプの状態を適切に監視することで、劣化や故障を未然に防ぐことができますが、すべての供給ポンプを巡回点検で監視することは困難です。
問題解決に向けた現場の課題
限られた工数での設備監視
化学プラントでは数多くの供給ポンプが使用されており、巡回点検で監視することは困難です。そのため作業員による巡回点検に代わり、監視の自動化が必要となります。
供給ポンプの劣化に伴う生産品質への影響
製品品質を安定させるには、供給ポンプの異常予兆を早期に捉え、適切なメンテナンスを行う必要があります。
産業用IoT 無線ソリューション Sushi Sensor
オンライン監視
Sushi Sensorを活用することで、設備の状態をオンラインで監視できます。供給ポンプのモータとカップリングの軸中心部に一体形無線振動センサを設置し、軸受けの劣化傾向を長期的に監視することで、設備の「いつもと違う」状態を捉えることができます。
点検品質の維持・向上
収集したデータは、LoRaWAN®ネットワークを介してデータロギングソフトウェアGA10で監視・記録されます。設備の状態をデジタル化し、長期的な傾向に基づいた定量的な判断を可能にすることで、異常予兆の見逃しを防ぎます。また、GA10の違和感検知機能を活用すれば、AIが設備の状態変化を違和感として捉え、異常兆候をユーザに通知します。
ベネフィット
巡回点検による設備監視をSushi Sensorに置き換えることで、故障リスクの高い設備を効率的に特定することができます。
ある化学プラントの事例では、複数の供給ポンプに一体形無線振動センサを取り付け、設備の健全性をオンラインで監視し、製品品質の安定化に取り組んでいます。しきい値を超えた設備の詳細診断を行った結果、モータのベアリングに摩耗が確認され、メンテナンスを実施しました。これにより、設備の健全性を維持することができ、製品品質への影響を防ぐことができました。現在では、原料保管タンクや配管、コンテナなどの温度も監視しており、監視対象の工程を拡大しています。
Sushi Sensorを導入し、プラント全体にわたってオンラインで監視することで、設備の健全性維持と製品品質の安定化に貢献しています。
システム構成例
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