取引や証明に使用する政令で定められた計量器は、計量法に基づく検定を受け、合格したものでなければなりません。計量法施行令第2条によると、検定の対象となっている特定計量器のうち、環境計量用とされるものは次のとおりです。
- 騒音計
- 振動レベル計
- ジルコニア式酸素濃度計
- 溶液導電率式二酸化硫黄濃度計
- 磁気式酸素濃度計
- 紫外線式二酸化硫黄濃度計
- 紫外線式窒素酸化物濃度計
- 非分散型赤外線式二酸化硫黄濃度計
- 非分散型赤外線式窒素酸化物濃度計
- 非分散型赤外線式一酸化炭素濃度計
- 化学発光式窒素酸化物濃度計
- ガラス電極式水素イオン濃度検出器
- ガラス電極式水素イオン濃度指示計
また、計量証明が必要な事例としては下記が考えられます。
- 工場等が大気汚染防止法等の関連で、工場排ガスの濃度を計量・記録し、その結果を地方自治体などの官公庁に報告したり、官公庁の立入検査の際に提出するときの計量
- 官公庁において、計量結果を報告したり、計量結果を取締りなどの行政行為(もしくは行政判断)に用いるときの計量
- 自動車メーカおよび自動車整備工場などにおいて、自動車が保安基準に適合しているかどうかの検査を行い、一定の検査結果証明書(完成検査終了証、車検合格証)を発行する計量
- 計量証明事業者が、依頼に応じ濃度の計量証明を行うときの計量
(1) 検定機関
検定を受けようとする場合、計量法第70条(検定の申請)に基づき、計量法施行規則第17条で規定された検定の主体(特定計量器の区分毎に(独)産業技術総合研究所、都道府県知事、日本電気計器検定所または指定機関)に申請します。
現在、濃度計や騒音計といった環境計量器の分野は「一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)」が指定検定機関の指定を受け、検定を実施しています。
(2) 型式承認
製造業者が、原理、構造、材質、回路図、部品表および使用方法などを詳細に記述した膨大な資料とともに実機を提示して、構造検査を受け、その型式の製品について「型式承認」が与えられます。 弊社で型式承認が得られているガス分析計は、下記のとおりです。
- SG1000形 煙道ガス濃度計
(3) 毎個の検定
型式承認された型式の濃度計は、承認番号を表示して、1個ずつ個別に「一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)」で検定合格条件の器差検定を受けます。これに合格して、初めて証明および取引行為に使用することができます。
この毎個の検定は、器差試験のほかに、運用面で必要に応じて任意に追加することもあります。
(4)検定の有効期間
環境計量器には、計量法施行令第18条別表3により、その種類毎に検定の有効期間が定められています。
ガス分析計の場合は8年です。
(5) 再検定
検定有効期間後も引き続き証明行為に使用する場合は、検定有効期間の切れる前に再検定(毎個の検定)を受ける必要があります。
検定の申請は、次の何れかの方法で行うことができます。
- 持ち込み検定
検定を受けたい計量器に検定申請書を添えて、「一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)」へ申し込んでください。
詳細につきましてはこちらをご参照ください。
検定を実施している事業所(一般財団法人 日本品質保証機構のサイト) - 移動検定
- 日本品質保証機構(JQA)では、毎年定期的に各都道府県を移動検定車で巡回する 集合検定を実施しています。移動検定に申請した計量器は、その日のうちに持ち帰る ことができます。
- 定置式または大型の計量器については、個別に計量器の所在場所まで出張して検定を 行っていただくことができます。
(6) 修理および故障時の対応
計量法第46条に規定された修理で、計量器の性能を含む構造に影響を及ぼさない修理は、修理事業の届出をせずに行うことができます。この修理を行った場合でも、検定証印を除去する必要はありません。 騒音計および振動レベル計以外の環境計量器の場合は、次に記載する修理が該当します。
- 配管または流量制御部分の補修または取り替え
- 光源用ランプ、フィルターエレメント、ポンプのダイヤフラム、自動校正用の標準物質または反応液の取り替え
- プリント回路の取り替え(型式の承認を受ける際、(独)産業技術総合研究所が示す範囲に限る)
- 電池、ヒューズ、電源コード、その他の電源部の補修または取り替え
- 外箱を開けずに行うネジ、ゴム足、外箱その他の部品の補修または取り替え
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