運転支援の事例
N-ビニルピロリドンプラントへの適用
プロセスのスタートアップ・シャットダウンでのオペレータ負担を劇的に低減
お客様の紹介
株式会社 日本触媒殿(以下、日本触媒殿と省略)は2003年度の連結売上高が約1700億円で、国内には川崎製造所、姫路製造所、吹田工場の生産拠点があります。1941年に日本ではじめて無水フタル酸の工業化に成功して以来、特に酸化・触媒技術は日本国内はもとより世界でも高い評価を得ており、アクリル酸と高吸水性樹脂において日本国内最大の生産能力を持つリーディングカンパニー です。
日本触媒殿が開発したアクリル酸製造技術は、海外の大手化学メーカーに数多く採用され、世界のアクリル酸製造能力の約55%を占めています。また、紙おむつなどサニタリー用途に使用される高吸水性樹脂の販売量は、世界の需要量の約4分の1に達しています。
川崎製造所では日本最大級の酸化エチレン製造装置が稼動しており、酸化エチレンおよびその誘導品を生産しています。誘導品の一つでコンクリート混和剤用ポリマーは高耐久性が求められる大型建設現場で認められ、明石海峡大橋や東京湾アクアラインにも採用されています。
導入プラント
今回Exapilot(運転効率向上支援パッケージ)を導入したNVP(N-ビニルピロリドン)プラントは、2001年に建設した新技術のプラントです。
特長は,新脱水触媒によるクリーンで安全性の高い気相連続反応プロセスであり、2003年にはChemical Engineering Magazineの「Kirkpatrick Honor Award技術」を受賞しています。 NVPはスティックのり、ブラウン管用フォトレジスト剤等の原料として使われます。
図1 NVPプロセスの概要
本プロセスは新しい技術を採用しており、運転条件の変更・生産工程の変更が頻繁に発生したために、DCSでのシーケンス化が容易にはできませんでした。そこで、シーケンスプログラムが簡単に作成できるExapilotを使ってHEP・NVP生産工程のスタートアップ・ シャットダウン操作を自動化しました。
Exapilot導入理由
日本触媒殿は次の理由からExapilotを導入されました。
1)充実したデバッグ機能によりプラント運転中でも構築・変更ができる。
2)エンジニアではなくオペレーターが構築できる。
Exapilot導入効果
NVP・HEP生産工程のスタートアップ・シャットダウンでのオペレーターの負担が激減しました。Exapilot導入前は制御室でオペレーター1人が専任で対応していましたが、Exapilot導入により完全自動化が実現しました。 Exapilot導入前のオペレーター操作の内訳を円グラフに示しています。MV、SVの手動ランピング操作がその大部分を占めています。
Exapilot導入による効果は次のとおりです。
1)DCS操作回数削減:4350回/月 → 0 回/月
2)DCS監視時間削減:138 時間・人/月 → 1 時間・人/月
3)所要時間の最短化
→ 最短でのスタートアップ・シャットダウンが出来たことで補助原料(電力・熱源)のロスが削減
4)誤操作・操作抜けによるトラブルが皆無
Exapilotの運転ウィンドウを図3に示します。Exapilotでは構築ウィンドウで作成したフローチャートが
そのまま運転ウィンドウとして使用できます。
図3 Exapilotの運転ウィンドウ
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お客様の声
日本触媒殿は次の理由からExapilot導入に満足されています。
1)フローチャート形式で運転手順が表現できるので解りやすい。
⇒工程の状態が色分けされているので一目で運転状況が確認できる。
2)オペレーターが自ら構築できた。
⇒Exapilotはシステム構築に特別な知識を必要とせず,オペレーター自らが実際の操作内容をそのまま構築することができたので、運転ノウハウを標準化することができた。
3)運転ノウハウを継承できた。
⇒熟練オペレーターの豊富な知識を取り込んでシステムを構築し、全体のレベルアップにつながった。また、具体的で解り易い教育資料として活用することができた。
4)オペレータの作業量が低減できた。
⇒Exapilotは手動操作を簡単に自動化できるので、オペレーターの負担が軽減できた。
システム構成
システム構成を図4に示します。CENTUM CSおよびXLにExapilotとExaquantumがExaopc(OPCサーバ)経由で接続されています。
図4 システム構成
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