「石狩湾新港洋上風力発電所」の商業運転開始について
株式会社JERA(以下、「JERA」)および株式会社グリーンパワーインベストメント(以下、「GPI」)は、特別目的会社(SPC)である合同会社グリーンパワー石狩を通じて保有する、日本初の8,000kW大型風車を採用した国内最大規模の商用洋上風力発電所である「石狩湾新港洋上風力発電所」において、2024年1月1日より商業運転を開始しました
建設中の「石狩湾新港洋上風力発電所」
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株式会社JERA
JERAは、日本最大の発電容量と世界最大級の燃料取扱量を有するグローバルなエネルギー企業です。2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2を実質ゼロとする「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、再生可能エネルギーの拡大に加え、発電時にCO2を排出しないゼロエミッション火力の開発を進めています。これまでに、洋上風力発電を中心としたグローバルな再生可能エネルギーの開発・導入を進めています(累計開発容量:約340万kW、2024年4月時点)。
株式会社グリーンパワーインベストメント
GPIは、2004年の設立以降、一貫して再生可能エネルギーの開発・建設・運営に取り組む、国内再生可能エネルギー発電事業のリーディングカンパニーです。同社は、2006年に陸上風力発電所の開発・運営を開始し、2020年には、当時日本最大となる陸上風力発電所「ウィンドファームつがる(出力12.2万kW)」を、2023年5月11日には「住田遠野ウィンドファーム(出力11.3万kW)」の商業運転を開始しています。また、2007年より洋上風力発電に取り組んでおり、2024年1月1日に「石狩湾新港洋上風力発電所(出力11.2万kW)」の商業運転を開始しました。
「石狩湾新港洋上風力発電所」の概要
本発電所は、北海道の石狩湾新港に位置し、単機出力8,000kWのSiemens Gamesa Renewable Energy製風力発電機を14基設置、総出力は112,000kWとなります。陸上工事は鹿島建設株式会社、洋上工事は清水建設株式会社と日鉄エンジニアリング株式会社による共同事業体が行いました。発電した電力は、本発電所の特徴でもある180,000kWhの蓄電池容量を持つプロジェクト変電所を経由し、北海道電力ネットワーク株式会社西札幌変電所を経て同社へ全量供給します。
建設中の大型蓄電池設備
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建設中の「石狩湾新港洋上風力発電所」
O&M事務所での遠隔監視の様子
洋上風車は広域かつ海上であるため、その操作監視は遠隔で行う必要があります。しかし、各風車や変電所、蓄電池、海底に張り巡らされたケーブルなどの状態を統合操作監視するためのシステム構築は極めて困難です。YOKOGAWAは、遠隔操作監視システム(OpreXTM Collaborative Information Server 統合情報サーバ)により、変電所の操作監視と、風車とその付帯設備および蓄電池の監視システムを構築しました。これにより、日本初となる 8,000kW 大型風車による国内最大規模の商用洋上風力発電所の運営を支援し、運転効率の向上に寄与しています。加えて、納入システムの包括的な保守契約を締結し、発電所安定運用のため万全な体制を整えました。
また、アムニモ社 (※) の映像監視ソリューションを用いて洋上風車をはじめ蓄電池エリアなどに設置されたカメラの管理とモニタリングを実施しています。
さらに、新しい試みとして、OpreXTM Control and Safety Systemのラインナップのひとつである光ファイバ温度センサDTSXを用いて海底ケーブル損傷の予兆を検知する実証実験も開始しています。
※アムニモ株式会社:横河電機株式会社の連結子会社。統合ビデオ管理システムなど、IoTとAIを活用したサービスを提供
システム概要
これからの展望
これからの風力発電事業全体を見据えて、発電所システム構築から保守までを視野に、お客様の課題解決に必要なソリューションを提供することで、政府がエネルギー基本計画で掲げた洋上風力の拡大に寄与していくとともに、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
写真提供:株式会社グリーンパワーインベストメント
業種
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再生可能エネルギー
社会の電源構成およびエネルギーシステムが進化を遂げようとしている状況の中、効率的なエネルギーマネジメントは、多様化するエネルギーシステムを最適化するため、今後の社会に欠かせないものとなっています。
YOKOGAWAは、再生可能エネルギー発電事業者様や各種エネルギーマネジメント事業者様へのご支援を通じて、理想的なエネルギーマネジメントシステムを創出し、持続可能な新エネルギー社会に貢献します。 -
風力発電ソリューション
風力発電はCO2を出さないクリーンエネルギーであり、地球温暖化対策として大きな期待が寄せられています。近年では、風車の大型化が進んでおり、風況状況が良く、騒音・用地対策にもなる洋上設置も国内で始まっています。
YOKOGAWAは、風力発電の効率的な事業運営を支えるため風力発電事業全体を見据えたソリューションを提供してまいります。
関連製品&ソリューション
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中小規模向け計装システム (STARDOM)
中小規模向け計装システム STARDOMはコントローラやHMI等のオープンなコンポーネント群を、ネットワーク上で統合する計装システムです。柔軟性あるエンジニアリング環境により 高信頼の二重化システムからタッチオペレーションパネルを用いた現場での操作監視まで、各種PLC計装システムを実現します。
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統合情報サーバ (CIサーバ)
横河電機の統合情報サーバ(CI サーバ)は、デジタルトランスフォーメーションの枠組みを構築しながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産効率の向上と運用保守の軽減を即座に実現します。