背景
化学品プラントを数多く抱えるP社。上層部から経営計画の一環として、現場の効率化にむけた改善施策を早急に検討することを求められていた。早速製造部が主導となり、設備管理部と共同で「操業効率化プロジェクト」を立ち上げた。制御システムの更新時期を翌年に控えており、これにあわせて施策をまとめる必要があった。
課題
安心安全を求める現場と生産性向上を求める会社、両立させる手立てはあるのか?
会社上層部からプロジェクトへ求められていたのは、生産性向上に向けた改善点とその対処法を検討した上で、次期制御システム更新に反映させることでした。ところが、プロジェクトチーム内で改善点を整理したところ、実際の現場の声としては「制御システムに関する安全・運用上の改善点」が多数あがってきたのです。
プロジェクトリーダーの製造部N部長は、当時のジレンマについてこう語ります。
「現場の声をまとめたところ「DCSの画面に出てくるアラームサインの見落としを避けたい」「システムの安全インターロック機能が本当に有効な状態なのかが分からず、テストもしづらい」というような要望や改善点が多くあり、それらは業務の当事者としては見逃せないものでした。また、建設以来数十年が経ったプラントでは、異常発見やプロセス安定化のノウハウが、熟練オペレータ個人に属していてこれをいかに共有化し、継承していくかも大きな課題でした」
プロジェクトメンバーからは現場の声を反映することが優先事項という意見が多数あがる一方、会社上層部からは生産性の向上・効率化が求められている。この両者をどのように折り合いをつけるか、結論を出せないまま検討を重ねる日々が続いていました。
課題のポイント
- 「操業効率化プロジェクト」に対し、会社上層部は生産性向上・効率化の推進を求めていた
- 一方現場では安全機能の向上や現場の運用ノウハウの継承が求められていた
- 両者の折り合いをつけて次期制御システムに反映させなければならなかった
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