概要
PT PLN, Lahendong, North Sulawesi, Indonesia
PT PLNは、インドネシアの国営電力会社です。北スラウェシ州への電力供給を安定的に確保するため、PT PLNは、州都マナドの南30kmに位置するラヘンドンに、4ユニットからなる地熱発電所を運営しています。最新の2プラントは、Lahendong IIIおよびLahendong IVで、それぞれ20MWの発電容量があります。これらの建設資金は、日本の政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)プログラムとアジア開発銀行(Asia Development Bank :ADB)から提供されました。
インドネシアの経済は目覚しい速度で成長しており、需要電力は供給電力をはるかに上回っています。同国は約30,000MWの電力生産能力に相当する、世界の地熱資源埋蔵量の40%を保持しているにもかかわらず、これまでほとんどこの資源を有効に利用してきませんでした。しかし数年前から、インドネシア政府は、これらの地熱資源の開発促進に舵を切りました。
地熱資源は、クリーンで再生可能なエネルギー源です。再生可能エネルギーを使用したプラントは、CO2の排出量が極めて少なく、地球温暖化対策に大きく貢献します。このため、再生可能エネルギー資源を利用する取り組みが勢いを増しており、その開発が環境面、及び経済面で大きな利益をもたらすことが期待されています。
横河電機は、Lahendong III地熱発電所で分散型制御システム(DCS:Distributed Control System)『CENTUM CS 3000』、バックアップシステム、およびテストシステムを納入しました。さらに、Lahendong IV地熱発電所でも『CENTUM VP』を納入し、両発電所とも順調に運転されています。
お客様の課題とソリューション
1. プラントの自動化とタービンの起動・停止
プラントとタービンの起動・停止の手順は複雑で時間を要し、オペレータと機器の双方に大きなストレスが掛かります。この間のオペレータによるミスをなくすために、プラントとタービンの起動・停止手順を『CENTUM』によって自動化しています。
起動・停止シーケンスが実行されると、DCSのヒューマンマシンインタフェース(Human Machine Interface:HMI)にシーケンスの状況と設備の状態が明確に表示されます。さらに、メッセージやアラームなどによりオペレータの運転操作をサポートします。
自動起動・停止シーケンス実行中は、オペレータによる介入を最小限にし、安全かつ円滑な起動・停止を行います。これにより、オペレータの作業負荷やミスを大幅に低減し、起動・停止時間を短縮、また機器に掛かるストレスを軽減しています。
自動タービン起動画面
自動タービン起動画面
タービンシステムグラフィック画面
中央制御室
Lahendong I における新システムのヒューマンインタフェース
2. バックアップシステム
地熱発電所は付属設備が少なく、火力発電所に比べると制御ループも単純なため、低コストでのオペレーションが可能です。そのため全負荷でのノンストップ稼働が望まれることから、操業時は機器の信頼性が重要となります。また、設置環境が腐食性雰囲気になる場合があるため、横河電機は操業に影響をおぼさぬよう、制御システムに対しバックアップシステムを設置しました。バックアップシステムには次の機能が含まれます。
- バックアップシステムによる安全な動作を確認できるグラフィカルなユーザインタフェース・モニター
- 効果的なアラームの処理
- DCS が故障した場合の緊急操作の実行
バックアップシステムは、プラントがいかなる中断もなく安全に操業できるように作動します。
Sequence-of-events (SOE) station Sequence-of-events (SOE) ステーション
トリップ要因の早期究明のために、すべてのイベントを正確にミリ秒単位の精度で記録、表示します。SOEを使用することで、問題の原因を見極めることが可能となります。
テストシステム
アプリケーションソフトウェアを変更する必要がある場合、ロジックのミスなどを避けるために、コントローラへダウンロードする前に修正したソフトウェアをテストすることが推奨されます。そのため、『CENTUM』のテスト機能を使用したテストシステムを提供しました。このテストシステムでは、プラント制御とグラフィカルなインターフェースが正確に再現され、実際のプラントシステムと同様の条件で簡単に確認することができます。これはオペレータのトレーニングにも使用されています。
お客様の声
二つの新しい地熱発電所に導入された『CENTUM』は、我々PT PLNの高い期待に応えてくれています。二つの発電所のシステムに同じHMIを使用することで、両方のプラントとタービンの監視および制御が統一され、効率的な運転を可能としています。我々は、この複雑なプラントとタービンの起動・停止が自動化されていることを高く評価しており、今後も横河電機のシステムを導入していきたいと考えています。
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現在お使いいただいているCENTUMシステムを含めた生産制御システムを、最小の投資で最新型の生産制御システムに更新するご提案をしています。自社システムだけでなく、他社の生産制御システムの更新についても対応をしています。
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独自のデジタル制御技術と経験、ノウハウの粋を集めた世界最初の分散形制御システム(DCS)である「CENTUM(センタム)」は、1975年に販売開始しました。発売以来、世界100カ国以上、累計30,000以上のシステムが採用されています。