アジア地域で最も近代的なコンビナートの一つであるSPRC
スター・ペトロリアム・リファイニング株式会社(Star Petroleum Refining Co., Ltd: SPRC)は、1992年にシェブロン社(Chevron)とPTT社(PTT Public Company Limited)の合弁により設立されました。SPRC設立にあたっては、アジア地域で最も近代的なコンビナートの一つとして位置付けられました。SPRCは、15万バレル(150,00 BPD: 日産23,850千ℓ)の生産能力をもち、高い品質 と環境に配慮した石油製品を製造しています。
SPRCの石油製品はマプタプット製油所からシラチャ県の石油輸送ステーションを経て、そこからタイ石油パイプライン会社(Thappline)が運営するパイプライン網(年産260億ℓ)によって、全国のお客様へと供給されています。
Company Profile
所在地: No.1 L-3b Rd. Map Ta Phut IE., Rayong 21150, Thailand
設立:1992年
事業内容:石油精製、石油製品製造
Exapilot導入の背景
SPRCは、主な4種類の製品用に貯蔵設備(12基のディーゼル貯蔵タンク、11基のジェット燃料タンク、および8基のガソリン生成物タンクを含む)を持っています。これらの設備の総合的な安全性を確保し、運用コストを削減するためにも、輸送に関わるすべての運転を完全に自動化する必要がありました。
横河タイは、この困難かつ複雑な作業を成し遂げるため、既存の生産管理システム『CENTUM CS』に統合する形で、『Exapilot』パッケージを導入しました。
『Exapilot』では、マプタプットとシラチャ石油輸送ステーションとの間の製品輸送を管理しています。
導入と効果
輸送効率の向上
最初の課題は、SPRCからダウンストリームのお客様へ向けた製品の輸送効率を向上させることでした。既存の運転においても、業務の60%〜70%はすでに自動化されており、ある程度までは効率的にプラントを運転できていたので、課題は、自動化のレベルを更に100%まで上げることでした。
このため、モータの起動/停止、バルブの開/閉、流量測定、集計、洗浄など、すべてのシーケンス業務を『Exapilot』上で構築しました。今では製品の輸送が要求されると、すべての操作が安全に、スムースに、自動的に行われます。 業務の手順書はSPRCが作成し、横河がそれを『Exapilot』の業務として構築しました。安全操業を確実にするため、事前テストを慎重に、しかしながら非常に限られた期間内で実施しました。
連続運転の実現
第二の課題は、シャットダウンを最小限に抑え、設備を24時間、365日運転し続けることでした。『Exapilot』の導入により、オペレータは、使いやすいグラフィック上でプラント全体の状況を監視できるようになりました。輸送段階のどのポイントで何が起こっているか常に理解することができるため、全体的な操業が一段とスムースになりました。
『Exapilot』と横河の制御システムの高い信頼性は、最小限のダウンタイムと連続運転を実現しています。
ノウハウの継承
第三の課題は、オペレーションノウハウの継承でした。SPRCは、オペレーションノウハウが彼らのビジネスにとってどれだけ重要であるかを理解しています。オペレータの離職やオペレータのスキルレベルに格差がある場合に備え、最も経験豊富なオペレータの貴重な専門知識を、すぐに使え、いつでも見えるようにしたいと考えていました。 『Exapilot』はこのニーズを完全に満たしたものでした。
すべての業務手順は、アイコンをドラッグ&ドロップするだけで、簡単にフローチャート形式で構築することができます。各ステップにおける重要な条件設定は、定義ウィンドウから入力するだけです。
SPRC施設では、下記の2つのモードを『Exapilot』で実行しています。
・ フライングモード:輸送品種の瞬時切換えを管理
・ スイッチングモード:輸送時、同一品種の瞬時タンク切換えを管理
これら2つのモードを導入した結果、ダウンタイムも削減されました。
SPRCは、『Exapilot』が貴重な専門知識を継承し、安全性を高めるだけでなく、操業効率をも向上させるということに気づきました。
お客様の声
製品の移送に『Exapilot』を使用するようになってからずいぶん経ちますが、安全な運営が続いており、私たちは非常に満足しています。 ダウンタイムがなくなったことで、運用コストも削減することができました。すべての操作は完全に自動化され、バルブの変更やライン選択、 ポンプ操作、洗浄/払出し操作の変更に人の手を介する必要はありません。私たちSPRCのスタッフは、横河タイのサポートに感謝しています。
Jamorn Arpapesuch, ISO-コーディネーター, SPRC
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