お客様の紹介
特殊化学製品で人々の暮らしを支える世界的化学メーカー
ドイツ マルルにあるエボニック シュトックハウゼン社(Evonik Stockhausen GmbH)は、1991年からアクリル酸プラントの稼働を開始し、現在では3つの生産ラインを備え、総生産量は年間およそ200,000トンになります。アクリル酸は主として紙おむつに使用される高吸水性樹脂用の原料として使用されます。
Company Profile
所在地:Paul-Baumann-Straße1, 45764, Marl, Germany
設立:1873年 事業内容:アクリル酸, 吸収性ポリマー
Exapilot導入の背景
このプラントには1999年に横河電機のDCSである『CENTUM』が導入されており、2005年にはアラーム合理化支援パッケージ 『AAASuite』 (Advanced Alarm Administrator Suite)が導入されています。 プラントの立上げ、ロード変更、その他運転条件などの変更は、複雑で難しい操作であり、経験あるオペレータを必要とします。このため、操作手順を標準化し、その操作を自動化する取り組みは重要です。これらを解決する手段として運転効率向上支援パッケージ『Exapilot』の導入を決定されました。
Exapilotの特長とエンジニアリング
『Exapilot』は、OPCインターフェース経由で『CENTUM』と接続されています。『Exapilot』の特長は、アイコンや部品と呼ばれるオブジェクト指向のコマンドをライブラリとし、標準化していることです。プロセスの複雑な運転手順を、プログラム言語ではなく、アイコンや部品を使ってフローチャートとして記述することで手順を自動化することができます。『Exapilot』を使って自動化手順を最適に構築するには、プラント構成とプロセスのデータだけでなく、経験豊富なオペレータの知識やノウハウを入力することが重要です。
『Exapilot』による運転では、フローチャート順に処理され、運転進捗状況は画面上で確認できます。オペレータに、次に実行するアクション情報をガイドすることもできます。
システムの構築は、従来のエンジニアリングとは異なり、全ての運転に関係する人が、実際の手順をフローチャートで記述していくというものでした。この作業により、追加の改善や通常のプロセス制御ループの改善も同時に行うことができました。このシステム構築で、すべての手動運転の最大90%を自動化することができました。
蒸留塔の一つのカスケードシーケンスを『Exapilot』で立上げるテストを実施、その結果、立上げにおける変動を最小限に抑え、平均起動時間を30%削減することができました。
蒸留塔は、より速くかつ高信頼性でフルロード運転に達することができました。さらに蒸留塔全体に適用することにより、規格外の製品を最大90%削減でき、全体の立上げ時間をも短縮することができました。このテストの成功によって、『Exapilot』はその後すべての蒸留塔に導入されました。
同時に酸化反応を伴う反応缶にも導入されました。触媒充填したパイプ炉の立上げはおよそ6個のパラメータを系統的に監視、徐々に最適な温度プロファイルにするよう制御する必要があり、特に難しいプロセスです。負荷に依存する爆発限界エリアを避けた安全な運転が『Exapilot』で実現できました。
『Exapilot』は、ピーク温度やそれが反応缶のどこで発生しているか、爆発性雰囲気に対する安全マージンの監視、また、反応物の温度と冷却能力といった主要なパラメータを常時監視することもできます。
平均立上げ時間は、右記のグラフに示すように70%減少させることができました。
『Exapilot』はこのように、手動立上げに時間を費やすというプロセスに特に有効です。同時に短時間で40%も高ロード状態へ持って行くことができ、最適な運転が可能となりました。温度の大幅な変動がなくなり、プロセスは見違えるほど静かに運転できるようになりました。
蒸留塔立上げ時間の手動と自動の差
臨界立上げプロセス
立上げ時間と反応缶ロードの導入前と最適化後の比較
お客様の声
『Exapilot』は効率的で持続可能なソリューションであり、我々の期待をすべて満たしてくれています。私たちは一年もしないうちに対投資費用を回収することができました。『Exapilot』の導入により、オペレータは「知的な」業務により時間を割くことができ、必要に応じてパラメータを監視することができます。『Exapilot』は、特にベストプラクティスに従った部分的に自動化するプロセスにおいて特に有効です。経験の少ないオペレータであっても『Exapilot』は一貫した性能を実現してくれます。オペレータの作業負荷を軽減することに加え、『Exapilot』は3つの主要な経済的メリットをもたらします。「生産時間の節約(プラント可用性の増加)」、「原材料の削減」、そして「無駄の削減」。
Dr. Mosler, Production manager
Evonik Stockhausen GmbH
関連製品&ソリューション
-
運転効率向上支援パッケージ Exapilot
運転員主体で行われている運転領域を、熟練運転員の運転ノウハウをもって高い運転レベルで標準化・自動化することにより、運転効率の向上を実現します。
-
統合生産制御システム(DCS)
独自のデジタル制御技術と経験、ノウハウの粋を集めた世界最初の分散形制御システム(DCS)である「CENTUM(センタム)」は、1975年に販売開始しました。発売以来、世界100カ国以上、累計30,000以上のシステムが採用されています。