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自治医科大学 分子病態治療研究センター 西村智先生

自治医科大学 分子病態治療研究センター logo

固定した病巣を免疫染色して観察しているだけでは解明できない、病態のリアルタイムでの細胞レベルの解析をするために、生体分子イメージング手法を開発し、世界に先駆けて肥満脂肪細胞の炎症反応を鮮明に可視化するなど、生活習慣病の病態を新たな視点で解明する手法を開発し成果を挙げて多数の研究表彰を受賞されている、東京大学循環器内科西村智先生を訪問しました。

共焦点スキャナユニットCSUを選ばれた理由を教えてください

私の研究において共焦点スキャナユニットCSUを使う最大のメリットは高速性です。生きた動物体内の病態を細胞レベルで観察するためには、できるだけ低侵襲的に短時間で観察する必要があります。共焦点スキャナユニットCSUによる観察なら、目的とする部位を素早く探せるので、レーザによるダメージも最小限に抑えられ、高速に流れる個々の血小板や細胞内小器官まで、鮮明に可視化できるのです。 さらに、二波長励起二波長蛍光の同時観察によりマルチカラーイメージングを行い、白血球・赤血球・血小板・血管内皮細胞、といった複数の細胞種をそれぞれ特異的に生体内で観察しています。

CSU system

CSUシステム
(西村先生のHPより転載)

今後の研究について教えてください

Dr.Satoshi Nishimura

現在の主な研究テーマはメタボリックシンドロームで、「いかに肥満した脂肪組織が形を変え(リモデリング)機能異常と疾患を起こすか」を明らかにすることです。しかし、近年、研究の対象は大きく広がり、「全ての疾患が生体イメージングの良い対象である」、と言っても過言ではありません。今後も2光子顕微鏡を含め各社の最新鋭の共焦点システムを広く試験し、様々なシステムのメリットを目的に応じ活用し、更に新たなイメージング手法を確立したいと考えています。

生きた動物の血流や臓器における細胞レベルのイメージングを試みたいと、CSUを使ってくださる方が多いなか、西村先生は、群を抜いて非常にクリアにブレが無い動態画像を取得されていますが、生体イメージングを試みたい方に、技術的なアドバイスをいただけますか??

microcirculation in mouse

正常動物(ob/+ マウス) 脂肪組織中毛細血管での血流イメージ
play

生体での撮影には論文に出てこないような多くの技術的な工夫の積み重ねが必要になります。動物の扱い方、麻酔、色素の選択・用量・組み合わせ・溶媒、観察窓の設置、などですが、基本的にはトライアンドエラーとなります。失敗例としては、臓器の不適切な空気への露出は炎症を起こしますし、過剰な色素投与や光の照射は光毒性を起こします。これらによる二次的なアーティファクトを取り除き、真に生体で起きている事象を可視化することは、実は非常に困難です。しかし、生体観察故に得られる情報は非常に多く、皆様のチャレンジをバックアップして行きたいと考えております。

Dr.Satoshi Nishimura


Dr.Satoshi Nishimura

一見クールな西村先生ですが、お会いして膨大な未発表データも拝見させていただくことができ、過去の実績に安住することなく、より速く、深く、多くの情報を得るための新たな手法を追求される真摯で強力なエネルギーを感じました。
西村先生が撮影された鮮明なイメージング画像は個人ホームページに掲載されています。
ホームページにはご研究だけでなく意外なご趣味についても詳しくご紹介されています。是非ともご覧ください。


西村 智(にしむら さとし)先生
ホームページ:http://www.invivoimaging.net/ 
自治医科大学 分子病態治療研究センター 分子病態研究部 教授
こちらのインタビューは東京大学医学系研究科循環器内科ご所属時に取材いたしました


取材:2009年6月

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