ProSafeーRS導入による安全性・信頼性向上の緊急遮断システム
国際競争力の一環として、多種多様の原料を処理するために、三菱化学株式会社 鹿島事業所(東部地区)様/三菱化学エンジニアリング株式会社様では、2004年5月に、エチレン分解炉設備増強工事を千代田化工建設株式会社様へ発注された。
導入検討の背景
DCSは当社のCENTUM CS 3000 R3で決定していたが、緊急遮断装置については、従来のリレーによるシステムに替わる、新しい緊急遮断装置用のシステムの導入を検討した。
- 国際標準機能安全規格(IEC61508/JIS C 0508)の普及
- 新しい技術の積極的な採用
- プラントのライセンサーからの安全性、信頼性、保守性に関する要求
- 緊急遮断装置の監視・操作機能の向上
導入の効果
導入効果を以下に示す。その結果、安全性と信頼性の向上、監視、操作機能の向上を図る事ができた。
- 国際標準機能安全規格(IEC61508/JIS C 0508)のSIL3に適合した安全計装システム(ProSafe-RS)を採用することで、プラントの危機現象発生時のシャットダウン動作がより確実に実行できるようになり、プラントの安全性が飛躍的に向上した。
- 安全計装システム(ProSafe-RS)は、安全性を確保しつつもシステム自身の異常による無用な誤トリップを最小にしたシステムである。特に今回採用したCPUモジュール、I/Oモジュールともに二重化したシステムでは、殆どの場合の誤トリップを防ぐことができ、信頼性の向上、ひいては稼働率の向上に貢献できた。
- ProSafe-RSとCENTUM CS 3000 R3との統合により、CS 3000 R3のHISでProSafe-RSの入出力、システム稼動状態などが監視画面で監視でき、よりプラントの情報の一元管理が進んだ。
また、緊急時の操作なども通常操作環境であるHISからでも出来るようになり、緊急時の対処の確実性が向上した。
- 安全計装システム
- 緊急遮断装置の監視・操作
- CENTUM CS 3000 R3との統合
- SOE機能によるトリップ要因解析
- 主な製品
- ProSafe-RS
- CENTUM CS 3000 R3
エンドユーザ様の声
三菱化学エンジニアリング株式会社 様
メンテナンス技術センター
計装グループ チームリーダ 青山 貴征 様
新しいものを採用するには情報収集からはじまり、実績、信頼性、技術的根拠などの検討に長い時間がかかる。保安事故や環境トラブルにつながるような重要機器は特にそうである。
そういった意味では安全計装は国際的なスタンダードが存在し、かつ第三者による認証があるのでユーザが検討すべき負担が小さい。安全計装規格がカバーする範囲はとても広く、詳細設計も安全性を保つよう徹底されている。
また、システムの設計は確率論に基づいて規定されており、エンジニアにとっては第三者に対する論理的な説明責任を果たせるだろう。
既存設備のインターロックにはハードリレーが使用されてきたが、新しいシステムを導入するには、とても大きな決断が必要であった。
今回の規格の考え方、実際のハードウエア、ソフトウエアを組上げていく中で、従来以上に安全に配慮されていることが分かり、今回の決断が正しかったという確かな実感があった。
パネル計器がDCS化されたときと同じように、今後のインターロックに求められる設備はより複雑になり、いかなる故障に対しても安全性を確保できることが求められてくるだろう。
今回の設備では、このような要求を満足するために安全計装システムを導入したが、従来のハードリレーはCPUベースのシステムに取って代わる時代がもう到来していると判断している。