オペレーション＆メンテナンスの効率改善に貢献するポンプキャビテーションの早期検知

概要

BASF Schwarzheide GmbHについて

1990年からBASFグループに加わったBASF Schwarzheide GmbHでは、2000人を超える従業員が、ルザティアの生産拠点で、特殊化学製品（ポリウレタン製品、植物保護剤、コーティング剤、エンジニアリングプラスチック製品、2022年から生産を開始したバッテリー関連製品、等）を生産しています。持続可能な未来に貢献する高品質の製品を提供することで、BASF Schwarzheide GmbHは同社の顧客の活動を支えています。
また、BASF Schwarzheide GmbHは、地域における職業訓練や共創活動など、さまざまな分野でも貢献しており、すでに革新的な化学メーカー12社が、多くの経験と専門性を持つBASFと協業することで多面的な相乗効果を生み出しています。
（詳細：https://www.basf.com/jp/ja.html）

プロジェクトの概要

BASF Schwarzheide GmbH はYOKOGAWAと緊密に協力し合い、YOKOGAWAのキャビテーション検知システムの評価を行いました。その結果、システムが高い信頼性と正確性を持ち、キャビテーションを早期に検知できることや、発生時間と発生率を追跡し、初期の段階からキャビテーションを測定できることも確認できました。そして、BASF Schwarzheide GmbHは、本システムが従来の振動センサーによる検知能力を明らかに上回っていると結論付けました。

 

お客様の課題とソリューション

効果的なオペレーションとメンテナンス

BASF Schwarzheide GmbH は、長期的に生産を改善する画期的な方法を模索しており、YOKOGAWAのキャビテーション検知システムを評価することにしました。
キャビテーションとは、流体（液体）内の圧力差によって、気泡、あるいは空洞の発生・消滅が短時間に起こる物理現象です。気泡や空洞が消滅する際に放出されるエネルギーがプラント設備に損傷を与える可能性があり、プラントオペレータにとってキャビテーションの回避は大きな課題になっています。そのため、キャビテーションの発生を早い段階で検知し、措置を講じる必要があります。そこで、BASF Schwarzheide GmbHは、斬新で有望なアプローチを持つYOKOGAWAのキャビテーション検知システムをテストしてみることにしました。

キャビテーション検知システムの評価

YOKOGAWAのキャビテーション検知システムは、圧力伝送器とSTARDOMコントローラで構成され、圧力を高速で測定し、圧力変動をリアルタイムで評価します。蒸気気泡の内破によって引き起こされる圧力変動の増加を監視することで、キャビテーションの初期の兆候を検知します。一般的な振動によるキャビテーション検知では、気泡が大きくなりポンプが異常振動を始めるまでキャビテーションの発生を検知できません。しかし、本システムではキャビテーションの発生源である液体を直接測定するため、一般的な方法よりも早期に、かつごくわずかのキャビテーションの発生を検知することができます。
BASF Schwarzheide GmbHは、同社の試験施設にYOKOGAWAのキャビテーション検知システムを設置し、さまざまなキャビテーション試験を行って、振動などの従来の測定方法と比較しました。

 

結果について

キャビテーション検知システムは、キャビテーションの発生程度をキャビテーション判定指数として出力します。これにより、自動生成されたしきい値が、初期のキャビテーションと強いキャビテーション（スーパーキャビテーション）のレベル判定を行います。試験設備におけるテストの結果、BASF Schwarzheide GmbHは、本システムが正常状態、初期のキャビテーション状態、スーパーキャビテーション状態を明確に判別できることを確認しました。特に、他の測定方法との比較では、本システムが早い段階でキャビテーションを検知できることが確認されました。テストの結果は再現性があり、オペレータが五感で確認した音や気泡などの現象とも密接な関係があることも確認されました。

 

将来に向けたYOKOGAWAの取り組み

YOKOGAWAは、このキャビテーション検知システムが、お客様のオペレーションとメンテナンスの改善に貢献できると考えています。ポンプの状態の可視化により、本システムは、操業効率の向上と、実効性のあるメンテナンス戦略を可能にします。

 

お客様の声

BASF Schwarzheide GmbH は、特に下記の点についてご満足いただきました。

• 小さなキャビテーションによって発生する微小な圧力変動を早期に検知することで、異常振動が発生する前にキャビテーションを検知できる点
• 継続して出力されるキャビテーション判定指数は、インテリジェントな早期検知システムとして使用できる高精度な健全性評価指数である点

プロセス制御にこのキャビテーション判定指数を用いることで、プロセスに重大な影響が及ぶ前に早期に対策を講じることができるようになります。ポンプの総稼働時間と初期キャビテーションとスーパーキャビテーションの総発生時間を把握することは、ポンプ状態の正確な把握にもつながり、予知保全アプローチを可能にします。

BASF Schwarzheide GmbHスタッフは以下のように話しています。

「YOKOGAWAのキャビテーション検知システムは、BASF Schwarzheide GmbH 独自の試験施設で評価され、キャビテーションの検知に関して非常に正確な結果を提供してくれることが判明しました。特筆すべきは、従来の方法 （振動モニタリングなど）では検知できなかった小さなキャビテーションでさえも検知できたことです。」

Yokogawa's Cavitation Detection System was tested as part of a series of experiments and with the help of BASF Schwarzheide GmbH's own test facility. It turned out that the system provides very accurate results regarding the detection of cavitation. Particularly noteworthy is the fact that even minor cavitation was detected and indicated for the installed pump, which conventional methods (e.g. vibration monitoring) did not allow.

「YOKOGAWAの協力にも感謝しています。システムの実装だけでなく、問題や質問などにもYOKOGAWAの経験豊富な担当者が常に対応してくれ、満足しています。」

The cooperation with Yokogawa was also perceived as very positive, as a competent contact person was always available for the implementation as well as for problems or questions.

「本システムの利用は、適切なポンプ利用に向けた、運用面における弱点の明確化に寄与します。また、弱点に対処することで、ポンプの耐用年数を延ばすことにも役立ちます。」

The use of the system made it clear that it can help to identify weaknesses in running processes for the right use case. It can help to counteract these and thus extend the service life of pumps.