目次
1. はじめに
横河電機 (以下、当社) は、世界で初めて 1969 年に産業用渦流量計をリリースし、1979 年には汎用型の渦流量計 YEWFLO シリーズをリリースしました。それから 50 年以上、世界中で累計 50 万台を超える販売実績で、お客様の生産性向上に貢献してきました。当社は 2022 年に渦流量計の最新シリーズである渦流量計 VY シリーズをリリースし、これからもお客様の生産性向上に貢献し続けていきます。
さて、流量を測定する技術は多数ありますが、なぜ渦流量計はこれほど長い期間信頼され利用されているのでしょうか?渦流量計の測定原理を通して、渦流量計の信頼性や測定対象について紹介します。
2. 渦流量計の測定原理
渦流量計の測定原理を「図 1」に示します。
流れの中に障害物である渦発生体があると、その後方に規則正しく左右交互に渦が発生します。この発生する渦の回数と渦流量計それぞれで決まっている係数を掛け算することで体積流量を測定します。非常にシンプルですが、そこには基本的な物理現象と綿密な設計が存在しています。本項では測定原理の詳細を説明していきます。
図 1 : 渦流量計の測定原理
2.1. 流速に比例して渦が発生する
ハンガリー生まれの数学者・物理学者セオドア・フォン・カルマンは、20 世紀初めに、流体が障害物に垂直に流れると、障害物の後流に交互に渦が発生することを発見しました。これらの渦の列は「カルマン渦列」と呼ばれています。
更に、渦の発生頻度は流体の流速に比例することを見出しました。渦の発生頻度と流速との関係は、渦発生体の形状ごとに決まります。そのため、この関係性を渦流量計ごとに事前に把握していれば、渦の発生数をカウントして計算することで流量が測定できます。
図 2 : カルマン渦発生の流体シミュレーション
2.2. 渦の力を受ける
渦発生体の後方で左右交互に渦ができることで、渦発生体の左右で圧力差が発生します。この圧力差は正弦波状の力を渦発生体に与えます。この力を正確に検知することが重要となります。
図 3 : 渦発生体が受けるカルマン渦の力
2.3. センサーが渦の力を電気信号に変換する
物体は力を受けるとわずかに変形し、物体内部に発生する力である応力が発生します。この応力は小さく、とても短い時間間隔で変動します。この力を電気信号に変換するため圧電結晶センサーを採用しています。応力を受けると圧電結晶センサーは電荷を発生し、カルマン渦による力を正弦波状の電気信号に変換しています。
図 4: カルマン渦の力を電気信号に変換する
2.4. 渦の発生回数をパルスで数える
カルマン渦による正弦波状の電気信号から何回カルマン渦が発生したかを数えます。渦波形がある一定の信号振幅レベルを基準として、パルス信号に変換します。そのパルス信号をパルスカウンターで数えます。このような仕組みでカルマン渦の発生回数を正確にカウントできるので、渦流量計は精度の高い測定が可能です。
図 5 : 電気信号をパルスに変換し、カルマン渦の発生回数をカウントする
2.5 流量を演算する
カルマン渦の発生回数と、渦流量計それぞれで決まっている係数を用いて体積流量を演算します。この係数はパルス1回ごとの体積流量を表し、カルマン渦の発生回数分を掛け算することで流れた体積流量が分かります。更に、発生回数を測定した時間 Δt で割ることで、瞬時体積流量が演算できます。発生回数と体積流量の関係であるこの係数を流量計数と呼び、出荷前の実流校正により求めています。
以上のように、シンプルな自然法則に即した原理が安定した測定の礎となっています。
図 6 : パルスから流量を演算する
3. 渦流量計の測定対象
ここまで示してきましたように、渦流量計は非常にシンプルな原理により安定した測定を実現しています。更に、流体種によらず流速に比例したカルマン渦が発生するため、測定対象の豊富さも渦流量計の特長です。本項では、渦流量計の豊富な測定対象を示します。
3.1. 測定流体種が豊富
ここまでは、全て「流体」という言葉を使ってきました。
流体を大まかに分ければ液体と気体があります。更に分ければ、液体なら水、純水、石油、液化燃料 (LPG)、液化天然ガス (LNG)、液体窒素、液体ヘリウム等々、気体なら空気、圧縮空気、水蒸気 (飽和蒸気、過熱蒸気) 、アンモニアガス、エチレンガス、塩素ガス、燃料ガス、等々があります。渦流量計ではいずれにおいてもカルマン渦が発生するため測定が可能となっています。
図 7: 豊富な測定流体のイメージ( VY シリーズ製品紹介動画より抜粋)
3.2. 広い測定流速範囲
渦流量計の測定流速範囲は、液体であれば約 0.3 m/s から約 10 m/s、気体であれば約 5 m/s から 80 m/s までとなり、このように広い測定流速範囲が特長です。水なら触れないとわからないような微かな流れから噴水で吹き上げるような流速、空気ならそよ風よりも弱い風から台風以上の流速までを測定でき、渦流量計の測定流速範囲の広さをイメージいただけるかと思います。
渦流量計 VY シリーズは接続口径 15 mmから 400 mmまでをラインアップしていますので、体積流量で約 0.3 m3/h から約 28000 m3/h の測定が可能です。
図 8 : 渦流量計の広い測定範囲
3.3. 水平・垂直・傾斜配管でも測定可能
渦流量計の原理として、渦発生体の後流側に渦が発生する現象は、水平配管、垂直配管、そして傾斜配管でも変わることはありません。そのため、流体に満たされた状態であれば、渦流量計は様々な場所や姿勢で利用が可能です。
図 9 : どのような配管姿勢でも渦が発生する
3.4. 広い温度仕様範囲
渦流量計は原理的及び構造的に広い温度範囲の流体測定が可能です。測定対象に含まれる液化天然ガス (LNG) は -162 ℃、液化窒素は -196 ℃、過熱蒸気は 400 ℃ 以上にも達します。それでもなお、渦流量計は測定可能です。
-196 ℃ から 450 ℃ までの流体を測定可能なラインアップを横河渦流量計は取り揃えています。
3.5. 広い圧力仕様範囲
高温の過熱蒸気などは必然的に高圧力になります。渦流量計は堅牢で高耐圧な構造を実現できます。そのため、測定流体圧力 40 MPa までのラインアップを横河渦流量計は揃えております。
3.6. サイジング及び仕様選定をサポート
渦流量計の安定的な測定は、カルマン渦が安定的に発生する条件下での使用が前提となります。渦流量計がご使用できるか否かは、ご使用条件(流量、温度、圧力、その他流体の物性等)によって複雑な判定が必要になります。ご使用条件から最適な渦流量計を選定する作業をサイジングと呼びます。
詳細なサイジング情報を提供していますので、渦流量計製品ページをご確認ください。
4. おわりに
本記事では、渦流量計の原理と測定対象について紹介しました。物理現象に基づいた原理と 50 万台の販売実績に裏付けされた信頼性に加えて、横河電機の渦流量計の最新シリーズである渦流量計 VY シリーズにはお客様の要望に応える多彩なラインアップ、標準体積流量、質量流量及びエネルギー流量を算出する演算機能、安定測定を実現する信号処理機能、安定操業を支える診断機能、等を兼ね備えています。
ぜひ、関連製品のリンクから渦流量計 VY シリーズの製品ページをご覧いただき、多彩な活用のポテンシャルを秘めた渦流量計を、ぜひご検討ください。
渦流量計の理解の助けとなり、渦流量計がお客様の生産性向上の一助となれば幸いです。
本件に関する詳細などは下記よりお問い合わせください
お問い合わせ関連製品&ソリューション
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渦流量計 VY シリーズ
横河渦流量計は、1969 年に産業用渦流量計を、1979 年に汎用渦流量計をリリースして以来、渦流量計の代名詞となっています。
長期安定性と高い信頼性により、お客様の生産性向上に貢献しています。
全世界でシリーズ累計 50 万台以上の実績を持ち特注仕様含め様々な仕様を提供しています。