横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

熟練運転員の手動運転を自動化し、プラントの安全性と運転効率を向上するコンサルティングサービス「Modular Procedural Automation」を開始

2013年9月16日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、ISA-106委員会で検討中の規格を基に自社開発した手法により、熟練した運転員が手動で行っている運転を標準化し、生産制御システムや運転支援システムによってこれを自動化する、手動運転の自動化設計コンサルティングサービス「Modular Procedural Automation」を開始しますのでお知らせします。
 「Modular Procedural Automation(モジュラー・プロシジュラル・オートメーション、以下MPA)」は当社が推進するVigilantPlant Services®(ビジラントプラント・サービス)の一つで、プラントの安全性と運転効率を向上するものです。9月16日より米国でサービスを開始し、2014年度には欧州にも拡大して2015年度にはグローバル市場のお客様にこのサービスを提供していきます。

MPAシステムの画面例
MPAシステムの画面例

※ ISA-106委員会:
ISA(The International Society of Automation:国際計測制御学会)の委員会の一つ。石油、石油化学、鉄鋼、紙パルプ、電力、ガスなど、連続プロセスをもつプラントにおける運転員の手動運転(手順型運転)を自動化する体系を検討し、規格化を進めている。当社米国子会社の社員が委員長を務めており、YOKOGAWAはこの委員会で中心的役割を果たしている。

開発の背景

 近年、プラント事故の多発を背景に、プラントの安全性向上に対する意識が高まっています。また、コストや品質についての競争が国境を越えて激しくなっており、競争力を高めるためにプラントの運転効率を向上したいというニーズが増大しています。この対策の一つとして、連続プラントにおけるプラント立ち上げや停止、原料切り替え、運転負荷変更など、高度な運転ノウハウをもつ熟練運転員が手動で行っている運転(手順型運転)を標準化し、自動化する動きが進んでいます。ISA(国際計測制御学会)でも、ISA-106委員会が手動運転を自動化する体系と、システムのライフサイクルにわたる管理体系の規格化に取り組んでいます。
 当社は1996年、稼働年数の長いプラントが多く、熟練運転員のノウハウの活用に早くから着目していた日本のお客様のニーズにこたえ、熟練運転員の手動運転を自動化するツールとして運転支援システム「Exapilot」を発売し、日本やアジアをはじめグローバル市場のお客様に提供してきました。この提供を通して培った技術や手法と、ISA-106委員会で検討されている手法を組み合わせて新たな手法を確立し、このたびMPAコンサルティングサービスとして提供を開始します。

MPAの特長

 当社は、VigilantPlant® を実現するコンセプトの一つとして、より安全で効率の高い操業を実現するADS(Advanced Decision Support:高度意思決定支援)を提唱しています。今回発売するMPAは、すでに提供を開始している国際規格ISA-18.2に則ったアラーム設計コンサルティング、今後提供を予定しているヒューマン・マシン・インタフェース設計コンサルティングとともに、ADSの核となるサービスです。
 主な特長は次のとおりです。

  1. プラント運転の安全性と効率を大幅に向上
    MPAでは、連続プラントにおける手順型運転について、熟練運転員のノウハウから最適な手順を抽出し、これを自動化するための設計コンサルティングをご提供します。手動運転の自動化により、運転ミスによる事故の防止、熟練運転員のノウハウの継承が可能になり、安全性が大きく向上します。また、運転の所要時間の短縮、運転員の負荷軽減によるプラント運転効率の向上も図れます。
  2. ISA-106に基づいたProcedure Automation(手順型運転の自動化)を実現
    MPAでは、ISA-106委員会で検討されている手法に基づいて手順型運転自動化システムの設計を行います。具体的には、まずプラントの設備をいくつかの階層に分け、構成を整理します。この階層に照らし合わせて手順型運転の自動化システムを設計することにより、それぞれのプラント設備と自動化システムとの関係が整理されるため、納入後のシステム保守や変更が容易になります。
  3. 自動化プログラムを実装するシステムの選択が可能
    これまでの手順型運転自動化コンサルティングサービスでは、生産制御システムと接続したパソコン上で動作し、実装が容易で変更の自由度も高い運転支援システム「Exapilot」を用いて自動化システムを構築していました。MPAでは「Exapilot」のみならず、よりハードウエアの信頼性が高く、高速応答が可能な生産制御システム上に自動化システムを構築することも可能です。

主な用途

石油、石油化学、鉄鋼、紙パルプ、電力、ガスなどの連続プロセスをもつプラントにおける、プラントの立ち上げ及び停止、原料切り替え、運転負荷変更などの手動操作の自動化

VigilantPlant Servicesについて

 VigilantPlant Servicesとは、お客様にとっての理想のプラント操業を実現する当社制御事業のビジョンVigilantPlant を実現するためのサービス商品群です。当社はVigilantPlant Servicesとして、課題特定、課題解決、効果維持の3ステップから成る課題解決アプローチに沿って、計装設備の保守・点検サービスから、安全性・生産性改善のコンサルティングまで、幅広いサービスを提供しています。
 当社は今後も、VigilantPlant Servicesの拡充に努め、お客様のプラントのライフサイクルにわたって安全かつ安定した高効率のプラント操業を実現することを目指してまいります。

以上


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