2008年4月9日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 社長:海堀 周造)は、ガス分析計の分野で独創的な技術を持つ米国Analytical Specialties, Inc.(以下ASI社)の全株式を取得し、北米地域統括会社の子会社としましたのでお知らせします。
当社は、ASI社のレーザガス分析計を当社の分析計のコアユニットの一つとして加えることで、インダストリアル・オートメーション(IA)分野での総合提案力を高めます。
TDLS方式のレーザーガス分析計
買収の背景
原油価格の高騰、地球温暖化ガスの排出規制など、産業界を取り巻く市場環境は大きく変化しています。電力や鉄鋼、焼却炉、化学などの産業分野では、燃焼時の燃料と酸素の割合を最適化することで、省エネルギー、CO2削減、操業の安全を実現することを目指しており、今後その傾向はますます加速していくと予想されます。
最適な燃焼状態を保つ運転監視を実現するには、酸素濃度や一酸化炭素濃度を常時監視するためのセンサが重要になります。そのため、リアルタイムで精度よくガス濃度を計測できるコストパフォーマンスの良いガス分析計が求められています。
TDLS方式レーザガス分析計の技術
TDLS(Tunable Diode Laser Spectroscopy)と呼ばれる方式のレーザガス分析計は、様々な産業分野で、燃焼管理のための酸素濃度(O2)、一酸化炭素(CO)濃度測定、排ガス中のアンモニア(NH3)や塩酸(HCl)濃度測定、天然ガスパイプラインの管内水分量測定などに使われています。これらのガスは種類によって特定の波長成分を吸収 するため、ガスにレーザ光を当て、その透過光のスペクトラムから吸収された波長を解析し、濃度を測定します。
TDLSの特長は、煙道中のガスを直接かつ高速に測定できることです。そのリアルタイム性、コストパフォーマンスの高さから、今後のガス分析計の主流になっていくものと考えられます。
ASI社は、TDLS方式のレーザガス分析計の開発、製造、販売を目的に1994年に設立されました。特にASI社の「TruePeak」は面積法という独自方式を採用しており、測定精度・再現性が高く、ガス分析計の中でも今後もっとも有望な製品と見ています。
YOKOGAWAの戦略
当社は、2010年にIAグローバルNo.1になるという目標の実現に向け、理想のプラントを実現するビジョンを提唱してきました。今回のTDLSレーザガス分析計は、理想のプラントを実現するための製品・ソリューション群をさらに充実させることになります。
今後は、省エネルギー・環境保全にかかわる技術・製品がこれまで以上に重要な役割を果たします。このため、分析用センサのラインアップを拡充し、省エネ・環境保全を含むプラントのライフサイクル全体を見据えた総合的な提案力を高めることを狙います。
当社は、TDLSレーザガス分析計の市場は5年後には150億円規模になると見ており、2013年度に30億円の売上げ、シェアトップを目指します。
以上