横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

2線式電磁流量計「ADMAG AXRシリーズ」開発・発売のお知らせ

2008年11月21日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 社長:海堀周造)は、このたび当社として初めて2線式の電磁流量計「ADMAG AXRシリーズ」を開発しましたのでお知らせします。2線式として世界で初めて二周波励磁方式(末尾の参考資料参照)を搭載し、4線式に匹敵する高性能を実現しました。発売は、2009年2月を予定しています。
 これまで当社は測定精度や機能性に勝る4線式電磁流量計を製造販売してきましたが、コストパフォーマンスに優れ、4線式に匹敵する高性能を実現した2線式をラインアップに追加することで、電磁流量計分野で世界シェア1位を目指します。
 当社は、本製品を11月26日から28日までグランキューブ大阪で開催される“計測展2008 OSAKA”に出展します。

ADMAG AXR

開発の背景

 水や薬品などの導電性液体の流量を測定する電磁流量計は、電流出力用一対、電源用一対の計4本のケーブルを使用する、測定精度の高い4線式が主流です。これに対して、電流出力と電源供給を一対のケーブルで共用する2線式は、専用の電源盤が不要で、ケーブルの配線も半分になるため、初期費用や工事費を削減できる利点があります。しかし、4線式に比べ測定の精度や安定性に難点があり、あまり普及が進んでいませんでした。ところが近年、国内で計装コストの安い2線式の需要が増加してきており、コストパフォーマンスと高性能の両立を実現する2線式電磁流量計が待ち望まれていました。
 このようなニーズに対応して、当社は測定精度や安定性に影響する電気ノイズを極力低減する技術を開発し、2線式で4線式に匹敵する測定精度・安定性を実現しました。

電磁流量計の市場状況

 電磁流量計の世界市場規模は、新興国のインフラ整備および化学、薬品、電力を中心とするプラントへの設備投資の堅調な拡大を背景に、2006年の7億3000万USドルから、2011年には約20%増の8億7000万USドルに拡大すると予測されています※1。特に海外では、高精度な製品がなかったことから2線式電磁流量計は普及しておらず、今後市場が大きく成長する余地があります。
 当社の電磁流量計のシェアは、国内ではトップ、海外市場では12%で4位です※1。当社は、今回の新シリーズ投入により、2010年までに世界シェアを18%まで伸ばし、電磁流量計の分野でシェアトップになることを目指します。

※1 出典 ARC Advisory Groupの調査報告書“Magnetic Flowmeter Worldwide Outlook, MARKET ANALYSIS AND FORECAST THROUGH 2011”、2007年2月5日発行

製品の特長

  1. 二周波励磁方式による高精度・安定測定
    2線式として世界で初めて二周波励磁方式を採用しました。これにより、2線式で4線式に匹敵する測定精度・安定性を実現し安心して制御ループに使用できます。
    二周波励磁方式は複雑な演算を高速で処理する必要があり、消費電力の大きなCPUを使用しますが、供給電力に限りのある2線式電磁流量計にこの方式を搭載するため、電子回路の徹底した低消費電力化を図りました。
  2. 高精度2線式を可能にした新工法コイルと低ノイズ化技術
    供給電力の小さい2線式では、励磁用コイルに十分な電流を流すことができないため、信号強度が弱く、電気的な雑音(ノイズ)と見分けがつきにくくなります。そこで、コイルを高密度に巻く製造技術を開発し、低電流でも強い磁界を発生できるようにしました。また、電気的ノイズの発生源となる測定管内側の平滑度を上げたり、ノイズの発生しにくい電極を開発したりするなど、低ノイズ化を追求しました。
    これにより、信号に対する雑音の影響度を低くして、2線式でも4線式に匹敵する測定精度を達成しました。
  3. 使いやすさの追求
    カタカナ表示も可能なフルドットマトリクスLCD、蓋を開けずに操作可能なマグネットスイッチ、電極付着検知機能、変換器の向きを現場で変更可能な構造などを採用しユーザーの使いやすさを実現しました。

    蓋を開けずに操作可能なマグネットスイッチ

  4. 計装コスト削減
    2線式は電源盤不要、配線本数2分の1というメリットにより、4線式に比べ初期費用を大幅に減らすことができます。また、低消費電力なので、ランニングコストも削減でき、省エネルギーにも貢献します。

主な市場

化学、鉄鋼、食品などの各種産業

用途

液体の流量測定

以上

参考

電磁流量計とは

 電磁流量計の動作原理は,磁界の中を液体が流れるときに発生する起電力が流速に比例するというファラデーの法則を応用しています。起電力はフレミングの右手の法則により液体の運動方向および磁界方向の両者に直角な方向に発生します。
 電磁流量計はこの発生した起電力を測定管内に設けた一対の電極で検出し、流量を演算して統一信号(4 ~ 20mA)やパルス信号に変換して出力します。産業分野で使用される各種流量計の中でももっとも高精度な部類に入り、測定管内に障害物や可動部がない、腐食性流体にも対応できる、メンテナンスフリーなどの長所を持っています。このため、化学、鉄鋼、食品、紙パルプ、上水道などの業種で広く使用されています。

ファラデーの法則、フレミングの右手の法則

二周波励磁方式の特徴

 二周波励磁方式は、流量計内のコイルに電流を流して磁界を発生させる(励磁)ときに、低周波と高周波ふたつの周波数成分をもつ電流を流す当社独自の励磁方式です。低周波励磁の安定性と高周波励磁の耐ノイズ性という長所をあわせ持ち、単一周波での励磁よりも高精度かつ安定した測定を実現できます。

二週波励磁方式


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