2009年2月23日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、新薬の開発現場や研究機関で、新薬の候補となる化合物のテストを自動化し効率向上を実現する創薬支援システム、ハイスループット細胞機能探索システム「CellVoyager™(セルボイジャー)」を本日発売、商用1号機を2月27日に出荷します。
著しい成長が見込める医薬品市場に、当社の得意とする計測・制御・情報の技術を融合したソリューションを新たに提供していくことで、ライフサイエンス分野のビジネスを拡大してまいります。
当社は、本製品を2009年3月5日から東京国際フォーラムで開催される「第8回日本再生医療学会総会」に参考出展します。
CellVoyager
創薬支援システムとは
現在、医薬品業界では、大型製品の特許切れ問題、収益性の高い大型製品の減少などの課題に直面しており、新薬の開発スピードアップが求められています。また、開発コストが年々増加する一方で新薬承認数は伸びておらず、開発効率の向上も急務です。そのため、新薬開発の現場では、新薬の候補となる数十万から百万もの化合物の中から有望なものをふるい分ける工程を自動化、高速化することで、開発効率を高めようという動きが広まりつつあります。
これらの要求に応えるのが創薬支援システムです。創薬支援システムは、細胞に薬の候補となる化合物を投与し、細胞内の変化などをカメラで撮影、得られた画像を処理して化合物投与による影響を確認するまでの過程を、自動的にかつ高速で行うことができます。
このたび発売する「CellVoyager」は、HTSシステム※に匹敵する高速スクリーニングとHCAシステム※の詳細・高精度測定を両立した画期的な創薬支援システムです。
創薬支援システムの市場は、年率10~12%の高い成長率を維持しており、当社ではHTSシステムとHCAシステムを合わせた市場規模は、2015年に500億円に拡大すると予想しています。また、将来は“再生医療”や“テーラメード医療”などの最先端研究分野への応用も視野に入れています。
※創薬支援システムは、目的とする機能の面から、High Throughput Screening(HTS)システムとHigh Content Analysis(HCA)システムに大別される。HTSは、化合物のスクリーニングを高速で行うことを主眼としたシステムで、HCAは、対象の細胞を個別にかつ複数のパラメータについて詳細に調べることを目的とするシステム。
CellVoyagerの特長
「CellVoyager」は、細胞を生きたままリアルタイムに観察できる共焦点スキャナユニットを利用した画像観察機構、多数のサンプルを高速に観察するため半導体や液晶製造装置などに向けて開発した精密位置決め技術による駆動機構、サンプルとなる細胞を培養するインキュベーション機構で構成されています。
- 業界最速のスクリーニング
当社独自の高速精密位置決め技術と高速画像撮影が可能な共焦点スキャナユニットによって、従来のHCAシステムの2~10倍高速なスクリーニングを実現しました。 - 業界最高の分解能
従来のHCAシステムの多くが、ラインスキャン共焦点などの簡易方式を採用しているのに対して、当社ではピンホールを用いた高分解能のリアル共焦点方式を採用。さらに、CSU-X1で培った鮮明な画像が得られる独自の光学系と背景光を低減する技術を採用し、背景ノイズを3分の1に削減。業界最高レベルの高分解能と鮮明画像の両立を実現しました。 - 業界最先端のライブセル観察機能
共焦点顕微鏡では、蛍光染色した生きた細胞にレーザを照射し画像を得ますが、レーザ光によって細胞にダメージを与えることがあります。YOKOGAWAの共焦点スキャナユニットは、出力の弱いレーザを複数回に分けて照射するため、ダメージは最小限に抑えられます。これにより、生きた細胞の連続観察が可能になります。
さらに、細胞を培養するインキュベータについても、観察用ステージ等の測定環境も全て温度、湿度、二酸化炭素濃度の制御を行っており、生きた細胞の経時変化を長時間にわたって観察することができます。
主な市場
医薬品メーカの研究部門、創薬研究機関
用途
新薬の候補化合物探索・スクリーニング、バイオ研究
以上