2010年6月3日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、リチウムイオン電池の主要部材である電極材専用の品質管理用オンライン厚さ計「WEBFREX3ES(ウェブフレックススリー・イーエス)」を開発、6月4日から販売を開始しますのでお知らせします。
「WEBFREX3ES」は、リチウムイオン電池のシート状電極の製造工程で、ベース素材に塗布する電極材の厚さをリアルタイムで測定する厚さ計で、専用設計により電極塗布工程に最適な仕様を実現しました。
WEBFREX3ES
開発の背景
現在のリチウムイオン電池の電極は、ベースとなる金属箔に正極、負極それぞれの電極材を薄く均一に塗布し、シート状にしたものが使われています。
当社はこれまで、この電極材の塗布厚を測定する装置として、一般的なフィルム向けの厚さ計であるWEBFREX3を提供してきました。しかし、リチウムイオン電池の性能向上や生産量の増大に伴い、電極材の厚さ測定に必要な仕様が変化してきました。例えば、生産量の増大にあわせ、電極メーカでは生産ラインの運用速度を上げて生産効率の向上に努めています。このため、厚さ計にも従来以上の測定速度が要求されています。
そこで、リチウムイオン電池電極材の測定に必要な大きさ、厚さ測定範囲や測定速度にあわせた専用の厚さ計を開発しました。
製品の特長
- スキャンスピード3倍
「WEBFREX3ES」は、当社独自開発のサーボドライブシステムを採用したことにより、測定速度を当社従来製品比3倍の片道3秒まで短縮しました。 - 位置決め精度の向上で正確な測定
電極材の塗布工程では、コーティング前、表面コーティング後、裏面コーティング後と複数台の厚さ計で同じ箇所を測定するために同期測定を行います。「WEBFREX3ES」では新開発のドライバの採用によりセンサの位置制御の精度が飛躍的に向上したので、同期測定精度が高まり、品質維持に貢献します。 - 新設計の専用フレーム
リチウムイオン電池の電極材の幅に合わせたサイズの専用フレームを新たに設計しました。塗工機の間など、電極材塗布ラインに直接組み込んで使用することができます。
主な市場
リチウムイオン電池の正極材、負極材を製造するメーカ
用途
リチウムイオン電池電極材の塗布厚測定による品質管理
リチウムイオン電池用の厚さ計について
当社は1971年に紙の厚さを測定するB/M計を発売し、厚さ計の分野に参入しました。その後、適用分野をフィルム全般に拡大し、測定技術を蓄積してきました。1997年には電池電極の厚さ測定にも参入し、現在では国内でシェア1位、海外でもシェアを2分するマーケットリーダの地位を築いています。