2011年10月3日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、ハイスループット細胞機能探索システム「CellVoyager™(セルボイジャー)」の機能を強化した「CellVoyager CV7000」を10月5日に発売しますのでお知らせします。
今回の機能強化では、撮影範囲を従来製品比4倍に拡大して業界最高のスループットをさらに向上させました。医薬品市場における新薬開発のスピードアップやiPS細胞やES細胞など最先端の生物学・医学の基礎研究の効率向上に貢献します。
本製品を10月6日から米国ニュージャージー州で開催される「アカデミック・スクリーニング・ワークショップ」に出展します。
CellVoyager CV7000
開発の背景
新薬の開発の現場では、新薬の候補となる数十万から数百万もの化合物の中から有望なものをふるい分ける(スクリーニングする)創薬支援システムの利用が拡がっています。創薬支援システムは、細胞に薬の候補となる化合物を投与し、投与されたことで起こる細胞内の変化をカメラで撮影し、解析して化合物投与による反応を確認する自動テスト装置です。
創薬支援システムには、新薬の開発期間を短縮するためのスループット向上や、数多くの細胞のデータを詳細に解析してばらつきを小さくして精度を上げたいという恒常的なニーズがあります。倍率の低い対物レンズを用いて一度に広い範囲を撮影すると撮影回数が減り、撮影にかかる時間を短縮することができますが、画像の分解能が低く細部の現象を捉えられません。一方、細胞の状態を詳細に観察するために対物レンズの倍率を高めて狭い視野で撮影すると、撮影回数が増えて時間がかかります。そのため、少しでも広い視野を高精細に撮影できることが求められていました。
このたび当社は、当社技術のマイクロレンズ付きニポウディスク※1式共焦点技術を改良し、高分解能のカメラと組み合わせた広視野共焦点光学機構を開発、広視野と高精細を両立しスループットを向上させた「CellVoyager CV7000」を発売します。
製品の特長
- 広視野撮影で、業界最高のスループット
業界最高であった従来製品の分解能をさらに向上させると同時に、従来製品比4倍の広い視野を撮影できるようになりました。384個のくぼみ(ウェル)がある細胞培養プレート上で蛍光染色した細胞の画像のプレート全体撮影を行うのにこれまで16分かかっていたところ、4分で取得できるようになりました。 - 解析ソフトウエア強化
解析ソフトをマルチコアCPU対応として処理速度を当社従来製品比で最大10倍高速化し、データが増えても対応できるようにしました。また、大量の画像データを管理・整理するデータマネジメントソフト(画像管理ソフト)もオプションとしてラインアップしました。
主な市場
医薬品メーカの研究部門、創薬研究機関、生物学・医学の基礎研究機関
用途
新薬の候補化合物探索、iPS細胞やES細胞の再生医療・創薬応用研究、細胞機能の解析、組織形成の研究
以上
※1 ニポウディスク
レーザー光を集光するために採用している多数のピンホールが渦巻き状に配置された回転円板
CellVoyagerとは
創薬支援システムは、機能の面からHigh Throughput Screening (HTS)システムとHigh Content Analysis (HCA)システムに大別されます。HTSは、化合物のスクリーニングを高速で行うことを主眼とした手法で、個別の細胞を詳細に調べることは想定していません。一方、HCAは、対象の細胞を個別にかつ複数のパラメータによる経時変化を調べる高精度な測定手法です。当社では、HTSシステムとHCAシステムを合わせた創薬支援システムの市場規模は、2015年に500億円に拡大すると予想しています。
当社の「CellVoyager」は、HTSシステム並みの高速スクリーニングが可能なHCAシステムです。細胞を生きたままリアルタイムに観察できる共焦点スキャナユニット、多数のサンプルを高速に観察するため半導体や液晶製造装置などに向けて開発した精密位置決め技術による駆動機構で構成されています。業界最速のスクリーニング、業界最高の分解能のシステムとして世界的に高い評価を得ています。
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