2011年11月9日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、制御事業におけるグローバルNo.1カンパニーになることを長期ビジョンに、その第1ステップとして、2015年度に向けた中期経営計画を策定しました。
当社は2009年度、2010年度の2年間に事業構造改革に取り組み、制御事業を中心に企業価値を向上させていく体制が整いました。
新計画では、計測と制御による顧客の課題解決型のソリューションビジネスを提供するGlobal Solutions and Service Companyとして制御事業の成長戦略を展開するとともに、ヘッドクオーターのグローバル化や生産体制の見直しといったビジネス構造改革を実行してまいります。この結果、2015年度には連結売上高4,000億円、連結売上高営業利益率10%を達成し、これに併せて財務体質の健全化を図ってまいります。
1.2015年度の連結経営目標
目標指標 | 目標値 |
---|---|
売上高 | 4,000億円 |
営業利益 | 400億円 |
売上高営業利益率 | 10% |
一株当たり当期純利益(EPS) | 100円以上 |
自己資本比率 | 50% |
D/Eレシオ | 40% |
中期経営計画の前提となる為替レート
1USドル=80円
1ユーロ=110円
2.中期経営計画の前提となる事業ポートフォリオ
本中期経営計画は、現在の事業ポートフォリオから、事業構造改革を継続している半導体テスタビジネスおよびフォトニクスビジネスの数字を除いたものを前提に作成しています。
3.成長戦略
(1).制御事業
制御事業における市場環境は、新興国を中心として中長期的な持続的成長が見込まれています。新興国のエネルギー需要の高まりは今後も継続し、全世界の電力関連投資は2015年に現在の1.4倍に拡大することが予想されています。
なかでも天然ガスの需要は今後大きく伸びていくことが予測されており、石油需要も引き続き堅調、再生可能エネルギー市場でもバイオマス関連市場の規模が大きく、成長が期待できます。
エネルギー以外の業種では、化学製品の市場も、二次電池向けの素材をはじめとする機能性化学品を中心に、GDPの拡大以上に成長すると見込まれています。
YOKOGAWAは、これら拡大する制御市場に向け、お客様の視点に基づく課題解決型のソリューションビジネスを中心とした成長戦略を展開します。
YOKOGAWAは、日本市場のすべての業種で高いシェアを持っており、また、特に強みのある石油精製、石油化学などダウンストリームと呼ばれる業種では、積極的な海外展開により、海外売上高を過去10年間で約2倍に拡大しました。
今後も成長が期待できる制御事業で、製品の高い信頼性、プロジェクト遂行能力などYOKOGAWAの強みを生かし、海外展開する地域、得意業種、製品ラインアップを増やすことにより、2015年に向けて事業を拡大していきます。
長期的な目標を制御事業におけるグローバルNo.1カンパニーになることにおき、まずは2015年度における制御事業の売上高3,500億円を達成します。
そのため"地域"、"業種"、"製品"の3つの切り口から多面的な戦略を展開します。
- 地域戦略
市場成長率が高い資源国、新興国では新規プロジェクトの獲得を中心としてシェア拡大を狙います。BRICs、中東、東南アジア、オセアニアを注力エリアと位置付け、リソースを強化します。また、今後成長が期待できるアフリカ、中央アジア、南米を開拓エリアと位置付け、拠点の新設等チャネル強化を行います。
一方、市場規模は大きいものの成長が緩やかな欧米市場では、業種ごとのグローバル大手企業との関係を強化し、グローバル市場でのプレゼンスの拡大を図るとともに、成熟市場での着実なシェア拡大を効率的に達成します。
日本市場では、多数の生産制御システム納入実績、充実したエンジニアリング、サービスネットワーク等の強みを活かして、以下の視点でビジネスに取り組み成長を目指します。- 生産性、安全性の向上や省エネルギー化、環境保全対策など、プラントの更なる高効率化・高付加価値化を支援するサービスの提供
- 日本メーカの生産拠点の海外進出プロジェクトをグローバルネットワークで支援
- 主要コンビナートを中心に、他社製品を含む総合的なシステムインテグレーションで、開発に始まり生産技術の確立、制御、生産管理システムの構築、運用、保守にまで至る高付加価値ソリューション提供ビジネスを拡大
- 二次電池向けなどの高機能素材の新規市場での事業拡大
- 業種戦略
既にシェアの高い石油精製・石油化学といったダウンストリーム分野では、グローバルなエネルギーおよび化学大手企業との関係強化やプラントのライフサイクルにわたるサービスの拡大などで、さらにビジネスを広げます。
これに加え、グローバルに注力する業種を増やしていくことにより、シェア拡大を実現します。注力する業種としては、市場規模が大きく、成長率も高い石油・ガスの開発工程(アップストリーム)や電力、機能性化学などを対象とします。これらの業種でシェアを拡大していくため、業種別の制御ノウハウを蓄積してグローバルに活用する機能を、日本、シンガポール、アメリカ、ヨーロッパ等に置き、各地域で蓄積しているノウハウをグループ内に水平展開します。
例えば、日本市場で培った省エネルギーや工場のエネルギーマネジメント、アメリカやヨーロッパにおけるガス採掘、中東での石油採掘、ドイツのファインケミカル、オーストラリアの電力といった各地域のノウハウを世界のグループ会社間で共有します。
また、YOKOGAWAの実績と強みが活かせるバイオマス関連をはじめ、地熱発電、風力、太陽熱等の再生可能エネルギー分野の市場にも積極的に取り組みます。 - 製品戦略
生産制御システム分野では、世界最高の信頼性、機能に加え、お客様が長期にわたって安心してご使用いただけるよう、過去の当社製品との接続を可能にする"継承性"を維持した製品開発を進めます。また、アップストリームや電力、機能性化学などの注力業種に対応する機能も強化していきます。
さらに、生産効率を向上させるソフトウエア、プラント情報の有効利用を促進するフィールド・デジタル・ソリューション等、お客様の課題解決に貢献する製品を提供していきます。
センサ、プロダクト分野では、すでに高い市場シェアを持っている差圧・圧力伝送器やプロセスガス分析計など、競争力の高い製品でグローバルNo.1シェアの獲得を目指します。さらに、自社のみでの製品開発にこだわらず、アライアンスやM&Aを活用して製品ラインアップの拡充を図ります。また、お客様が長期にわたりプラントを安全かつ効率的に操業いただくためのアフターサービスを強化し、従来の保守に加え、お客様の生産効率等を改善する高付加価値コンサルティングサービスでビジネスを拡大します。
(2).計測機器事業
- 測定器ビジネス
関係会社である横河メータ&インスツルメンツ株式会社を中心に、今後も成長が期待できる「環境関連の電気エネルギー関連市場」と「光通信関連市場」において、強みを活かせるニッチ分野でグローバルNo.1となることにより、着実に成長し安定的な利益の確保を目指します。具体的には、電力測定器などの基本測定器、OTDRなどの光測定器、現場測定器、指示計器(メータ)の製品力強化を図るとともに、海外販売チャネルの強化や新興国向け製品の企画・開発機能の中国への設置を実行します。 - ライフサイエンスビジネス
計測・制御技術の活用によるビジネス拡大の可能性があるライフサイエンスビジネスについては、独自開発の共焦点スキャナ、創薬支援装置等国際競争力の高い製品を所有しています。これらを核として、バイオ研究や新薬開発など高成長が期待できる市場で新たな顧客の開拓を進めます。
これに加え新製品開発による競争優位性の維持、製品ラインアップの拡充により、高収益ビジネスモデルへの転換を図ります。
(3).その他の事業
航空宇宙機器や舶用機器、環境計測器等に関するビジネスは、現行のお客様に安定的に製品を提供し、効率的にビジネスを展開することにより安定的な収益の確保を目指します。
4.ビジネス構造改革戦略
制御事業でグローバルNo.1カンパニーを目指すために、以下のビジネス構造改革戦略を実行してまいります。また、これによる円コストのドル化により為替感応度を引き下げ、為替の変動に影響を受けにくいビジネス構造を確立していきます。
- ヘッドクオーター機能のグローバル化
事業のグローバル展開を加速するため、すでに一定の機能移管が進んでいる生産、エンジニアリングで海外への機能移管をさらに進める他、これまで日本中心であった研究開発、アドミニストレーション機能についても海外拠点の活用を推進します。 - 生産体制の見直し
海外生産の拡大、外部リソースの活用(アウトソーシング)、国際調達の拡大により、コスト競争力をさらに強化します。この結果、生産、調達の各機能においても、海外比率が国内比率を大きく上回り国内外の比率は逆転します。 - グローバル人財戦略
海外での人財獲得・活用体制を強化すると同時に、海外拠点、ヘッドクオーターを含むグループ間でのダイナミックな人財の異動を可能とする人財育成制度を整備することにより、国際競争力を強化します。
5.研究開発投資、M&A、アライアンスに対する考え方
制御事業でグローバルNo.1カンパニーを目指すために、以下の方針で投資を行います。
- 研究開発投資
研究開発では、2025年に実現したい未来と、その未来においてありたいYOKOGAWAの姿を描くシナリオプランニングに基づき、効率的に投資を行います。
研究開発投資については、現状の研究開発投資額は維持しつつ、売上高を伸ばすことによって、売上高研究開発費比率8%の維持を目指します。事業セグメント別には、制御事業では売上高研究開発費比率7%、計測機器事業では同10%をベンチマークに研究開発活動を進めます。 - M&A、アライアンス方針
制御事業の製品ラインアップ拡大、高付加価値コンサルティングサービス強化のため、アライアンス、M&Aを積極的に検討してまいります。
6.財務戦略
制御事業グローバルNo.1を実現するための財務体質の構築を目標とします。
- フリー・キャッシュフロー(FCF)の創出
2011年度から2015年度の5年間で600億円以上のフリーキャッシュフローを創出します - 自己資本比率、デット・エクイティ(D/E)レシオ
自己資本比率50%以上、D/Eレシオ40%の達成をベンチマークとします。これらの目標達成後は、最適資本構成の実現による資本コストの最小化の視点から、資本効率の改善も検討していきます - 設備投資方針
減価償却費の範囲内の設備投資(M&Aを除く)を原則とします。 - 配当方針
連結配当性向は原則30%とすることを配当方針とします。
以上
参考資料
売上高 | 営業利益 | |
---|---|---|
制御事業 | 3,500億円 | 360億円 |
計測機器事業 | 280億円 | 30億円 |
その他事業 | 220億円 | 10億円 |
合計 | 4,000億円 | 400億円 |
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横河電機株式会社 広報・IR室