横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

統合生産制御システム「CENTUM VP R5.03」を開発・発売 広域分散対応・バッチ機能強化など、注力業種向け機能を強化

2013年6月11日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、主力製品である統合生産制御システムCENTUM® VP(センタム・ブイピー)の機能を強化した「CENTUM VP R5.03」を6月12日に発売しますのでお知らせします。

 当社は、制御事業のビジョン“VigilantPlant®(ビジラントプラント)=理想の工場”のもと、このビジョンの中核であるCENTUM VPの継続的な機能強化に努めています。今回は、中期経営計画「Evolution 2015」で掲げた戦略に則り、注力する業種に適した機能を追加しました。

CENTUM VP
CENTUM VP

今回の機能強化のポイント

  1. 「ワイド・エリア・コミュニケーション(WAC)ルータ」により広域通信網経由で制御ネットワークの接続が可能
     WACルータは、当社が提供する制御専用の通信ネットワークであるVnet/IPと同様の高い信頼性とセキュリティを保ちながら、公衆回線や衛星回線などの広域通信網を介して遠隔地にある設備の操作監視を可能にするものです。広域通信網を用いる場合、通信帯域の制限や伝送遅延に対する配慮が必要ですが、WACルータでは通信データの種類や通信相手となる機器によってデータの優先順位付けをすることなどにより、通信データ量を適正化します。また、WACルータは、通信モジュールの冗長化に加え、通信回線の二重化により、システムとしての信頼性を確保します。通信回線は、衛星通信と光ファイバー通信など2系統の異なる回線でも二重化できます。
     これにより、国内でニーズの高まっている、各市町村に分散する上下水道設備の統合オペレーションや操業効率向上を目的としたプラント統合オペレーションを、高信頼かつ低コストで実現できます。また、当社の注力する石油・ガスのアップストリーム(開発・生産工程)分野においても、洋上プラットフォームの統合オペレーションなど広域に分散した設備の統合監視・制御に適したシステムを構築できます。
  2. バッチプロセスにおける製造手順の柔軟な変更を実現
     バッチプロセス※1では、生産する製品ごとに処方※2を定義します。当社は、バッチプロセス制御に関する国際標準規格であるISA-88に準拠したバッチパッケージを提供していますが、CENTUM VP R5.03のバッチパッケージでは多様な操作手順を体系的に登録できるよう機能を拡張し、処方をより細かく定義できるようにしました。これにより、処方の変更が容易になり、製造手順の頻繁な変更にも柔軟に対応できます。製品が多様で製造手順が複雑なプロセスに適しており、注力業種のひとつに掲げている機能性化学をはじめ、食品・薬品などのお客様のニーズにお応えします。

    ※1 バッチプロセス:
    同じ設備や装置でさまざまな品種の製品を製造するプロセス。これに対し、同じ品種の製品を連続して製造する制御形態を連続プロセスという。
    ※2 処方:
    バッチプロセスにおいて、生産する製品ごとに、設備の要件や設定値、材料、手順などの製造プロセスを定義したもの。
  3. 電気系統のネットワーク規格「IEC 61850」に対応
     電力プラントやプラントの電気設備で多く適用されている、電気系統の通信規格「IEC 61850」に対応しました。これにより、「IEC 61850」を適用した電力プラントの設備を統合監視でき、注力業種である電力市場のニーズにお応えします。また、電力以外のさまざまなプラントにおいても電気設備の状況を生産制御システムから監視することが可能となります。
  4. 8ループオペレーションキーボードにより操作性が向上
     8つの制御ループ(測定-調節を行う個々の制御対象)を同時に操作できるオペレーションキーボードをラインアップしました。これにより、デスクトップパソコンを用いた操作環境においても、旧来のCENTUMシリーズ専用のオペレータコンソールと同様の操作性を実現します。
     このキーボードでは、8つの制御ループそれぞれに対応した専用の調節キーが用意されており、ループの設定や変更を容易に行えます。また、操作したいループの調節キーに触れるとその機器の計器図が画面上でハイライトされ、キーと対応している機器が直感的に認識できます。

主な市場と用途

石油・天然ガス、石油化学、化学、電力、紙パルプ、薬品、食品、鉄鋼、上下水道などの プロセス産業分野の製造会社

用途

プラントの運転監視と自動制御

今後の製品展開

 YOKOGAWAは、今後もCENTUMをプラットフォームとして、生産制御システム全体の継続的機能向上を図っていきます。特に、中期経営計画Evolution2015の戦略に基づいて、注力市場に向けたトータルソリューションの強化を図ります。

※ VigilantPlant(理想の工場)とは 
 YOKOGAWAが考えるお客様にとっての理想の工場(VigilantPlant)は、プラント操業に関わる全ての人々に必要な情報が行き渡り、外部環境の変化にも俊敏に対応でき、生産活動が滞ることなく回りつづけ、設備も人も将来に向けて着実に進化を続けていくことができる、操業の全体最適を実現しているプラントです。
 YOKOGAWAは、"VigilantPlant"ビジョンのもと"安全の確保"、"設備の最大活用"、"生産の改革"、"ライフサイクルの最適化"の4つの切り口で、理想の操業を実現するソリューションを提供しています。

以上

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