2015年7月23日発表
横河電機株式会社
GasSecure AS
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)とドイツのDrägerwerk AG & Co. KGaA子会社であるGasSecure AS(本社:オスロ市、以下、ガスセキュア社)は、IECが定める安全規格SIL2※1に世界で初めて対応した無線ガス検知システムを、北欧のLNGプラントに納入しましたのでお知らせします。横河電機とガスセキュアは、安全な操業に貢献するこのシステムをグローバル市場に販売してまいります。
受注の背景
YOKOGAWAは、工業用無線ネットワークの標準規格ISA100 Wireless※2に準拠した無線技術および無線対応機器の開発にいち早く取り組み、各種の無線フィールド機器や、有線機器に取り付けて無線通信を可能とするアダプタ等をプラントや石油・ガスの生産設備(アップストリーム)などに提供しています。一方、ガスセキュアは、爆発の原因の一つである炭化水素※3の漏れを監視するISA100 Wireless準拠の無線ガス検知器を開発、提供しています。同検知器は、ATEXやIECExなどの防爆認証を取得しており、石油・ガス掘削の海上プラットフォーム、備蓄設備、プラントなどに数多く採用されています。
YOKOGAWAとガスセキュアは、2014年に、ガスセキュアがYOKOGAWAの無線フィールド機器を、YOKOGAWAが同社のガス検知器を販売する契約を締結しました。この提携を機に両社の協力関係を広げ、このたび、お客様の要求に合わせて安全性を向上させた無線ガス検知システムを協力して構築しました。
受注システムの概要
このシステムでは、ガスセキュアの無線ガス検知器「GS01」が炭化水素の濃度を測定して、YOKOGAWAのアクセスポイント「YFGW510」とISA100 Wirelessの無線通信を行い、「YFGW510」と接続されたYOKOGAWAのフィールド無線用管理ステーション「YFGW410」を経由して上位システムに情報を送ります。「GS01」は低消費電力の赤外線センサの採用により省エネ性能に優れており、かつ高速のデータ更新が可能です。「GS01」と、完全に二重化されたYOKOGAWAのフィールド無線システムとの組み合わせで、高速かつ高信頼の監視システムを構築できます。
お客様の要求にあったSIL2対応システムを提供するために、ガスセキュアは「GS01」の機能を強化してSIL2認証を取得、YOKOGAWAは産業用Ethernetの標準通信規格であるPROFIsafeに接続可能な「YFGW410」を開発し、両製品を組み合わせたシステムとしての性能・動作を確認しました。
今後の取り組み
エネルギー・素材分野をはじめとする産業の生産現場では、操業時の安全確保がますます重視されるようになっています。フィールド無線システムは、配線が困難な場所に設置でき、有線システムに比べ敷設コストを削減できるという特長があります。このため、生産に必要な流量・圧力・温度等の情報を収集するシステムの無線化のみならず、ガス検知をはじめとする他の無線システムでは対応が困難とされる安全確保のためのシステム構築にも適しています。SIL2に対応した無線ガス検知システムの販売開始を機に、無線フィールド機器・システムの一層の普及促進を図り、ビジネスを拡大してまいります。
※1 SIL2:
国際電気標準会議(IEC)が制定した電気・電子機器の機能安全に関する規格IEC61508で規定された安全度水準「SIL(Safety Integrity Level)」。SIL1からSIL4までのレベルがあり、SIL2は安全性の確保を求められるプラントでフィールド機器に要求される一般的なレベル。
※2 ISA100 Wireless:
ISAが推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション。2014年10月にIEC(国際電気標準会議)で国際標準規格IEC62734として発行された。
※3 炭化水素:
炭素、水素から成る化合物の総称で、石油、天然ガスなどの主成分。メタン、エタン、ベンゼン、トルエンなど。
ガスセキュア社の概要
2008年にベンチャーキャピタルによって設立された無線ガス検知器の専業メーカ。2015年3月にドイツの医療・安全関連機器メーカであるDrägerwerk AG & Co. KGaA(ドレーゲル)の傘下となった。ガスセキュアの売上高は 約3億円。 本社:北欧 オスロ市 CEO:Knut B. Sandven
以上
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