2017年11月21日発表
横河電機株式会社（本社：東京都武蔵野市 代表取締役社長：西島 剛志）は、ISA100 Wireless™※1フィールド無線用のアンテナとゲートウェイの機能を一体化した、ゲートウェイモジュールを開発、11月29日に発売しますのでお知らせします。本ゲートウェイモジュールは、小型で設定が簡単に行え、小規模なフィールド無線システムの構築や、少ない点数の測定を広域に分散した箇所で行うアップストリーム（石油・ガスの開発・生産工程）などへの無線システムの導入に適しています。
※1：ISA100 Wireless： ISA（国際計測制御学会）が推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション
ゲートウェイモジュール（取付例）
開発の背景
フィールド無線システムは、プラントに設置されるフィールド機器と、監視・制御システムなど上位のシステムとの間の通信を無線で実現するシステムです。生産性向上や安全に対する意識の高まりから、プラントで多様なデータを収集したいというニーズは高まっており、配線が困難な場所にも設置でき、有線システムに比べ敷設コストを抑えられる無線フィールド機器の需要が増加しています。
当社は、2010年7月にISA100 Wirelessに準拠した無線システムを世界で初めて製品化しました。以来、温度、圧力、流量、振動等の測定が可能な各種無線フィールド機器や、上位システムとの通信を中継する無線システム機器、既設の有線フィールド機器を無線機器として活用できる無線アダプタなど、フィールド無線関連製品のラインアップを充実させてきました。
ISA100 Wirelessのフィールド無線システムは、高速かつ高信頼で、長距離の無線通信が行えるという特長があります。当社は、大規模フィールド無線システムを構築することが可能なISA100 Wireless準拠の製品をラインアップしていますが、このたび、測定点数の少ない小規模システム構築のニーズに応えた製品をラインアップに追加します。
新製品の特長
- 小型ボディにアクセスポイントと管理ステーションを一体化
既存のフィールド無線システムは、生産プロセスや設備の温度、圧力、流量、振動等を測定する無線フィールド機器と、無線フィールド機器からの信号を受信するアクセスポイント、アクセスポイントを経由してセンサデータを収集し上位システムに送る管理ステーションから構成されます。このたび発売するゲートウェイモジュール（型名：「FN110」ゲートウェイ内蔵型）は、アクセスポイントと管理ステーションの機能を既存のフィールド無線用通信モジュール※2の小型ボディ（直径23mm×長さ90mm）で実現しました。FN110への電源供給と上位システムへとの接続のための信号処理を行うインタフェースアダプタ「LN90」とセットで設置し、最大20台までの無線フィールド機器と接続して、工業用の汎用通信プロトコルであるModbus通信（RS 485準拠）により上位のコントローラ等と通信を行います。
※2：無線フィールド機器に組み込まれてアンテナの役割を果たす通信モジュール。 - 専門的な知識なしで無線システムの立ち上げが可能
ゲートウェイモジュールは、数点の項目を入力、選択するのみで設定が完了します。また、無線フィールド機器をゲートウェイモジュールから見通せる場所に設置するだけで、無線フィールド機器と上位システムを接続できます。専門知識がなくてもすぐにシステムを立ち上げることが可能です。 - 省電力
フィールド無線用通信モジュールの小型ボディにゲートウェイの機能を搭載したことにより、0.3Wの低消費電力を実現しました。
主な市場
- 石油、ガス、石油化学、化学、紙パルプ、薬品、食品、鉄鋼などのプラント
- 石油、ガスのアップストリーム（開発・生産工程）
用途
上記市場における、ISA100 Wireless対応の小規模フィールド無線システムの構築
今後の取り組み
このたびのゲートウェイモジュールの発売により、小規模から大規模まで、お客様のニーズに合わせたISA100 Wireless準拠のフィールド無線システムが構築できるようになり、無線システムの活用範囲が広がります。当社は今後も、ISA100 Wirelessに準拠した無線フィールド機器や無線システム機器等を拡充し、お客様により高い価値をご提供する“ベスト・イン・クラス”のソリューションの開発に努めるとともに、フィールド無線の普及に取り組んでまいります。
以上
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