2018年3月1日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、創薬や生物学の研究において撮影した顕微鏡画像を一元管理し、容易に検索や分類を行えるハイコンテントデータ管理システム「CellLibrarian™」(セルライブラリアン)を開発、本日より発売しますのでお知らせします。「CellLibrarian」は、当社のハイスループット細胞機能探索システム「CellVoyager(セルボイジャー)」用の画像データ管理システムです。当社は、両製品により、お客様の研究のスピードアップと効率の向上を支援します。
CellLibrarian画面例
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開発の背景
新薬の開発の現場では、新薬の候補となる数十万から百万もの化合物の中から有望なものをふるい分ける(スクリーニングする)ために、ハイコンテントアナリシス(HCA)システムの利用が広がっています。HCAシステムは、細胞に薬の候補となる化合物を投与し、投与されたことで起こる細胞内の変化を顕微鏡用カメラで撮影し、解析して化合物投与による細胞の反応を確認する装置です。
HCAシステムを用いた研究では、大量の画像データを扱います。これらの画像データを、実験の内容、検査した薬物の種類、濃度、撮影した条件などの情報とともに管理し、ある情報を条件として検索し、画像を確認し、解析するという作業を繰り返し行うことが必要です。このため、画像データをメタデータ(データに関する情報を記述したデータ)と合わせて保存し活用するためのデータ管理システムのニーズが高まっています。そこで当社は、当社のHCAシステムであるハイスループット細胞機能探索システム「CellVoyager CV7000」「CellVoyager CV7000S」および「CellVoyager CV8000」用に、画像データ管理システムを開発しました。CellLibrarianは、ライフサイエンス、生物医学研究、臨床試験分野における顕微鏡画像、ディジタル病理画像、HCAスクリーニング画像等のデータの管理用のソフトウエアとして豊富な実績のある、Glencoe Software社のデータ管理システム、OMERO Plusをベースに開発した製品です。
製品の特長
- データをサーバーで共有し、インターネットを介してアクセスすることが可能
「CellVoyager」で取得した画像をデータサーバーにインポートして保存し、インターネットを介して、複数のユーザーで共有、検索、閲覧することができます。また画像の色や輝度の調整も可能で、画像調整設定のグループ内での共有も行えます。データサーバーはお客様社内に設置し、データへのアクセスは登録者のみが可能です。 - 画像データへの付随情報の付加が可能
画像データには、実験の内容、検査した薬物の種類、濃度、撮影した条件などの付随情報のほか、タグ、コメント、ファイルなどを付加することも可能です。これにより、画像の検索、分類がより効率的に行えます。 - 機械学習機能搭載の画像解析ソフトウエアとの連携が可能
2017年9月に発売した「CellVoyager」用の画像解析ソフトウエア「CellPathfinder™」を用いて、データベースに保存した画像データの解析を実行することが可能です。「CellPathfinder」は、HCAで一般的な、蛍光染色した細胞の顕微鏡画像はもとより、非染色細胞を撮影した明視野顕微鏡※1による画像を可視化でき、また機械学習によるパターン認識機能により、可視化した画像を解析して、細胞増殖の経時変化等を正確に把握できます。
※1 明視野顕微鏡:
蛍光染色されていない対象物を、ランプなどの光源で照らして観察する最も一般的な顕微鏡
主な市場
医薬品メーカの研究部門、創薬研究機関、生物学・医学の基礎研究機関
用途
新薬の候補化合物探索、iPS細胞やES細胞の再生医療・創薬応用研究、細胞機能の解析、組織形成の研究において撮影したハイコンテントアナリシスデータの管理
CellVoyagerとは
新薬の候補となる化合物のスクリーニングにはいくつかの手法がありますが、対象細胞の顕微鏡画像データから、個々の細胞内の経時変化を複数のパラメータにより解析する、高精度で客観的なスクリーニング手法であるハイコンテントアナリシス (HCA)を採用したシステムが、HCAシステムです。当社のHCAシステムである「CellVoyager」は、細胞を生きたままリアルタイムに観察できる当社の共焦点スキャナユニットや精密位置決め技術などを搭載し、高速スクリーニングが可能であることが特長です。
2009年に「CellVoyager CV6000」により市場に参入して以来、2011年には「CellVoyager CV7000」を、2017年には「CellVoyager CV8000」を発売しました。業界最速のスクリーニング※2、業界最高の分解能※2の高い性能と、化合物を投与しながらの撮像により投与前後の細胞の変化も観察できる機能などが評価され、新薬開発のスピードアップや最先端の生物学・医学の基礎研究の効率向上に貢献しています。
※2 2018年2月現在 当社調べ
以上
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横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター 広報室
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