2019年4月17日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、OpreX™ Control and Safety Systemのラインアップとして、広域分散監視SCADA※1ソフトウエア「FAST/TOOLS(ファースト・ツールズ)」の機能を拡張した「FAST/TOOLS R10.04」を開発し、4月18日から発売しますのでお知らせします。
FAST/TOOLSは、コントローラや生産管理システムなどからデータを収集・蓄積し、監視を行うSCADAシステムで、スマートIoTシステムや、複数のサイトを統括する大規模システムなど、さまざまなシステム構成が可能です。今回、システム統合のための機能強化を図りました。これまでは海外のお客様の生産性向上に貢献してきましたが、このたび、国内向けにも発売します。
※1 SCADA : Supervisory Control and Data Acquisition
開発の背景
IoTやビッグデータ解析、クラウドなどのIT技術の発展に伴い、SCADAシステムの分野では、情報・運用・エンジニアリング技術(IT、OT、ET)の融合によるデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。無人監視、遠隔監視、企業規模での統合監視など、多様なSCADAシステムに対してIT技術の適用が進みつつあります。
生産から納入までのサイクルでは、短縮および柔軟な対応が日々求められており、リアルタイムの生産能力や生産の状況を簡単に管理者が確認できるようになることが企業の利益を確保するために最も重要な要素となっています。
「FAST/TOOLS R10.04」は、OPC-UA※2をはじめ、オープンなインタフェースを多数備えており、これらを活用することにより、ITとOTの融合を促進することができます。オペレーションを単純化し、作業を自動化し、適切な情報をユーザに提示することで、お客様の運用コスト(OPEX)の削減に貢献します。生産現場のデータをお客様にとって意味のある情報に変換し企業活動全体での活用を可能にすることで、お客様の投資効果の最大化を支援します。
※2 OPC-UA: OPCは産業オートメーション分野やその他業界における、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格。2008 年に発表された OPC Unified Architecture(UA)は、各OPC Classic 仕様の機能性全てを、拡張可能なフレームワークに統合した、プラットフォーム非依存のアーキテクチャ
IT、OT、ETの融合を目指すSCADAシステム
拡大
製品の特長
FAST/TOOLS R10.04は、サブシステムも含めたシステム全体を容易に連携させることができます。主な特長は次のとおりです。
- システム統合のための機能強化
当社の統合生産制御システム「CENTUM VP」と一体感のある運用を実現するため、グラフィックに関するインテグレーションツールを強化しました。また、他社のコントローラとの統合範囲を広げるため、従来からサポートしている業界標準インタフェースや他社のプロトコルに加え、R10.04では、三菱電機(株)製のコントローラ「MELSEC iQ-R」シリーズやオムロン(株)製のプログラマブルコントローラ接続用のFINS*3プロトコルにも対応しました。
※3 FINS(Factory Interface Network Service):オムロン社のFAネットワーク上のコントローラ間でメッセージ通信を行うためのプロトコル - セキュリティ対策を強化
IT基盤上にFAST/TOOLSを容易に組み込むことができるよう、ユーザのログイン記録を、監査証跡とユーザ情報を組み込んだ1画面で確認できるようにし、またサーバとクライアント間の暗号化処理を強化しました。さらに、複数のシステムの統合においてセキュリティの一貫性を強化するため、ユーザ認証処理の集中管理化、複数のドメインに対応したシングルサインオンを実現しました。 - オペレータ画面の作成環境を改善
FAST/TOOLSは、操作監視業務に使用されるPC用の画面から、タブレットやスマートフォン用のシンプルなモニター画面まで提供できます。R10.04では、グラフィックエディタを改善し、オペレータにとって視認性の高い画面をより効率的に作成することが可能となりました。
主な市場
石油・ガスの開発工程やパイプラインなどの輸送工程、石油化学、化学、再生可能エネルギー、電力、紙パルプ、食薬、鉄鉱、鉄鋼、配水、水処理などのプラント
用途
プラントの監視、操作、制御、データ収集、記録保存など
今後の展開
FAST/TOOLSは、システムの規模拡張にも柔軟に対応可能な広域分散監視SCADAソフトウエアパッケージです。お客様のニーズに対応し、最新のプラットフォーム上で先進技術を取り込み進化してきました。当社のPC冗長化プラットフォームをサポートし、ハードウエアの異常時に短時間で自動切り替えを行うことでアプリケーションを継続して実行することも可能です。高い信頼性と先進性をもつソフトウエア構造によりプラントの安定操業に貢献しています。
OpreXとは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation、OpreX Control、OpreX Measurement、OpreX Execution、OpreX Lifecycleの5つのカテゴリーから成り立ち、「FAST/TOOLS」は、OpreX Controlを構成する製品・ソリューション群の一つであるOpreX Control and Safety Systemに属します。OpreX Controlは、お客様の経営、操業、業務の変革に迅速に対応し、高効率、高品質、安全で安定した操業基盤を支える高信頼の制御テクノロジーを意味します。
YOKOGAWAはこのブランドのもと、お客様のビジネス課題解決の視点で、お客様の変革と成長を支援する統合ソリューションを提供していきます。
以上
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横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター 広報室
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広域分散監視 SCADAソフトウェア (FAST/TOOLS)
SCADAソフトウェア FAST/TOOLSは、IO点数が50点程度の小規模なシステムから、数百万点規模の大規模なシステム、何千kmにも渡って設備が分散しているパイプラインシステムにいたるまで、多様な規模、形態のシステムに対応可能です。