2021年8月17日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、米国Fluence Analytics社(本社:米国、ヒューストン CEO:Alex Reed)との間で、同社への出資および新しい上位機種についてグローバルな販売等に関する戦略的な業務提携契約を締結しましたのでお知らせします。Fluence Analytics社は重合反応*1プロセスを持つ化学メーカーにハードウェアとソフトウェアを組み合わせた分析ソリューションを提供する米国のスタートアップ企業です。本契約により、当社はFluence Analytics社が提供するACOMP (Automatic Continuous Online Monitoring of Polymerization:重合反応プロセス向け自動連続測定システム)の既存製品を用いて、お客様の現場での試験使用を2021年内に開始する予定です。また将来的に同社が発売する新製品の独占販売権(一部地域はFluence Analytics社との共同販売)を獲得します。横河電機は同社が提供する製品のエンジニアリングやシステムインテグレーション、およびアフターサービスを化学業界のお客様に提供していきます。
一般的に化学業界では、重合反応プロセスの状況を定期的に分析、確認し、その結果をもとにプラントを制御し製造しています。刻々と変化する反応状況を確認するためにリアクタから研究所に人間の手でサンプルを運ぶ必要があり、分析時間も含め一回あたり最大5時間ほどが必要とされてきました。この分析、確認に時間を要することで最適なタイミングを逃してしまうこともあり、製品の品質を安定して確保することが困難でした。また、サンプルを抽出し運ぶ作業員の安全配慮が欠かせないなど、課題がありました。
一方、ACOMPは世界で唯一、化学メーカーの重合反応プロセス(プラスチック、ゴム、塗料など)において重合反応中の溶液を自動的に抽出し、状況を判断するうえで重要な測定項目(粘度、分子量、モノマー濃度、総溶質濃度など)を連続的に分析することができる装置です。既にFluence Analytics社におけるお客様の利用実績からも、導入により最適な運用が可能になり、安全、品質、収率*2の向上、操業の効率化に貢献し、大幅なコスト削減も期待できます。
横河電機 執行役員 横河プロダクト本部長 長谷川 健司は次のように述べています。「化学業界において、当社はこれまで計測・制御で貢献してきました。Fluence Analytics社と共に、当社は重合反応プロセスの分野に提供価値を広げます。この新しい重合反応プロセス向け自動連続測定システムは、健康・安全・環境保全に寄与するだけでなく、分析時間や不良品の削減によって、本製品導入による効果額は一般的なサイズの重合プラントにおける試算として年間約1.5億円を見込んでいます。この製品をお客様に提供することを非常に楽しみにしております。」
Fluence Analytics社のCEO Alex Reedは次のように述べています。「私たちのチームは、横河電機を戦略的パートナーおよび投資家として迎えることを非常に喜ばしく思っています。計測とプロセス制御技術における横河電機の世界的なリーダーシップは、オペレーションの拡大、フィールドエンジニアリングの強化、世界中でのインストールベース(利用台数)の拡大を可能にする重要な資産となります。横河電機と協力して次世代化学マテリアルの創出を促進し、化学業界の重合反応プロセスにおける効率性、品質、収率、持続可能性を引き続き向上させていきます。」
*1 重合反応:モノマーやポリマーを反応させつなぎ合わせることで目的のポリマーを合成する化学反応。
*2 収率:理論上得ることが可能なその物質の最大量に対して実際に得られた物質の量の比率。
Fluence Analytics社の概要
- 設立:2012年
- CEO:Alex Reed
- 主な事業内容:化学業界のポリマー製造企業への分析ソリューションの提供など
- 所在地:米国、ヒューストン
- ホームページ:https://www.fluenceanalytics.com/
以上
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